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2025年9月26日

対数の大小関係

 対数の大小関係は以下のようになります。
$0<a<1$である正の数$a$と正の実数$M$について
\begin{cases}\log_a{M}>0&(0<M<1)\\[0.5em]\log_a{M}=0&(M=1)\\[0.5em]\log_a{M}<0&(1<M)\end{cases}
$1<a$である正の数$a$と正の実数$M$について
\begin{cases}\log_a{M}<0&(0<M<1)\\[0.5em]\log_a{M}=0&(M=1)\\[0.5em]\log_a{M}>0&(1<M)\end{cases}
正の数$a$と$M<N$である正の実数$M, N$について
\begin{cases}\log_a{M}>\log_a{N}&(0<a<1)\\[0.5em]\log_a{M}<\log_a{N}&(1<a)\end{cases}
これらが成り立つことを確かめてみます。

対数の大きさ

 正の数$a$と実数$x$をもちいた$a^x$の値を$M$とおく、すなわち
\begin{equation}a^x=M\end{equation}
が成り立つとします。このとき、$M$は正の実数となります。
また、$(1)$と対数の定義より
\begin{equation}x=\log_a{M}\end{equation}
が成り立ちます。
すると、正の数の実数乗の値と指数の関係
$0<a<1$である正の数$a$と実数$x$について
\begin{cases}x>0&\Leftrightarrow &0<a^x<1\\[0.5em]x=0&\Leftrightarrow &a^x=1\\[0.5em]x<0&\Leftrightarrow &1<a^x\end{cases}
$1<a$である正の数$a$と実数$x$について
\begin{cases}x<0&\Leftrightarrow &0<a^x<1\\[0.5em]x=0&\Leftrightarrow &a^x=1\\[0.5em]x>0&\Leftrightarrow &1<a^x\end{cases}
は、$(1), (2)$をもちいて以下のように書き換えることができます。
$0<a<1$である正の数$a$と正の実数$M$について
\begin{cases}\log_a{M}<0&\Leftrightarrow &0<M<1\\[0.5em]\log_a{M}=0&\Leftrightarrow &M=1\\[0.5em]\log_a{M}>0&\Leftrightarrow &1<M\end{cases}
$1<a$である正の数$a$と正の実数$M$について
\begin{cases}\log_a{M}<0&\Leftrightarrow &1<M\\[0.5em]\log_a{M}=0&\Leftrightarrow &M=1\\[0.5em]\log_a{M}>0&\Leftrightarrow &0<M<1\end{cases}
ここで、$M$の範囲を仮定とする命題(左方向の命題)に着目すると以下のような書き換えができます。
$0<a<1$である正の数$a$と正の実数$M$について
\begin{equation}\begin{cases}\log_a{M}>0&(0<M<1)\\[0.5em]\log_a{M}=0&(M=1)\\[0.5em]\log_a{M}<0&(1<M)\end{cases}\end{equation}
$1<a$である正の数$a$と正の実数$M$について
\begin{equation}\begin{cases}\log_a{M}<0&(0<M<1)\\[0.5em]\log_a{M}=0&(M=1)\\[0.5em]\log_a{M}>0&(1<M)\end{cases}\end{equation}

対数の大小関係

 正の数$a$と$M<N$である正の実数$M, N$をもちいた$\log_a{M}, \log_a{N}$の差を利用して大小関係を調べます。

$0<a<1$のとき

 $\log_a{M}, \log_a{N}$の差$\log_a{M}-\log_a{N}$は対数の計算法則より
\[\log_a{M}-\log_a{N}=\log_a\frac{M}{N}\]
と書けます。
$M<N$より$\dfrac{M}{N}<1$、さらに$M, N$はともに正の実数であることから$0<\dfrac{M}{N}<1$となるので、$(3)$より
\[\log_a\frac{M}{N}>0\]
すなわち
\[\log_a{M}-\log_a{N}>0\]
となります。
両辺に$\log_a{N}$を加えれば
\[\log_a{M}>\log_a{N}\]
なので、以下のことがいえます。
$0<a<1$である正の数$a$と$M<N$である正の実数$M, N$について
\[\large\log_a{M}>\log_a{N}\]
これは正の数の実数乗の値と指数の関係の
$0<a<1$である正の数$a$と実数$x, y$について
\[x<y\ \Leftrightarrow\ a^x>a^y\]
から対数の大きさでもちいたのと同様の方法で導くこともできます。

$1<a$のとき

 $\log_a{M}, \log_a{N}$の差$\log_a{M}-\log_a{N}$は対数の計算法則より
\[\log_a{M}-\log_a{N}=\log_a\frac{M}{N}\]
と書けます。(再掲)
$M<N$より$\dfrac{M}{N}<1$、さらに$M, N$はともに正の実数であることから$0<\dfrac{M}{N}<1$となるので、$(4)$より
\[\log_a\frac{M}{N}<0\]
すなわち
\[\log_a{M}-\log_a{N}<0\]
となります。
両辺に$\log_a{N}$を加えれば
\[\log_a{M}<\log_a{N}\]
なので、以下のことがいえます。
$1<a$である正の数$a$と$M<N$である正の実数$M, N$について
\[\large\log_a{M}<\log_a{N}\]
これは正の数の実数乗の値と指数の関係の
$1<a$である正の数$a$と実数$x, y$について
\[x<y\ \Leftrightarrow\ a^x<a^y\]
から対数の大きさでもちいたのと同様の方法で導くこともできます。

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