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2023年7月16日

中線定理 なぜ成り立つ?

中線定理
 $△ABC$の辺$BC$の中点を$M$とし、中線$AP$を引くと
\[AB^2+AC^2=2(AM^2+BM^2)\]
という関係が成り立ちます。この関係のことを中線定理といいます。
なぜこれが成り立つといえるのでしょうか?

 余弦定理を利用して成り立つことを確かめます。
$△ABC$の辺$BC$の中点を$M$、$∠AMB=θ$とします。このとき$BM=CM$です。
中線定理 △ABMで余弦定理
 $△ABM$に着目して、余弦定理より
\[AB^2=AM^2+BM^2-2AM\cdot BM\cos\theta\]
が成り立ちます。
これを$\cosθ$について解くと
\begin{align*}2AM\cdot BM\cos\theta&=AM^2+BM^2-AB^2\\[0.5em]\cos\theta&=\frac{AM^2+BM^2-AB^2}{2AM\cdot BM}\tag{1}\end{align*}
となります。

中線定理 △ACMで余弦定理
 次に$△ACM$に着目すると$∠AMB=θ$より$∠AMC=180°-θ$となり、余弦定理より
\[AC^2=AM^2+CM^2-2AM\cdot CM\cos(180°-\theta)\]
が成り立ちます。
また、三角関数の性質より$\cos(180°-θ)=-\cosθ$なので
\begin{align*}AC^2&=AM^2+CM^2-2AM\cdot CM(-\cos\theta)\\[0.5em]&=AM^2+CM^2+2AM\cdot CM\cos\theta\end{align*}
となり、$\cosθ$について解くと
\begin{align*}2AM\cdot CM\cos\theta&=AC^2-AM^2-CM^2\\[0.5em]\cos\theta&=\frac{AC^2-AM^2-CM^2}{2AM\cdot CM}\tag{2}\end{align*}
となります。

 $(1),(2)$より
\[\frac{AM^2+BM^2-AB^2}{2AM\cdot BM}=\frac{AC^2-AM^2-CM^2}{2AM\cdot CM}\]
ここで$BM=CM$より
\begin{align*}\frac{AM^2+BM^2-AB^2}{2AM\cdot BM}&=\frac{AC^2-AM^2-BM^2}{2AM\cdot BM}\\[0.5em]AM^2+BM^2-AB^2&=AC^2-AM^2-BM^2\\[0.5em]\therefore&AB^2+AC^2=2(AM^2+BM^2)\end{align*}
したがって、中線定理が成り立つことがわかります。

 この中線定理から三角形の中線の長さを求めることができます。
上の$△ABC$における中線定理の式を変形して$AM$について解くと
\begin{align*}AB^2+AC^2&=2AM^2+2BM^2\\[0.5em]2AM^2&=AB^2+AC^2-2BM^2\\[0.5em]AM^2&=\frac{AB^2+AC^2-2BM^2}{2}\\[0.5em]AM&=\sqrt{\frac{AB^2+AC^2-2BM^2}{2}}&(\because AM>0)\end{align*}
$BM=\dfrac{BC}{2}$より
\begin{align*}AM&=\sqrt{\cfrac{AB^2+AC^2-2\left(\frac{BC}{2}\right)^2}{2}}\\[0.5em]&=\sqrt{\frac{AB^2+AC^2-\frac{BC^2}{2}}{2}}\\[0.5em]&=\sqrt{\frac{2\bigl(AB^2+AC^2\bigr)-BC^2}{4}}\end{align*}
となります。三角形の3辺の長さによって中線の長さを求めることができます。

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