正の数の実数乗の性質と大小関係は以下のようになります。
正の数の実数乗の性質1
$0<a<1$である正の数$a$と実数$x$について
\[\large\begin{cases}1<a^x&(x<0)\\[0.5em]a^x=1&(x=0)\\[0.5em]0<a^x<1&(x>0)\end{cases}\]
$a=1$である正の数$a$と実数$x$について、$x$の値にかかわらず常に
\[\large a^x=1\]
$1<a$である正の数$a$と実数$x$について
\[\large\begin{cases}0<a^x<1&(x<0)\\[0.5em]a^x=1&(x=0)\\[0.5em]1<a^x&(x>0)\end{cases}\]
特に、正の数$a$と実数$x$について、$a, x$の値にかかわらず常に
\[\large a^x>0\]
正の数の実数乗の大小関係
・底が同じ場合
$0<a<1$である正の数$a$と$x<y$である実数$x, y$について
\[\large a^x>a^y\]
$a=1$である正の数$a$と実数$x, y$について、$x, y$の値にかかわらず常に
\[\large a^x=a^y=1\]
$1<a$である正の数$a$と$x<y$である実数$x, y$について
\[\large a^x<a^y\]
・底が異なる場合
$a<b$である正の数$a, b$と実数$x$について
\[\large\begin{cases}a^x>b^x&(x<0)\\[0.5em]a^x=b^x=1&(x=0)\\[0.5em]a^x<b^x&(x>0)\end{cases}\]
正の数$a, b$と実数$x, y$について
\[\large\begin{cases}a^x<b^y&(x\ln{a}-y\ln{b}<0)\\[0.5em]a^x=b^y&(x\ln{a}-y\ln{b}=0)\\[0.5em]a^x>b^y&(x\ln{a}-y\ln{b}>0)\end{cases}\]
正の数の実数乗の性質2
$0<a<1$である正の数$a$と実数$x$について
\begin{gather*}\large\lim_{x\to\infty}a^x=0\\[1em]\large\lim_{x\to-\infty}a^x=\infty\end{gather*}
$a=1$である正の数$a$と実数$x$について
\[\large\lim_{x\to\infty}a^x=\lim_{x\to-\infty}a^x=1\]
$1<a$である正の数$a$と実数$x$について
\begin{gather*}\large\lim_{x\to\infty}a^x=\infty\\[1em]\large\lim_{x\to-\infty}a^x=0\end{gather*}
なぜこれらが成り立つのでしょうか?
正の数の実数乗の性質1
正の数$a$と実数$x$をもちいた実数乗$a^x$のとる値の範囲を調べます。
実数乗$a^x$は、実数乗の定義より$x$に収束する有理数の数列$\{r_n\}$をもちいて
\[a^x=\lim_{n\to\infty}a^{r_n}\]
となります。
この$x$に収束する有理数数列$\{r_n\}$を利用して正の数の実数乗の性質を導きます。
$0<a<1$のとき
$x<0$のときと$x=0$のときと$x>0$のときの3つの場合に分けて考えます。
$x<0$のとき
$x<s<0$となるような有理数$s$をとります。
すると、有理数数列$\{r_n\}$は$x$に収束するので、十分に大きい自然数$N$をとると、
すると、有理数数列$\{r_n\}$は$x$に収束するので、十分に大きい自然数$N$をとると、
$n>N$において、常に
が成り立ちます。
\[r_n<s<0\]
このとき、正の数の有理数乗の大小関係より
\[a^0=1<a^s<a^{r_n}\]
となります。
$n$が限りなく大きくなると、実数乗の定義より$a^{r_n}$は$a^x$に収束して
\[1<a^s\leqq a^x\]
となります。(等号が付くのは、この時点では$a^x=a^s$になる可能性を完全には排除できないためです。)
したがって、
$0<a<1$である正の数$a$と実数$x$について、$x<0$のとき
が成り立つことがわかります。
\[1<a^x\]
$x=0$のとき
整数乗の定義より
\[a^0=1\]
なので、
$0<a<1$である正の数$a$と実数$x$について、$x=0$のとき
が成り立つことがわかります。
\[a^x=1\]
$x>0$のとき
$s>x>t>0$となるような有理数$s, t$をとります。
すると、有理数数列$\{r_n\}$は$x$に収束するので、十分に大きい自然数$N$をとると、
すると、有理数数列$\{r_n\}$は$x$に収束するので、十分に大きい自然数$N$をとると、
$n>N$において、常に
が成り立ちます。
\[s>r_n>t>0\]
このとき、正の数の有理数乗の性質と大小関係より
\[0<a^s<a^{r_n}<a^t<a^0=1\]
となります。
$n$が限りなく大きくなると、実数乗の定義より$a^{r_n}$は$a^x$に収束して
\[0<a^s\leqq a^x\leqq a^t<1\]
が成り立ちます。
したがって、
$0<a<1$である正の数$a$と実数$x$について、$x>0$のとき
が成り立つことがわかります。
\[0<a^x<1\]
以上より、
$0<a<1$である正の数$a$と実数$x$について
となります。
\[\large\begin{cases}1<a^x&(x<0)\\[0.5em]a^x=1&(x=0)\\[0.5em]0<a^x<1&(x>0)\end{cases}\]
$a=1$のとき
実数$x$に収束する有理数数列$\{r_n\}$について、常に
\[1^{r_n}=1\]
が成り立ちます。
したがって、$n$が限りなく大きくなると、$1^{r_n}$は$1$に収束するため、
$a=1$である正の数$a$と実数$x$について、$x$の値にかかわらず
が成り立つことがわかります。
\[\large a^x=1\]
$1<a$のとき
$x<0$のときと$x=0$のときと$x>0$のときの3つの場合に分けて考えます。
$x<0$のとき
$s<x<t<0$となるような有理数$s, t$をとります。
すると、十分に大きい自然数$N$をとると、$x$に収束する有理数数列$\{r_n\}$について、
すると、十分に大きい自然数$N$をとると、$x$に収束する有理数数列$\{r_n\}$について、
$n>N$において常に
が成り立ちます。
\[s<r_n<t<0\]
このとき、正の数の有理数乗の性質と大小関係より
\[0<a^s<a^{r_n}<a^t<a^0=1\]
となります。
$n$が限りなく大きくなると、実数乗の定義より$a^{r_n}$は$a^x$に収束して
\[0<a^s\leqq a^x\leqq a^t<1\]
が成り立ちます。
したがって、
$1<a$である正の数$a$と実数$x$について、$x<0$のとき
が成り立つことがわかります。
\[0<a^x<1\]
$x=0$のとき
整数乗の定義より
\[a^0=1\]
なので、
$1<a$である正の数$a$と実数$x$について、$x=0$のとき
が成り立つことがわかります。
\[a^x=1\]
$x>0$のとき
$x>s>0$となるような有理数$s$をとります。
すると、十分に大きい自然数$N$をとると、$x$に収束する有理数数列$\{r_n\}$について、
すると、十分に大きい自然数$N$をとると、$x$に収束する有理数数列$\{r_n\}$について、
$n>N$において常に
が成り立ちます。
\[r_n>s>0\]
このとき、正の数の有理数乗の大小関係より
\[a^0=1<a^s<a^{r_n}\]
となります。
$n$が限りなく大きくなると、実数乗の定義より$a^{r_n}$は$a^x$に収束して
\[1<a^s\leqq a^x\]
が成り立ちます。
したがって、
$1<a$である正の数$a$と実数$x$について、$x>0$のとき
が成り立つことがわかります。
\[1<a^x\]
以上より、
$1<a$である正の数$a$と実数$x$について
となります。
\[\large\begin{cases}0<a^x<1&(x<0)\\[0.5em]a^x=1&(x=0)\\[0.5em]1<a^x&(x>0)\end{cases}\]
また、正の数$a$と実数$x$の値にかかわらず、実数乗$a^x$の値が$0$より大きいことは共通しています。
したがって、
正の数$a$と実数$x$について、$a, x$の値にかかわらず常に
が成り立つことがわかります。
\[\large a^x>0\]
正の数の実数乗の大小関係
底が同じ場合
正の数$a$と$x<y$である実数$x, y$をもちいた実数乗$a^x,
a^y$の大小関係について調べます。
$0<a<1$のとき
実数乗$a^x, a^y$の比$\dfrac{a^x}{a^y}$は、実数乗の計算法則より
\begin{equation}\frac{a^x}{a^y}=a^{x-y}\end{equation}
と書くことができます。
$x<y$より$x-y<0$であり、$0<a<1$なので、正の数の実数乗の性質より
\[1<a^{x-y}\]
であることがわかります。
$(1)$より、
\[1<\frac{a^x}{a^y}\]
となり、両辺に$a^y$を掛けると、正の数の実数乗の性質より$a^y>0$なので
\[a^y<a^x\]
となります。
したがって、
$0<a<1$である正の数$a$と$x<y$である実数$x, y$について
が成り立つことがわかります。
\[\large a^x>a^y\]
$a=1$のとき
正の数の実数乗の性質より、任意の実数$x, y$について
\[1^x=1, 1^y=1\]
が成り立ちます。
したがって、
$a=1$である正の数$a$と実数$x, y$について、$x, y$の値にかかわらず常に
が成り立つことがわかります。
\[\large a^x=a^y=1\]
$1<a$のとき
実数乗$a^x, a^y$の比$\dfrac{a^x}{a^y}$は$(1)$、すなわち
\[\frac{a^x}{a^y}=a^{x-y}\]
と書くことができます。
$x<y$より$x-y<0$であり、$1<a$なので、正の数の実数乗の性質より
\[0<a^{x-y}<1\]
であることがわかります。
$(1)$より、
\[0<\frac{a^x}{a^y}<1\]
となり、両辺に$a^y$を掛けると
\[0<a^x<a^y\]
となります。
したがって、
$1<a$である正の数$a$と$x<y$である実数$x, y$について
が成り立つことがわかります。
\[\large a^x<a^y\]
底が異なる場合
指数が同じ場合
$a<b$である正の数$a, b$と実数$x$をもちいた実数乗$a^x,
b^x$の大小関係について調べます。
実数乗$a^x, b^x$の比$\dfrac{a^x}{b^x}$は、実数乗の計算法則より
\begin{equation}\frac{a^x}{b^x}=\left(\frac{a}{b}\right)^x\end{equation}
と書くことができます。
$0<a<b$より$0<\dfrac{a}{b}<1$なので、正の数の実数乗の性質より
\begin{cases}1<\left(\dfrac{a}{b}\right)^x&(x<0)\\[0.5em]\left(\dfrac{a}{b}\right)^x=1&(x=0)\\[0.5em]0<\left(\dfrac{a}{b}\right)^x<1&(x>0)\end{cases}
であることがわかります。
$(2)$より、
また、$x=0$のとき、整数乗の定義より$a^x=b^x=1$となります。
\begin{cases}1<\dfrac{a^x}{b^x}&(x<0)\\[0.5em]\dfrac{a^x}{b^x}=1&(x=0)\\[0.5em]0<\dfrac{a^x}{b^x}<1&(x>0)\end{cases}
となり、それぞれの等式・不等式の各辺に$b^x$を掛けると
\begin{cases}b^x<a^x&(x<0)\\[0.5em]a^x=b^x&(x=0)\\[0.5em]0<a^x<b^x&(x>0)\end{cases}
となります。また、$x=0$のとき、整数乗の定義より$a^x=b^x=1$となります。
したがって、
$a<b$である正の数$a, b$と実数$x$について
が成り立つことがわかります。
\[\large\begin{cases}a^x>b^x&(x<0)\\[0.5em]a^x=b^x=1&(x=0)\\[0.5em]a^x<b^x&(x>0)\end{cases}\]
指数が異なる場合
正の数$a, b$と実数$x, y$をもちいた実数乗$a^x,
b^y$の大小関係について調べます。
底または指数を揃えることができれば、これまでに導いた大小関係と同様の導出ができます。
そこで、対数をもちいて底を揃えます。
そこで、対数をもちいて底を揃えます。
実数乗$a, b$はネイピア数$e$をもちいて
すると、実数乗$a^x, b^y$の比$\dfrac{a^x}{b^y}$は、上記と実数乗の計算法則と対数の計算法則より
\begin{gather*}a=e^{\log_e{a}}\\[1em]b=e^{\log_e{b}}\end{gather*}
と表すことができます。(以降、$\log_e{a}, \log_e{b}$をそれぞれ$\ln{a},
\ln{b}$と書くことにします。)
すると、実数乗$a^x, b^y$の比$\dfrac{a^x}{b^y}$は、上記と実数乗の計算法則と対数の計算法則より
\begin{align*}\frac{a^x}{b^y}&=\frac{\bigl(e^\ln{a}\bigr)^x}{\bigl(e^\ln{b}\bigr)^y}\\[0.5em]&=\frac{e^{x\ln{a}}}{e^{y\ln{b}}}\\[0.5em]&=e^{x\ln{a}-y\ln{b}}\tag3\end{align*}
と書くことができます。
$1<e$なので、正の数の実数乗の性質より
\begin{cases}0<e^{x\ln{a}-y\ln{b}}<1&(x\ln{a}-y\ln{b}<0)\\[0.5em]e^{x\ln{a}-y\ln{b}}=1&(x\ln{a}-y\ln{b}=0)\\[0.5em]1<e^{x\ln{a}-y\ln{b}}&(x\ln{a}-y\ln{b}>0)\end{cases}
であることがわかります。
$(3)$より、
\begin{cases}0<\frac{a^x}{b^y}<1&(x\ln{a}-y\ln{b}<0)\\[0.5em]\frac{a^x}{b^y}=1&(x\ln{a}-y\ln{b}=0)\\[0.5em]1<\frac{a^x}{b^y}&(x\ln{a}-y\ln{b}>0)\end{cases}
となり、それぞれの等式・不等式の各辺に$b^y$を掛けると
\begin{cases}0<a^x<b^y&(x\ln{a}-y\ln{b}<0)\\[0.5em]a^x=b^y&(x\ln{a}-y\ln{b}=0)\\[0.5em]b^y<a^x&(x\ln{a}-y\ln{b}>0)\end{cases}
となります。
したがって、
正の数$a, b$と実数$x, y$について
が成り立つことがわかります。
\[\large\begin{cases}a^x<b^y&(x\ln{a}-y\ln{b}<0)\\[0.5em]a^x=b^y&(x\ln{a}-y\ln{b}=0)\\[0.5em]a^x>b^y&(x\ln{a}-y\ln{b}>0)\end{cases}\]
正の数の実数乗の性質2
正の数の実数乗の大小関係を利用して、実数$x$が$0$から限りなく離れたときの実数乗$a^x$の値がどうなるかについて考えます。
$0<a<1$のとき
実数$x$に対し、$n≦x<n+1$となるような整数$n$をとります。
すると、正の数の実数乗の大小関係より
すると、正の数の実数乗の大小関係より
\[a^{n+1}<a^x\leqq a^n\]
が成り立ちます。
$x$が限りなく大きくなるとき
$x$が限りなく大きくなると、これを挟んでいる$n,
n+1$も限りなく大きくなります。
すると、正の数の整数乗の性質より$a^n, a^{n+1}$は$0$に限りなく近づきます。
すると、正の数の整数乗の性質より$a^n, a^{n+1}$は$0$に限りなく近づきます。
したがって、これらの間にある$a^x$もまた$0$に限りなく近づくことになり、極限で表せば
\[\lim_{x\to\infty}a^x=0\]
となることがわかります。
$x$が負の方向へ限りなく進むとき
$x$が負の方向へ限りなく進むとき、これを挟んでいる$n,
n+1$も負の方向へ限りなく進みます。
すると、正の数の整数乗の性質より$a^n, a^{n+1}$は限りなく大きくなります。
すると、正の数の整数乗の性質より$a^n, a^{n+1}$は限りなく大きくなります。
したがって、これらの間にある$a^x$もまた限りなく大きくなることになり、極限で表せば
\[\lim_{x\to-\infty}a^x=\infty\]
となることがわかります。
以上より、
$0<a<1$である正の数$a$と実数$x$について
となります。
\begin{gather*}\large\lim_{x\to\infty}a^x=0\\[1em]\large\lim_{x\to-\infty}a^x=\infty\end{gather*}
$a=1$のとき
正の数の実数乗の性質より、任意の実数$x$について
\[a^x=1\]
が成り立ちます。これは$x$が$0$から限りなく離れたとしても変わりません。
したがって、
$a=1$である正の数$a$と実数$x$について
であることがわかります。
\[\large\lim_{x\to\infty}a^x=\lim_{x\to-\infty}a^x=1\]
$1<a$のとき
実数$x$に対し、$n≦x<n+1$となるような整数$n$をとります。
すると、正の数の実数乗の大小関係より
すると、正の数の実数乗の大小関係より
\[a^n\leqq a^x<a^{n+1}\]
が成り立ちます。
$x$が限りなく大きくなるとき
$x$が限りなく大きくなると、$n,
n+1$も限りなく大きくなるので、正の数の整数乗の性質より$a^n,
a^{n+1}$も限りなく大きくなります。
したがって、これらの間にある$a^x$もまた限りなく大きくなることになり、極限で表せば
\[\lim_{x\to\infty}a^x=\infty\]
となることがわかります。
$x$が負の方向へ限りなく進むとき
$x$が負の方向へ限りなく進むと、$n,
n+1$も負の方向へ限りなく進むので、正の数の整数乗の性質より$a^n,
a^{n+1}$は$0$に限りなく近づきます。
したがって、これらの間にある$a^x$もまた$0$に限りなく近づくことになり、極限で表せば
\[\lim_{x\to-\infty}a^x=0\]
となることがわかります。
以上より、
$1<a$である正の数$a$と実数$x$について
となります。
\begin{gather*}\large\lim_{x\to\infty}a^x=\infty\\[0.5em]\large\lim_{x\to-\infty}a^x=0\end{gather*}
(2026/6)内容を変更しました。
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