なぜこれが成り立つといえるのでしょうか?
余弦定理を利用して成り立つことを確かめます。
$△ABC$の辺$BC$の中点を$M$、$∠AMB=θ$とします。このとき$BM=CM$です。
これを$\cosθ$について解くと
\begin{align*}2AM\cdot
BM\cos\theta&=AM^2+BM^2-AB^2\\[0.5em]\cos\theta&=\frac{AM^2+BM^2-AB^2}{2AM\cdot
BM}\tag{1}\end{align*}
となります。
次に$△ACM$に着目すると$∠AMB=θ$より$∠AMC=180°-θ$となり、余弦定理より
\[AC^2=AM^2+CM^2-2AM\cdot CM\cos(180°-\theta)\]
が成り立ちます。
また、三角関数の性質より$\cos(180°-θ)=-\cosθ$なので
\begin{align*}AC^2&=AM^2+CM^2-2AM\cdot
CM(-\cos\theta)\\[0.5em]&=AM^2+CM^2+2AM\cdot
CM\cos\theta\end{align*}
となり、$\cosθ$について解くと
\begin{align*}2AM\cdot
CM\cos\theta&=AC^2-AM^2-CM^2\\[0.5em]\cos\theta&=\frac{AC^2-AM^2-CM^2}{2AM\cdot
CM}\tag{2}\end{align*}
となります。
$(1),(2)$より
\[\frac{AM^2+BM^2-AB^2}{2AM\cdot BM}=\frac{AC^2-AM^2-CM^2}{2AM\cdot
CM}\]
ここで$BM=CM$より
\begin{align*}\frac{AM^2+BM^2-AB^2}{2AM\cdot
BM}&=\frac{AC^2-AM^2-BM^2}{2AM\cdot
BM}\\[0.5em]AM^2+BM^2-AB^2&=AC^2-AM^2-BM^2\\[0.5em]\therefore&AB^2+AC^2=2(AM^2+BM^2)\end{align*}
したがって、中線定理が成り立つことがわかります。
この中線定理から三角形の中線の長さを求めることができます。
上の$△ABC$における中線定理の式を変形して$AM$について解くと
\begin{align*}AB^2+AC^2&=2AM^2+2BM^2\\[0.5em]2AM^2&=AB^2+AC^2-2BM^2\\[0.5em]AM^2&=\frac{AB^2+AC^2-2BM^2}{2}\\[0.5em]AM&=\sqrt{\frac{AB^2+AC^2-2BM^2}{2}}&(\because
AM>0)\end{align*}
$BM=\dfrac{BC}{2}$より
\begin{align*}AM&=\sqrt{\cfrac{AB^2+AC^2-2\left(\frac{BC}{2}\right)^2}{2}}\\[0.5em]&=\sqrt{\frac{AB^2+AC^2-\frac{BC^2}{2}}{2}}\\[0.5em]&=\sqrt{\frac{2\bigl(AB^2+AC^2\bigr)-BC^2}{4}}\end{align*}
となります。三角形の3辺の長さによって中線の長さを求めることができます。
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