直角三角形の各頂点から対辺へおろした垂線のうち、直角の頂点から以外のものは辺と重なります。
したがって、直角三角形の垂線というと直角の頂点から引いたものしかないように見えます。上図の直角三角形\text{ABC}においては線分\text{AD}のことです。
したがって、直角三角形の垂線というと直角の頂点から引いたものしかないように見えます。上図の直角三角形\text{ABC}においては線分\text{AD}のことです。
この垂線にはどのような性質があるでしょうか?
角度に関する性質
∠\text{A}=90°である直角三角形\text{ABC}の垂心は直角の頂点\text{A}と重なります。
△\text{ABD}に着目すると∠\text{ADB}=90°より∠\text{B}+∠\text{BAD}=90°です。
また、(1)より∠\text{BAD}=∠\text{C}となります。
△\text{ACD}に着目すると∠\text{ADC}=90°より∠\text{CAD}+∠\text{C}=90°です。
また、(1)より∠\text{CAD}=∠\text{B}となります。
したがって、直角三角形の直角は垂線によって他の鋭角の大きさを持つ2つの角に分けられることがわかります。
また、垂線\text{AD}と辺と重なっている他の2本の垂線を延長すると、垂心の周りには6つの角ができます。そのうちの4つは∠\text{BAD, }∠\text{CAD}とそれぞれの対頂角で、残る2つの角は∠\text{A}の外角となります。
∠\text{A}は直角で、その外角も直角であるため∠\text{A}と等しくなります。
したがって、直角三角形の垂心の周りにも鋭角三角形のときと同様、その三角形の内角と等しい大きさを持つ角が集まっていることがわかります。
長さに関する性質
垂線\text{AD}の長さと、垂線の足\text{D}によって分割された斜辺の各部分の長さを調べます。
△\text{ABD}に着目すると\text{BD}=\text{AB}\cos∠\text{B}、
△\text{ACD}に着目すると\text{CD}=\text{AC}\cos∠\text{C}、
また、両方の三角形より\text{AD}=\text{AB}\sin∠\text{B}=\text{AC}\sin∠\text{C}となります。
△\text{ACD}に着目すると\text{CD}=\text{AC}\cos∠\text{C}、
また、両方の三角形より\text{AD}=\text{AB}\sin∠\text{B}=\text{AC}\sin∠\text{C}となります。
ここで、正弦定理より
\begin{align*}\frac{\text{AC}}{\sin∠\text{B}}=\frac{\text{AB}}{\sin∠\text{C}}&=2R\\
&(R:外接円の半径)\end{align*}
であり、これを変形すると
\begin{align*}\text{AC}&=2R\sin∠\text{B}\\[1em]\text{AB}&=2R\sin∠\text{C}\end{align*}
が得られます。これらを利用して各線分の長さを表すと
\begin{align*}\text{BD}&=2R\cos∠\text{B}\sin∠\text{C}\\[1em]\text{CD}&=2R\sin∠\text{B}\cos∠\text{C}\\[1em]\text{AD}&=2R\sin∠\text{B}\sin∠\text{C}\end{align*}
となります。
ちなみに、\text{BD}と\text{CD}の長さの積を求めると
\text{BD}\cdot \text{CD}=4R^2\sin∠\text{B}\cos∠\text{B}\sin∠\text{C}\cos∠\text{C}
となりますが、三角関数の性質\cos(90°-θ)=\sinθおよび(1)を変形した∠\text{B}=90°-∠\text{C, }∠\text{C}=90°-∠\text{B}より
\begin{align*}&\text{BD}\cdot
\text{CD}\\[0.5em]&\quad=4R^2\sin∠\text{B}\cos(90°-∠\text{B})\sin∠\text{C}\cos(90°-∠\text{C})\\[0.5em]&\quad=4R^2\sin^2∠\text{B}\sin^2∠\text{C}\\[0.5em]&\quad=\bigl(2R\sin∠\text{B}\sin∠\text{C}\bigr)^2\\[0.5em]&\quad=\text{AD}^2\\[0.5em]&\therefore
\text{AD}=\sqrt{\text{BD}\cdot \text{CD}}\end{align*}
となり、Geometric mean theoremの示す関係が導けます。
相似に関する性質
垂線\text{AD}によって分割されてできる2つの三角形について調べます。
△\text{ABD}と△\text{CAD}\
(△\text{ACD})に着目すると、∠\text{B}=∠\text{CAD, }∠\text{BAD}=∠\text{C}より、2組の角がそれぞれ等しいので相似であることがわかります。
また、その相似比は\text{AB}:\text{AC}=\sin∠\text{C}:\sin∠\text{B}となります。
さらにこれらの三角形と△\text{ABC}に着目すると、どの三角形も3組の角がそれぞれ等しいので、△\text{ABC, }△\text{ABD, }△\text{ACD}は互いに相似であることがわかります。
その相似比は\text{BC}:\text{AB}:\text{AC}=\sin∠\text{A}:\sin∠\text{B}:\sin∠\text{C}、∠\text{A}=90°なので\sin∠\text{A}=1より\text{BC}:\text{AB}:\text{AC}=1:\sin∠\text{B}:\sin∠\text{C}となります。
Share: