「次の関数のグラフの概形を描け。
(1)y=x2xy=x2x
(2)y=(2x+3)(x+1)(x−2)x+1y=(2x+3)(x+1)(x−2)x+1
(3)y=x3+4x2−11x−30x2−3x−10y=x3+4x2−11x−30x2−3x−10」
(1)y=x2xy=x2x
右辺を約分すると
x2x=xx2x=x(*)
となります。
だから、
y=xy=xのグラフを描けば正解……ではありません。
y=xy=xのグラフとほぼ同じなのですが、唯一違う箇所が存在します。
それはx=0x=0における点が存在しないことです。これは関数の定義域は元々の式の形によることと分数の分母は00になると値が定義できないことが理由となります。
x2xx2xは分母が00になるx=0x=0のときの値が定義できません。なので、y=x2xy=x2xの定義域はx=0x=0を除くすべての実数となります。これは約分後のy=xy=xの定義域としても引き継がれています。
(∗)(∗)も任意のxxで成り立つものではなく、明記されていないものの分母が00になるx=0x=0以外で成り立つという条件がついています。
y=xy=xにおいてx=0x=0における点とは(0,0)(0,0)すなわち原点のことです。
したがって、
y=x2xy=x2xのグラフは
y=xy=xのグラフから原点を除いた以下のようなものとなります。
(2)y=(2x+3)(x+1)(x−2)x+1y=(2x+3)(x+1)(x−2)x+1
分母が00になる条件はx+1=0x+1=0、すなわちx=−1x=−1です。このxxにおける点は存在しません。
右辺を約分すると
(2x+3)(x+1)(x−2)x+1=(2x+3)(x−2)(2x+3)(x+1)(x−2)x+1=(2x+3)(x−2)
となります。
y=(2x+3)(x−2)y=(2x+3)(x−2)においてx=−1x=−1のときy=−3y=−3なので、y=(2x+3)(x+1)(x−2)x+1y=(2x+3)(x+1)(x−2)x+1のグラフには点(−1,−3)(−1,−3)が存在しません。
y=(2x+3)(x−2)y=(2x+3)(x−2)がy=0y=0となるとき、x=−32,2x=−32,2なので、(−32,0),(2,0)(−32,0),(2,0)がx軸との共有点となります。
また、x=0x=0のときy=−6y=−6なので、(0,−6)(0,−6)がy軸との共有点となります。
右辺を展開して平方完成すると
(2x+3)(x−2)=2x2−x−6=2(x−14)2−498(2x+3)(x−2)=2x2−x−6=2(x−14)2−498
となるので、頂点の座標は
(14,498)(14,498)であるとわかります。
したがって、
y=(2x+3)(x+1)(x−2)x+1y=(2x+3)(x+1)(x−2)x+1のグラフは以下のようになります。
(3)y=x3+4x2−11x−30x2−3x−10y=x3+4x2−11x−30x2−3x−10
分母と分子をそれぞれ因数分解すると
x3+4x2−11x−30=(x+5)(x+2)(x−3)x2−3x−10=(x+2)(x−5)x3+4x2−11x−30=(x+5)(x+2)(x−3)x2−3x−10=(x+2)(x−5)
となるので、分母が
00になる条件
(x+2)(x−5)=0(x+2)(x−5)=0すなわち
x=−2,5x=−2,5における点は存在しません。
右辺を約分すると
(x+5)(x+2)(x−3)(x+2)(x−5)=(x+5)(x−3)x−5(x+5)(x+2)(x−3)(x+2)(x−5)=(x+5)(x−3)x−5
となります。
y=(x+5)(x−3)x−5y=(x+5)(x−3)x−5においてx=−2x=−2のときy=157y=157なので、y=x3+4x2−11x−30x2−3x−10y=x3+4x2−11x−30x2−3x−10のグラフには点(−2,157)(−2,157)が存在しません。x=5x=5については後で触れます。
y=(x+5)(x−3)x−5y=(x+5)(x−3)x−5がy=0y=0となるとき、これは分子が00になるときなので(x+5)(x−3)=0(x+5)(x−3)=0すなわちx=−5,3x=−5,3です。したがって、(−5,0),(3,0)(−5,0),(3,0)がx軸との共有点となります。
また、x=0x=0のときy=3なので、(0,3)がy軸との共有点となります。
y=(x+5)(x−3)x−5の導関数を求めると
y′={(x+5)(x−3)}′(x−5)−(x+5)(x−3)(x−5)′(x−5)2={(x+5)′(x−3)+(x+5)(x−3)′}(x−5)−(x+5)(x−3)(x−5)2=(2x+2)(x−5)−(x+5)(x−3)(x−5)2=x2−10x+5x2−10x+25=(x2−10x+25)−20x2−10x+25=(x−5)2−20(x−5)2=1−20(x−5)2
となります。
(∗)より
y′=0となるのは、分子が
0になるときなので
(x−5)2−20=0{(x−5)+2√5}{(x−5)−2√5}=0{x−(5−2√5)}{x−(5+2√5)}=0x=5±2√5
のときです。
x=5−2√5のときy=12−4√5、x=5+2√5のときy=12+4√5なので、これらがそれぞれ極値となります。
y′>0となるのは
(x−5)2−20>0{x−(5−2√5)}{x−(5+2√5)}>0x<5−2√5,5+2√5<x
のときです。このとき
yは増加します。
y′<0となるのは
(x−5)2−20<0{x−(5−2√5)}{x−(5+2√5)}<05−2√5<x<5+2√5
ただし、
y,y′ともに
x=5では定義されていないので
5−2√5<x<5,5<x<5+2√5となります。このとき
yは減少します。
したがって、
y=(x+5)(x−3)x−5の増減表は以下のようになります。
増減表より
12−4√5は極大値、
12+4√5は極小値であることがわかります。
また、
y=(x+5)(x−3)x−5を変形し
y=x2+2x−15x−5=(x2−5x)+7x−15x−5=x(x−5)+(7x−35)+20x−5=x(x−5)+7(x−5)+20x−5=(x+7)(x−5)+20x−5=x+7+20x−5
とすると、漸近線は
y=x+7,x=5であることがわかります。約分前後どちらの有理関数においても定義できない
x=5は漸近線の方程式となります。
したがって、以上のことから
y=x3+4x2−11x−30x2−3x−10のグラフは以下のようになります。