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2025年9月18日

正の数の実数乗の値と指数の関係

 正の数の実数乗の値と指数の関係には以下のようなものがあります。
$0<a<1$である正の数$a$と実数$x$について
\begin{cases}x>0&\Leftrightarrow &0<a^x<1\\[0.5em]x=0&\Leftrightarrow &a^x=1\\[0.5em]x<0&\Leftrightarrow &1<a^x\end{cases}
$1<a$である正の数$a$と実数$x$について
\begin{cases}x<0&\Leftrightarrow &0<a^x<1\\[0.5em]x=0&\Leftrightarrow &a^x=1\\[0.5em]x>0&\Leftrightarrow &1<a^x\end{cases}
$0<a<1$である正の数$a$と実数$x, y$について
\[x<y\ \Leftrightarrow\ a^x>a^y\]
$1<a$である正の数$a$と実数$x, y$について
\[x<y\ \Leftrightarrow\ a^x<a^y\]
$1$でない正の数$a$と実数$x, y$について
\[x=y\ \Leftrightarrow\ a^x=a^y\]
これらが成り立つことを確かめてみます。

 まず、これらを確かめるために利用する正の数の実数乗の性質・大小関係を以下に載せます。
$0<a<1$である正の数$a$と実数$x$について
\begin{cases}1<a^x&(x<0)\\[0.5em]a^x=1&(x=0)\\[0.5em]0<a^x<1&(x>0)\end{cases}
$1<a$である正の数$a$と実数$x$について
\begin{cases}0<a^x<1&(x<0)\\[0.5em]a^x=1&(x=0)\\[0.5em]1<a^x&(x>0)\end{cases}
正の数$a$と$x<y$である実数$x, y$について
\begin{cases}a^x>a^y&(0<a<1)\\[0.5em]a^x<a^y&(1<a)\end{cases}
これらの性質・大小関係から以下のような真なる命題がいえます。
$0<a<1$である正の数$a$と実数$x$について
\begin{equation}\begin{cases}x<0&\Rightarrow&1<a^x\\[0.5em]x=0&\Rightarrow &a^x=1\\[0.5em]x>0&\Rightarrow&0<a^x<1\end{cases}\end{equation}
$1<a$である正の数$a$と実数$x$について
\begin{equation}\begin{cases}x<0&\Rightarrow&0<a^x<1\\[0.5em]x=0&\Rightarrow &a^x=1\\[0.5em]x>0&\Rightarrow&1<a^x\end{cases}\end{equation}
$0<a<1$である正の数$a$と実数$x, y$について
\begin{equation}x<y\ \Rightarrow\ a^x>a^y\end{equation}
$1<a$である正の数$a$と実数$x, y$について
\begin{equation}x<y\ \Rightarrow\ a^x<a^y\end{equation}
そして、$(3),(4)$をまとめた以下の命題もいえます。
$1$でない正の数$a$と実数$x, y$について
\begin{equation}x\neq y\ \Rightarrow\ a^x\neq a^y\end{equation}

正の数の実数乗の値と指数の関係

$0<a<1$のときの実数乗の値と指数の関係

$0<a<1$である正の数$a$と実数$x$について
\[\begin{cases}x<0&\Rightarrow&1<a^x\\[0.5em]x=0&\Rightarrow &a^x=1\\[0.5em]x>0&\Rightarrow&0<a^x<1\end{cases}\tag1\]
の逆
$0<a<1$である正の数$a$と実数$x$について
\[\begin{cases}1<a^x&\Rightarrow &x<0\\[0.5em]a^x=1&\Rightarrow &x=0\\[0.5em]0<a^x<1&\Rightarrow &x>0\end{cases}\tag*{(1)'}\]
の真偽を確かめてみます。

 $(1)'$の1つ目の命題
\[1<a^x\ \Rightarrow\ x<0\]
の対偶は
\[x\geqq0 \Rightarrow\ a^x\leqq1\]
となります。
これは$(1)$の2つ目と3つ目の命題より真であることがわかります。
($x=0$のときと$x>0$のときで場合分けすると、いずれの場合でも$a^x≦1$を満たすことから)

対偶が真なので、元の命題である$(1)'$の1つ目の命題もまた真であることがわかります。


 $(1)'$の2つ目の命題
\[a^x=1\ \Rightarrow\ x=0\]
の対偶は
\[x\neq0\ \Rightarrow\ a^x\neq1\]
となります。
これは$(1)$の1つ目と3つ目の命題より真であることがわかります。
($x≠0$は$x<0$のときと$x>0$のときで場合分けでき、いずれの場合でも$a^x≠1$を満たすことから)

対偶が真なので、元の命題である$(1)'$の2つ目の命題もまた真であることがわかります。


 $(1)'$の3つ目の命題
\[0<a^x<1\ \Rightarrow\ x>0\]
の対偶は
\[x\leqq0\ \Rightarrow\ a^x\leqq0\text{または}1\leqq a^x\]
となります。
これは$(1)$の1つ目と2つ目の命題より真であることがわかります。
($x<0$のときと$x=0$のときで場合分けすると、いずれの場合でも$1≦a^x$のほうを満たすことから)

対偶が真なので、元の命題である$(1)'$の3つ目の命題もまた真であることがわかります。


 以上より、$(1)$の3つの命題とこれらの逆命題である$(1)'$が真であることがわかったので、以下のことがいえます。
$0<a<1$である正の数$a$と実数$x$について
\begin{cases}x>0&\Leftrightarrow &0<a^x<1\\[0.5em]x=0&\Leftrightarrow &a^x=1\\[0.5em]x<0&\Leftrightarrow &1<a^x\end{cases}

$1<a$のときの実数乗の値と指数の関係

$1<a$である正の数$a$と実数$x$について
\[\begin{cases}x<0&\Rightarrow&0<a^x<1\\[0.5em]x=0&\Rightarrow &a^x=1\\[0.5em]x>0&\Rightarrow&1<a^x\end{cases}\tag2\]
の逆
$1<a$である正の数$a$と実数$x$について
\[\begin{cases}0<a^x<1&\Rightarrow &x<0\\[0.5em]a^x=1&\Rightarrow &x=0\\[0.5em]1<a^x&\Rightarrow &x>0\end{cases}\tag*{(2)'}\]
の真偽を確かめてみます。

 $(2)'$の1つ目の命題
\[0<a^x<1\ \Rightarrow\ x<0\]
の対偶は
\[x\geqq0\ \Rightarrow\ a^x\leqq0\text{または}1\leqq a^x\]
となります。
これは$(2)$の2つ目と3つ目の命題より真であることがわかります。
($x=0$のときと$x>0$のときで場合分けすると、いずれの場合でも$1\leqq a^x$のほうを満たすことから)

対偶が真なので、元の命題である$(2)'$の1つ目の命題もまた真であることがわかります。


 $(2)'$の2つ目の命題
\[a^x=1\ \Rightarrow\ x=0\]
の対偶は
\[a^x\neq1\ \Rightarrow\ x\neq0\]
となります。
これは$(2)$の1つ目と3つ目の命題より真であることがわかります。
($x<0$のときと$x>0$のときで場合分けすると、いずれの場合でも$a^x≠1$を満たすことから)

対偶が真なので、元の命題である$(2)'$の2つ目の命題もまた真であることがわかります。


 $(2)'$の3つ目の命題
\[1<a^x\ \Rightarrow\ x>0\]
の対偶は
\[x\leqq0\ \Rightarrow\ a^x\leqq1\]
となります。
これは$(2)$の1つ目と2つ目の命題より真であることがわかります。
($x<0$のときと$x=0$のときで場合分けすると、いずれの場合でも$a^x≦1$を満たすことから)

対偶が真なので、元の命題である$(2)'$の3つ目の命題もまた真であることがわかります。


 以上より、$(2)$の3つの命題とこれらの逆命題である$(2)'$が真であることがわかったので、以下のことがいえます。
$1<a$である正の数$a$と実数$x$について
\begin{cases}x<0&\Leftrightarrow &0<a^x<1\\[0.5em]x=0&\Leftrightarrow &a^x=1\\[0.5em]x>0&\Leftrightarrow &1<a^x\end{cases}

正の数の実数乗の値の大小関係と指数の大小関係

 まず、真なる命題
$1$でない正の数$a$と実数$x, y$について
\[x\neq y\ \Rightarrow\ a^x\neq a^y\tag5\]
の対偶
$1$でない正の数$a$と実数$x, y$について
\[a^x=a^y\ \Rightarrow\ x=y\tag*{(5)'}\]
も真です。
これは後述の$(3)$と$(4)$の逆の真偽を確かめるために利用します。
また、$(5)'$と$(5)$の裏でもある真なる命題
$1$でない正の数$a$と実数$x, y$について
\[x=y\ \Rightarrow\ a^x=a^y\]
をあわせれば
$1$でない正の数$a$と実数$x, y$について
\[x=y\ \Leftrightarrow\ a^x=a^y\]
となります。

$0<a<1$のときの実数乗の値の大小関係と指数の大小関係

$0<a<1$である正の数$a$と実数$x, y$について
\[x<y\ \Rightarrow\ a^x>a^y\tag3\]
の逆
$0<a<1$である正の数$a$と実数$x, y$について
\[a^x>a^y\ \Rightarrow\ x<y\tag*{(3)'}\]
の真偽を確かめてみます。
 $(3)'$の対偶は
\[x\geqq y\ \Rightarrow\ a^x\leqq a^y\]
となります。
これは$x$と$y$を入れ替えた$(3)$と$(5)'$より真であることがわかります。
($x=y$のときと$x>y$のときで場合分けすると、どちらの場合でも$a^x≦a^y$を満たすことから)
$(3)$とその逆である$(3)'$がともに真であるため、以下のことがいえます。
$0<a<1$である正の数$a$と実数$x, y$について
\[x<y\ \Leftrightarrow\ a^x>a^y\]

$1<a$のときの実数乗の値の大小関係と指数の大小関係

$1<a$である正の数$a$と実数$x, y$について
\[x<y\ \Rightarrow\ a^x<a^y\tag4\]
の逆
$1<a$である正の数$a$と実数$x, y$について
\[a^x<a^y\ \Rightarrow\ x<y\tag*{(4)'}\]
の真偽を確かめてみます。
 $(4)'$の対偶は
\[x\geqq y\ \Rightarrow\ a^x\geqq a^y\]
となります。
これは$x$と$y$を入れ替えた$(4)$と$(5)'$より真であることがわかります。
($x=y$のときと$x>y$のときで場合分けすると、どちらの場合でも$a^x≧a^y$を満たすことから)
$(4)$とその逆である$(4)'$がともに真であるため、以下のことがいえます。
$1<a$である正の数$a$と実数$x, y$について
\[x<y\ \Leftrightarrow\ a^x<a^y\]

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