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2023年12月23日

定義に従って三角関数の値を求める

「次の三角関数の値を求めよ。
(1)$\large\sin60°$

(2)$\large\cos135°$

(3)$\large\tan210°$」


(1)$\sin60°$

 三角関数の値は直角三角形による三角関数の定義、または単位円による定義にしたがって求めます。$60°$は鋭角なのでどちらの定義でも求めることができます。

直角三角形による定義

30°-60°-90°の直角三角形と3辺の比
 上図のような内角が$30°-60°-90°$の直角三角形$\text{ABC}$を考えます。この三角形の3辺の比は$\text{AB}:\text{BC}:\text{CA}=1:\sqrt{3}:2$です。
$60°$の内角に着目すると、直角三角形による三角関数の定義より$\sin$の値は斜辺と対辺の長さの比なので
\begin{align*}\sin60°&=\frac{\text{BC}}{\text{CA}}\\[0.5em]&=\frac{\sqrt{3}}{2}\end{align*}
となります。

単位円による定義

60°の角をなす半径の端点の座標
 $\sinθ$は始線と反時計回りに$θ$の角をなす原点を中心とする単位円の半径の円周上にある端点のy座標にあたります。
なので、始線と$60°$の角をなす原点$\text{O}$を中心とする単位円の半径を考えます。この半径の円周上にある端点$\text{P}$からx軸へ垂線を下ろし、その足を$\text{Q}$とすると内角が$30°-60°-90°$の直角三角形$\text{OPQ}$ができます。
点$\text{P}$のy座標の絶対値はx軸へおろした垂線$\text{PQ}$の長さに等しいので、まずは垂線$\text{PQ}$の長さを求めます。
直角三角形$\text{OPQ}$は上の直角三角形$\text{ABC}$と相似なので3辺の比が$\text{OQ}:\text{PQ}:\text{OP}=1:\sqrt{3}:2$となります。
直角三角形$\text{OPQ}$の3辺の比と$\text{OP}=1$より
\begin{align*}\text{OP}:\text{PQ}&=2:\sqrt{3}\\[0.5em]1:\text{PQ}&=2:\sqrt{3}\\[0.5em]2\text{PQ}&=\sqrt{3}\\[0.5em]\text{PQ}&=\frac{\sqrt{3}}{2}\end{align*}
点$\text{P}$は第1象限にあるのでy座標は正。したがって
\begin{align*}\sin60°&=\text{PQ}\\[0.5em]&=\frac{\sqrt{3}}{2}\end{align*}
となります。

(2)$\cos135°$

 $135°$は鈍角で直角三角形による定義ではあつかえない角度なので、単位円による定義で考えます。
135°をなす半径の端点の座標と45°-45°-90°の直角三角形の3辺の比
$\cosθ$は始線と$θ$の角をなす原点を中心とする単位円の半径の円周上にある端点のx座標にあたります。
なので、始線と$135°$の角をなす原点$\text{O}$を中心とする単位円の半径を考えます。この半径の円周上にある端点$\text{P}$からx軸へ垂線を下ろし、その足を$\text{Q}$とするとx軸の負の部分と半径$\text{OP}$の間の角が$45°$であることから、内角が$45°-45°-90°$の直角三角形$\text{OPQ}$ができていることがわかります。
点$\text{P}$のx座標の絶対値は辺$\text{OQ}$の長さに等しいので、これを求めます。
直角三角形$\text{OPQ}$は上図左下の直角三角形$\text{ABC}$と相似なので3辺の比は$\text{OQ}:\text{PQ}:\text{OP}=1:1:\sqrt{2}$です。
直角三角形$\text{OPQ}$の3辺の比と$\text{OP}=1$より
\begin{align*}\text{OQ}:\text{OP}&=1:\sqrt{2}\\[0.5em]\text{OQ}:1&=1:\sqrt{2}\\[0.5em]\sqrt{2}\text{OQ}&=1\\[0.5em]\text{OQ}&=\frac{1}{\sqrt{2}}&\left(=\frac{\sqrt{2}}{2}\right)\end{align*}
点$\text{P}$は第2象限にあるのでx座標は負。したがって、
\begin{align*}\cos135°&=-\text{OQ}\\[0.5em]&=-\frac{1}{\sqrt{2}}&\left(=-\frac{\sqrt{2}}{2}\right)\end{align*}
となります。(三角関数の値は分母の有理化を行わなくても構いません。)

(3)$\tan210°$

 $\tanθ$は始線と$θ$の角をなす原点を中心とする単位円の半径を延長した直線の傾き、あるいは半径の延長と直線$x=1$との交点のy座標にあたります。
210°の三角比
なので、まずは始線と$210°$の角をなす原点$\text{O}$を中心とする単位円の半径を考え、2通りの方法で求めてみます。

傾きから求める方法

210°をなす半径の端点の座標と30°-60°-90°の直角三角形の3辺の比
 半径を延長した直線の傾きから求める場合、$(1),(2)$のように半径の円周上の端点の座標を求めます。
半径の円周上の端点$\text{P}$からx軸へ垂線をおろし、その足を$\text{Q}$とします。
すると、x軸の負の部分と半径$\text{OP}$の間の角が30°であることから、内角が$30°-60°-90°$の直角三角形$\text{OPQ}$ができていることがわかります。
点$\text{P}$のx座標の絶対値は辺$\text{OQ}$の長さ、y座標の絶対値は辺$\text{PQ}$の長さに等しいので、これらを求めます。
直角三角形$\text{OPQ}$は上図左上の直角三角形$\text{ABC}$と相似なので3辺の比は$\text{OQ}:\text{PQ}:\text{OP}=\sqrt{3}:1:2$です。
直角三角形$\text{OPQ}$の3辺の比と$\text{OP}=1$より
\begin{align*}\text{OQ}:\text{OP}&=\sqrt{3}:2\\[0.5em]\text{OQ}:1&=\sqrt{3}:2\\[0.5em]2\text{OQ}&=\sqrt{3}\\[0.5em]\text{OQ}&=\frac{\sqrt{3}}{2}\\[1em]\text{PQ}:\text{OP}&=1:2\\[0.5em]\text{PQ}:1&=1:2\\[0.5em]2\text{PQ}&=1\\[0.5em]\text{PQ}&=\frac{1}{2}\end{align*}
点$\text{P}$は第3象限にあるのでx座標、y座標ともに負。したがって座標は$\left(-\dfrac{\sqrt{3}}{2},-\dfrac{1}{2}\right)$であることがわかります。
半径を延長した直線は原点と点$\text{P}$を通るので傾き$\tan210°$は
\begin{align*}\tan210°&=\frac{-\cfrac{1}{2}}{-\cfrac{\sqrt{3}}{2}}\\[0.5em]&=\frac{1}{\sqrt{3}}&\left(=\frac{\sqrt{3}}{3}\right)\end{align*}
となります。

交点のy座標から求める方法

135°をなす半径の延長と直線x=1との交点の座標と30°-60°-90°の直角三角形の3辺の比
 半径$\text{OP}$を延長し直線$x=1$との交点を$\text{R}$、単位円と直線$x=1$の交点$(1,0)$を$\text{S}$とし、直角三角形$\text{ORS}$をつくります。
点$\text{R}$のy座標の絶対値は辺$\text{RS}$の長さに等しいので、これを求めます。
x軸の負の部分と半径$\text{OP}$の間の角が$30°$であることから対頂角より$∠\text{ROS}=30°$なので、直角三角形$\text{ORS}$の内角は$30°-60°-90°$であることがわかります。
直角三角形$\text{ORS}$は上図右下の直角三角形$\text{ABC}$と相似なので、3辺の比は$\text{OS}:\text{RS}:\text{OR}=\sqrt{3}:1:2$です。
直角三角形$\text{ORS}$の3辺の比と$\text{OS}=1$より
\begin{align*}\text{OS}:\text{RS}&=\sqrt{3}:1\\[0.5em]1:\text{RS}&=\sqrt{3}:1\\[0.5em]\sqrt{3}\text{RS}&=1\\[0.5em]\text{RS}&=\frac{1}{\sqrt{3}}&\left(=\frac{\sqrt{3}}{3}\right)\end{align*}
点$\text{R}$は第1象限にあるのでy座標は正。したがって、
\begin{align*}\tan210°&=\text{RS}\\[0.5em]&=\frac{1}{\sqrt{3}}&\left(=\frac{\sqrt{3}}{3}\right)\end{align*}
となります。

 主な角度と三角関数の値は以下のようになります。
角度 $\sin$ $\cos$ $\tan$
$30°$ $\dfrac{1}{2}$ $\dfrac{\sqrt{3}}{2}$ $\dfrac{1}{\sqrt{3}}$ $
\small=\dfrac{\sqrt{3}}{3}$
$45°$ $\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ $
\small=\dfrac{\sqrt{2}}{2}$
$\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ $
\small=\dfrac{\sqrt{2}}{2}$
$1$
$60°$ $\dfrac{\sqrt{3}}{2}$ $\dfrac{1}{2}$ $\sqrt{3}$
$90°$ $1$ $0$ なし
$120°$ $\dfrac{\sqrt{3}}{2}$ $-\dfrac{1}{2}$ $-\sqrt{3}$
$135°$ $\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ $
\small=\dfrac{\sqrt{2}}{2}$
$-\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ $
\small=-\dfrac{\sqrt{2}}{2}$
$-1$
$150°$ $\dfrac{1}{2}$ $-\dfrac{\sqrt{3}}{2}$ $-\dfrac{1}{\sqrt{3}}$ $
\small=-\dfrac{\sqrt{3}}{3}$
$180°$ $0$ $-1$ $0$
$210°$ $-\dfrac{1}{2}$ $-\dfrac{\sqrt{3}}{2}$ $\dfrac{1}{\sqrt{3}}$ $
\small=\dfrac{\sqrt{3}}{3}$
$225°$ $-\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ $
\small=-\dfrac{\sqrt{2}}{2}$
$-\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ $
\small=-\dfrac{\sqrt{2}}{2}$
$1$
$240°$ $-\dfrac{\sqrt{3}}{2}$ $-\dfrac{1}{2}$ $\sqrt{3}$
$270°$ $-1$ $0$ なし
$300°$ $-\dfrac{\sqrt{3}}{2}$ $\dfrac{1}{2}$ $-\sqrt{3}$
$315°$ $-\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ $
\small=-\dfrac{\sqrt{2}}{2}$
$\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ $
\small=\dfrac{\sqrt{2}}{2}$
$-1$
$330°$ $-\dfrac{1}{2}$ $\dfrac{\sqrt{3}}{2}$ $-\dfrac{1}{\sqrt{3}}$ $
\small=-\dfrac{\sqrt{3}}{3}$
$360°$ $0$ $1$ $0$
主な角度と三角関数の値

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