長さに関する性質
垂線の長さと垂線や垂心によって分割されてできる線分の長さを調べます。
△ABDに着目すると
BD=ABcos∠B
△ACDに着目すると
CD=ACcos∠C
であることがわかります。
また、垂線
ADの長さは
AD=ABsin∠B=ACsin∠C
であることがわかります。
ここで、正弦定理より
BCsin∠A=ACsin∠B=ABsin∠C=2R(R:外接円の半径)
であり、これを変形すると
BC=2Rsin∠AAC=2Rsin∠BAB=2Rsin∠C(1)(2)(3)
が得られます。これらを利用して各線分の長さを表すと
BD=2Rcos∠Bsin∠CCD=2Rsin∠Bcos∠CAD=2Rsin∠Bsin∠C
となります。
△ABEに着目すると
AE=ABcos∠A
△BCEに着目すると
CE=BCcos∠C
であることがわかります。
また、垂線
BEの長さは
BE=ABsin∠A=BCsin∠C
となります。
これらに対し正弦定理を利用して得られた
(1),(3)を利用すれば
AE=2Rcos∠Asin∠CCE=2Rsin∠Acos∠CBE=2Rsin∠Asin∠C
となります。
△BCFに着目すると
BF=BCcos∠B
△ACFに着目すると
AF=ACcos∠A
であることがわかります。
また、垂線
CFの長さは
CF=BCsin∠B=ACsin∠A
となります。
これらに対し
(1),(2)を利用すれば
BF=2Rsin∠Acos∠BAF=2Rcos∠Asin∠BCF=2Rsin∠Asin∠B
となります。
次に、各垂線を垂心で分割してできる線分の長さを調べてみます。
△AEHに着目すると
AH=AEsin∠AHE,EH=AHcos∠AHEです。
上で
AE=2Rcos∠Asin∠C, ∠AHE=∠Cであることがわかったので、これらを代入すると
AH=2Rcos∠Asin∠Csin∠C=2Rcos∠AEH=2Rcos∠Acos∠C
となることがわかります。
△BEHに着目すると
BH=BFsin∠BHF,FH=BHcos∠BHFです。
上で
BF=2Rsin∠Acos∠B, ∠BHF=∠Aであることがわかったので、これらを代入すると
BH=2Rcos∠B, FH=2Rcos∠Acos∠B
となることがわかります。
△CDHに着目すると
CH=CDsin∠CHD,DH=CHcos∠CHDです。
上で
CD=2Rsin∠Bcos∠C, ∠CHD=∠Bであることがわかったので、これらを代入すると
CH=2Rcos∠C, DH=2Rcos∠Bcos∠C
となることがわかります。
△ABCに垂線
ADと垂心
Hを描き加えたときの各線分の長さは以下のようになります。3辺の長さを利用すると1つの線分の長さを表す式が複数出てきますが、外接円の半径を利用することで1つの式で表すことができるようになります。
合同・相似に関する性質
垂心を頂点の1つとする6つの直角三角形の間にある関係について調べます。
△BFHと
△CEHに着目すると、
∠BFH=∠CEH=90°、
∠BHF=∠CHE=∠Aより、2組の角がそれぞれ等しいので相似であることがわかります。
また、その相似比はBH=2Rcos∠B, CH=2Rcos∠CよりBH:CH=cos∠B:cos∠Cとなります。
△AFHと
△CDHに着目すると、
∠AFH=∠CDH=90°、
∠AHF=∠CHD=∠Bより、2組の角がそれぞれ等しいので相似であることがわかります。
また、その相似比はAH=2Rcos∠A, CH=2Rcos∠CよりAH:CH=cos∠A:cos∠Cとなります。
△AEHと
△BDHに着目すると、
∠AEH=∠BDH=90°、
∠AHE=∠BHD=∠Cより、2組の角がそれぞれ等しいので相似であることがわかります。
また、その相似比はAH=2Rcos∠A, BH=2Rcos∠BよりAH:BH=cos∠A:cos∠Bとなります。
したがって、垂心周りの角で対頂角の関係にある角を内角に持つ直角三角形は相似の関係にあることがわかります。
三角形
ABCが二等辺三角形の場合、底辺の垂直二等分線に関して対称な位置関係にある直角三角形は合同となります。
また、正三角形の場合には6つの直角三角形全てが合同となります。