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2023年7月26日

直角三角形の垂線の性質

直角三角形の垂線
 直角三角形の各頂点から対辺へおろした垂線のうち、直角の頂点から以外のものは辺と重なります。
したがって、直角三角形の垂線というと直角の頂点から引いたものしかないように見えます。上図の直角三角形ABCABCにおいては線分ADADのことです。

この垂線にはどのような性質があるでしょうか?


角度に関する性質

 A=90°A=90°である直角三角形ABCABCの垂心は直角の頂点AAと重なります。
この垂心周りにできる角について調べます。
直角を分割する垂線
ABCABCに着目するとB+C=90° (1)B+C=90° (1)となります。

ABDABDに着目するとADB=90°ADB=90°よりB+BAD=90°B+BAD=90°です。
また、(1)(1)よりBAD=CBAD=Cとなります。

ACDACDに着目するとADC=90°ADC=90°よりCAD+C=90°CAD+C=90°です。
また、(1)(1)よりCAD=BCAD=Bとなります。

したがって、直角三角形の直角は垂線によって他の鋭角の大きさを持つ2つの角に分けられることがわかります。

直角三角形の垂心周りの角
また、垂線ADADと辺と重なっている他の2本の垂線を延長すると、垂心の周りには6つの角ができます。そのうちの4つはBAD, CADBAD, CADとそれぞれの対頂角で、残る2つの角はAAの外角となります。
AAは直角で、その外角も直角であるためAAと等しくなります。

したがって、直角三角形の垂心の周りにも鋭角三角形のときと同様、その三角形の内角と等しい大きさを持つ角が集まっていることがわかります。


長さに関する性質

 垂線ADADの長さと、垂線の足DDによって分割された斜辺の各部分の長さを調べます。
直角三角形の垂線の長さは?
ABDABDに着目するとBD=ABcosBBD=ABcosB
ACDACDに着目するとCD=ACcosCCD=ACcosC
また、両方の三角形よりAD=ABsinB=ACsinCAD=ABsinB=ACsinCとなります。
ここで、正弦定理より
ACsinB=ABsinC=2R(R:)ACsinB=ABsinC=2R(R:)
であり、これを変形すると
AC=2RsinBAB=2RsinCAC=2RsinBAB=2RsinC
が得られます。これらを利用して各線分の長さを表すと
BD=2RcosBsinCCD=2RsinBcosCAD=2RsinBsinCBD=2RcosBsinCCD=2RsinBcosCAD=2RsinBsinC
となります。
 ちなみに、BDBDCDCDの長さの積を求めると
BDCD=4R2sinBcosBsinCcosCBDCD=4R2sinBcosBsinCcosC
となりますが、三角関数の性質cos(90°θ)=sinθcos(90°θ)=sinθおよび(1)(1)を変形したB=90°C, C=90°BB=90°C, C=90°Bより
BDCD=4R2sinBcos(90°B)sinCcos(90°C)=4R2sin2Bsin2C=(2RsinBsinC)2=AD2AD=BDCDBDCD=4R2sinBcos(90°B)sinCcos(90°C)=4R2sin2Bsin2C=(2RsinBsinC)2=AD2AD=BDCD
となり、Geometric mean theoremの示す関係が導けます。

相似に関する性質

 垂線ADによって分割されてできる2つの三角形について調べます。
直角三角形を分割する垂線
 ABDCAD (ACD)に着目すると、B=CAD, BAD=Cより、2組の角がそれぞれ等しいので相似であることがわかります。
また、その相似比はAB:AC=sinC:sinBとなります。

さらにこれらの三角形とABCに着目すると、どの三角形も3組の角がそれぞれ等しいので、ABC, ABD, ACDは互いに相似であることがわかります。
その相似比はBC:AB:AC=sinA:sinB:sinCA=90°なのでsinA=1よりBC:AB:AC=1:sinB:sinCとなります。


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