「次の方程式を解け。
(1)$\dfrac{1}{3x+1}=2$
(1)$\dfrac{1}{3x+1}=2$
(2)$\dfrac{2}{5-x}=\dfrac{3}{4}$
(3)$\dfrac{1}{3x^2}=\dfrac{1}{2x}$
(4)$\dfrac{1}{3x}=\dfrac{1}{x}$
(5)$\dfrac{7x}{x}=7$」
分母に未知数である文字を含む方程式を解くときは、まず分母が$0$にならない条件を求めます。
分母が$0$になると分数の値が定義できないので、分母が$0$になるような$x$では等式が成り立たず方程式の解にならないからです。
分母が$0$になると分数の値が定義できないので、分母が$0$になるような$x$では等式が成り立たず方程式の解にならないからです。
(1)$\dfrac{1}{3x+1}=2$
左辺の分母が文字を含んだ$3x+1$なので、$3x+1=0$となるような$x$では(1)が成り立ちません。
$3x+1=0$となるような$x$を求めてみると
$3x+1=0$となるような$x$を求めてみると
\begin{align*}3x+1&=0\\[0.5em]3x&=-1\\[0.5em]x&=-\frac{1}{3}\end{align*}
となり、(1)は$x=-\dfrac{1}{3}$では成り立たないことがわかります。(以降、このことを少なくとも方程式が成り立つ条件として$x\neq-\dfrac{1}{3}$のように書きます。)
(1)の両辺に$3x+1$を掛けると、
方程式変形のための基本操作の1つである両辺に同じ数を掛ける操作では$0$を掛けることはできませんが、(1)が成り立っているならば$x\neq-\dfrac{1}{3}$という条件を満たしているので問題ありません。
\begin{align*}\frac{1}{3x+1}\cdot(3x+1)&=2\cdot(3x+1)\\[0.5em]1&=6x+2\\[0.5em]6x+2&=1\end{align*}
となります。方程式変形のための基本操作の1つである両辺に同じ数を掛ける操作では$0$を掛けることはできませんが、(1)が成り立っているならば$x\neq-\dfrac{1}{3}$という条件を満たしているので問題ありません。
また、このように分数を含む方程式の両辺に分母と同じ数または分母の最小公倍数を掛けて分数のない方程式にすることを分母を払うといいます。
あとは1次方程式を解くだけなので
\begin{align*}6x&=-1\\[0.5em]\therefore
x&=-\frac{1}{6}\end{align*}
となります。
これは$x\neq-\dfrac{1}{3}$という条件を満たしているので(1)の解となることがわかります。
(2)$\dfrac{2}{5-x}=\dfrac{3}{4}$
左辺の分母が$5-x$なので、$5-x=0$となるような$x$では(2)が成り立ちません。
$5-x=0$となるような$x$を求めてみると$x=5$となるので、少なくとも(2)が成り立つ条件は
$5-x=0$となるような$x$を求めてみると$x=5$となるので、少なくとも(2)が成り立つ条件は
\[x\neq5\]
であることがわかります。
(2)の両辺に$4(5-x)$を掛けて分母を払うと
これは$x\neq5$という条件を満たしているので(2)の解となることがわかります。
\begin{align*}\frac{2}{5-x}\cdot4(5-x)&=\frac{3}{4}\cdot4(5-x)\\[0.5em]2\cdot4&=3(5-x)\\[0.5em]8&=15-3x\\[0.5em]15-3x&=8\end{align*}
これを解くと
\begin{align*}-3x&=-7\\[0.5em]\therefore
x&=\frac{7}{3}\end{align*}
となります。これは$x\neq5$という条件を満たしているので(2)の解となることがわかります。
(3)$\dfrac{1}{3x^2}=\dfrac{1}{2x}$
左辺の分母が$3x^2$、右辺の分母が$2x$なので、$3x^2=0$となるような$x$でも$2x=0$となるような$x$でも$(3)$は成り立ちません。
$3x^2=0$となるような$x$を求めると
$3x^2=0$となるような$x$を求めると
\begin{align*}x^2&=0\\[0.5em]x&=0\end{align*}
$2x=0$となるような$x$を求めると
\[x=0\]
となり、$3x^2=0$となるような$x$も$2x=0$となるような$x$も$x=0$であるので、少なくとも(3)が成り立つ条件は
\[x\neq0\]
であることがわかります。
(3)の両辺に$6x^2$を掛けて分母を払うと
これは$x\neq0$という条件を満たしているので(3)の解となることがわかります。
\begin{align*}\frac{1}{3x^2}\cdot6x^2&=\frac{1}{2x}\cdot6x^2\\[0.5em]\frac{1}{3x^2}\cdot\bigl(3x^2\cdot2\bigr)&=\frac{1}{2x}\cdot\bigl(2x\cdot3x\bigr)\\[0.5em]2&=3x\\[0.5em]3x&=2\end{align*}
これを解くと
\[x=\frac{2}{3}\]
となります。これは$x\neq0$という条件を満たしているので(3)の解となることがわかります。
ちなみに、両辺に$3x^2\cdot2x$を掛けて分母を払った場合
\begin{align*}\frac{1}{3x^2}\cdot\bigl(3x^2\cdot2x\bigr)&=\frac{1}{2x}\cdot\bigl(3x^2\cdot2x\bigr)\\[0.5em]2x&=3x^2\\[0.5em]3x^2-2x&=0\\[0.5em]x(3x-2)&=0\\[0.5em]x&=0,\frac{2}{3}\end{align*}
となりますが、$x\neq0$という条件より$x=0$が解から除かれます。
したがって、異なる方法で解いても(3)の解は上記と同じ$x=\dfrac{2}{3}$となります。
(4)$\dfrac{1}{3x}=\dfrac{1}{x}$
左辺の分母が$3x$、右辺の分母が$x$なので、少なくとも(4)が成り立つ条件は
\[x\neq0\]
であることがわかります。
(4)の両辺に$3x$を掛けて分母を払うと
\begin{align*}\frac{1}{3x}\cdot3x&=\frac{1}{x}\cdot3x\\[0.5em]1&=3\end{align*}
となり、$1=3$という間違った等式が得られます。
間違った等式が得られた原因は、(4)が成り立つ、すなわち正しい等式となるような$x$があるという前提が間違っていたことにあります。(方程式を解くというのは、方程式が成り立たせるような解があるという前提から出発しています。)
したがって、(4)には成り立つような$x$が存在しないということで、(4)は解なしとなります。
ちなみに、両辺に$3x\cdot x$を掛けて分母を払うと
\begin{align*}\frac{1}{3x}\cdot(3x\cdot x)&=\frac{1}{x}\cdot(3x\cdot
x)\\[0.5em]x&=3x\\[0.5em]-2x&=0\\[0.5em]x&=0\end{align*}
となりますが、$x\neq0$という条件により$x=0$が解から除かれるため上記と同様に解なしとなります。
(5)$\dfrac{7x}{x}=7$
左辺の分母が$x$なので、少なくとも(5)が成り立つ条件は
\[x\neq0\]
であることがわかります。
(5)の両辺に$x$を掛けて分母を払うと
\begin{align*}\frac{7x}{x}\cdot
x&=7x\\[0.5em]7x&=7x\\[0.5em]x&=x\end{align*}
となります。
$x=x$は$x$にどのような数を代入したとしても成り立ちます。
すなわち、$x=x$は恒等式であり、これを方程式としてみたときの解はすべての実数となります。
すなわち、$x=x$は恒等式であり、これを方程式としてみたときの解はすべての実数となります。
しかし、$x=x$は(5)を変形して得られたものなので$x\neq0$という条件が付いています。
したがって、$x\neq0$により$x=0$が解から除かれ、(5)の解は$0$以外のすべての実数となります。
ちなみに、$x=x$の両辺から$x$を引くと$0=0$という等式になります。この等式には$x$がないため、$x$にどんな数を代入したとしても成り立ちます。
したがって、$0=0$を方程式としてみたときの解は$x=x$と同様にすべての実数となります。
(5)の左辺を$x\neq0$という条件で約分して得られる$7=7$についても同様です。
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