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2025年8月28日

対数とは?(対数の計算法則)

 対数とは、べき乗の値からみたべき乗の指数のことです。

例えば、ある数$a$の$x$乗の値が$M$である、すなわち
\[\large a^x=M\]
が成り立っているとき、$x$を$a$を底とする$M$の対数といいます。
$x$はべき乗$a^x$という計算の中では指数、べき乗の値$M$との関係の中では対数と呼び分けられます。

実数範囲における対数

 $a^x$が正の数の実数乗、すなわち$a$が正の数、$x$が実数の場合を考えます。

$a\neq1$のとき、正の数$a$の実数乗$a^x$の値を$M$とすると、正の数の実数乗の大小関係より$M>0$となります。またこのとき、指数$x$と実数乗の値$M$が一対一対応となります。
言い換えれば、正の数$M$に対して$a$を底とする$M$の対数としての実数$x$の値はただ1つに定まるということです。

一方、$a=1$のとき、実数乗$a^x$は指数$x$にかかわらず常に$1$($M=1$)です。
すなわち、$1$という値に対して、$a$を底とする$M$の対数$x$の値は無数にあるということです。

値を一意に決めることができる$a\neq1$のときの対数$x$に対し、以下のような定義をします。
$a\neq1$である正の数$a$と正の数$M$をもちいた方程式
\[a^x=M\tag{i}\]
を満たす$a$を底とする$M$の対数である実数$x$を
\[x=\log_a{M}\tag{ii}\]
と表す。
この$\log_a{M}$が実数範囲における対数です。

対数$\log_a{M}$の$a$を、$M$を真数といいます。
上記の定義より、底$a$は$a>0$かつ$a\neq1$、真数$M$は$M>0$と、とる値が決まっていることがわかります。特に真数の$M>0$は真数条件と呼ばれます。

$\log_a{M}$は$a$を何乗すれば$M$となるかを表す数なのですが、これと類似した数として分数と累乗根を挙げます。
  • ある数$a$に何らかの数を掛けて積が$M$となったとき、掛けた数は分数で$\dfrac{M}{a}$と表すことができます。
  • 何らかの数をある整数$a$乗して$M$となったとき、(実数の範囲で)$a$乗された数は累乗根で$\sqrt[a]{M}$と表すことができます。

対数の性質・計算法則

対数の性質

 対数の性質には以下のようなものがあります。
$a\neq1$である正の数$a$と正の数$M$について
\begin{align}a^{\log_a{M}}&=M\\[1em]\log_a{1}&=0\\[1em]\log_a{a}&=1\end{align}
これらが成り立つことを確かめてみます。

$(1)\ a^{\log_a{M}}=M$

 $\log_a{M}$の定義の$\text{(i),(ii)}$を連立すると
\begin{cases}a^x=M\\[0.5em]x=\log_a{M}\end{cases}
となります。
$\text{(i)}$に$\text{(ii)}$を代入すると
\[\large a^{\log_a{M}}=M\]
が成り立つことがわかります。

$(2)\ \log_a{1}=0$

 $\log_a{M}$の定義の$\text{(i)}$に$x=0$を代入すると
\begin{align*}a^0&=M\\[0.5em]\therefore M&=1\end{align*}
したがって、$\text{(ii)}$は
\[\large\log_a{1}=0\]
となることがわかります。

$(3)\ \log_a{a}=1$

 $\log_a{M}$の定義の$\text{(i)}$に$x=1$を代入すると
\begin{align*}a^1&=M\\[0.5em]\therefore M&=a\end{align*}
したがって、$\text{(ii)}$は
\[\large\log_a{a}=1\]
となることがわかります。

対数の計算法則

 対数の計算法則には以下のようなものがあります。
$a\neq1, b\neq1$である正の数$a, b$と正の数$M, N$、実数$c$について
\begin{align}\log_a{M}+\log_a{N}&=\log_a{MN}\\[1em]\log_a{M}-\log_a{N}&=\log_a\frac{M}{N}\\[1em]c\log_a{M}&=\log_a{M^c}\\[1em]\log_a{M}&=\frac{\log_b{M}}{\log_b{a}}\end{align}
これらが成り立つことを確かめてみます。

$(4)\ \log_a{M}+\log_a{N}=\log_a{MN}$

 実数乗の指数法則より
$a\neq1$である正の数$a$と実数$x, y$について
\[a^x\times a^y=a^{x+y}\tag{iii}\]
が成り立ちます。
ここで、$a^x=M, a^y=N$とおくと対数の定義より
\begin{align*}x&=\log_a{M}\tag{iv}\\[1em]y&=\log_a{N}\tag{v}\end{align*}
となります。
また、$a^x=M, a^y=N$を$\text{(iii)}$に代入すると
\[a^{x+y}=MN\]
となり、対数の定義より
\[x+y=\log_a{MN}\]
と書けることがわかります。
これに$\text{(iv),(v)}$を代入すると
\[\large\log_a{M}+\log_a{N}=\log_a{MN}\]
が成り立つことがわかります。

$(5)\ \log_a{M}-\log_a{N}=\log_a\dfrac{M}{N}$

 実数乗の指数法則より
$a\neq1$である正の数$a$と実数$x, y$について
\[\frac{a^x}{a^y}=a^{x-y}\tag{vi}\]
が成り立ちます。
ここで、$a^x=M, a^y=N$とおくと対数の定義より
\begin{align*}x&=\log_a{M}\tag{iv}\\[1em]y&=\log_a{N}\tag{v}\end{align*}
となります。(再掲)
また、$a^x=M, a^y=N$を$\text{(vi)}$に代入すると
\[a^{x-y}=\frac{M}{N}\]
となり、対数の定義より
\[x-y=\log_a\frac{M}{N}\]
と書けることがわかります。
これに$\text{(iv),(v)}$を代入すると
\[\large\log_a{M}-\log_a{N}=\log_a\frac{M}{N}\]
が成り立つことがわかります。

$(6)\ c\log_a{M}=\log_a{M^c}$

 実数乗の指数法則より
$a\neq1$である正の数$a$と実数$x, c$について
\[\bigl(a^x\bigr)^c=a^{cx}\tag{vii}\]
が成り立ちます。
ここで、$a^x=M$とおくと対数の定義より
\[x=\log_a{M}\tag{iv}\]
となります。(一部再掲)
また、$a^x=M$を$\text{(vii)}$に代入すると
\[a^{cx}=M^c\]
となり、対数の定義より
\[cx=\log_a{M^c}\]
と書けることがわかります。
これに$\text{(iv)}$を代入すると
\[\large c\log_a{M}=\log_a{M^c}\]
が成り立つことがわかります。

$(7)\ \log_a{M}=\dfrac{\log_b{M}}{\log_b{a}}$

 $a\neq1$である正の数$a$と正の数$M$、実数$x$について
\[a^x=M\tag{viii}\]
が成り立っているとすると、対数の定義より
\[x=\log_a{M}\tag{ix}\]
となります。
また、$b\neq1$である正の数$b$と実数$y, z$について
\begin{align*}b^y&=a\tag{x}\\[1em]b^z&=M\tag{xi}\end{align*}
が成り立つとすると、対数の定義より
\begin{align*}y&=\log_b{a}\tag{xii}\\[1em]z&=\log_b{M}\tag{xiii}\end{align*}
となります。
このとき、$\text{(xii)}$について、$a\neq1$より$y\neq0$であることがわかります。
$\text{(x),(xi)}$を$\text{(viii)}$に代入すると
\begin{align*}\bigl(b^y\bigr)^x&=b^z\\[0.5em]b^{xy}&=b^z\end{align*}
となり、対数の定義より
\begin{align*}xy&=\log_b{b^z}\\[0.5em]xy&=z\log_b{b}\\[0.5em]xy&=z\\[0.5em]\therefore x&=\frac{z}{y}&(\because y\neq0)\end{align*}
となります。
これに$\text{(ix),(xii),(xiii)}$を代入すると
\[\large\log_a{M}=\frac{\log_b{M}}{\log_b{a}}\]
が成り立つことがわかります。
この計算法則は、対数を別の底をもつ対数に変えるので底の変換公式と呼ばれます。

$(7)$について、$b=M$のときを考えると
\begin{align*}\log_a{M}&=\frac{\log_M{M}}{\log_M{a}}\\[0.5em]&=\frac{1}{\log_M{a}}&\bigl(\because(3)\bigr)\\[0.5em]\therefore\log_a{M}&=\frac{1}{\log_M{a}}\end{align*}
が成り立つことがわかります。
また、$b=\dfrac{1}{a}$のときを考えると
\begin{align*}\log_a{M}&=\frac{\log_\frac{1}{a}{M}}{\log_\frac{1}{a}{a}}\\[0.5em]&=\frac{\log_\frac{1}{a}{M}}{\log_\frac{1}{a}\left(\frac{1}{a}\right)^{-1}}&\left(\because x^{-1}=\frac{1}{x}\right)\\[0.5em]&=\frac{\log_\frac{1}{a}{M}}{-\log_\frac{1}{a}\frac{1}{a}}&\bigl(\because(6)\bigr)\\[0.5em]&=\frac{\log_\frac{1}{a}{M}}{-1}&\bigl(\because(3)\bigr)\\[0.5em]\therefore\log_a{M}&=-\log_\frac{1}{a}{M}\end{align*}
が成り立つことがわかります。

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