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2025年9月13日

階乗とは?

 階乗とは、$n!$($n:$自然数)で表される計算のことで、$1$から$n$までのすべての自然数を掛け合わせることを表します。
すなわち、
\begin{equation}n!=n\times(n-1)\times(n-2)\times\cdots3\times2\times1\end{equation}
という計算のことです。

また、
\[n!=\prod^n_{k=1}k\]
のように書くこともできます。($\prod$は与えられた数をすべて掛け合わせる総乗を表す記号で、与えられた数をすべて足し合わせる総和の$\sum$と記法は同じです。)
(1)$の$n$に$1$から$5$までの自然数をそれぞれ$代入した場合、以下のようになります。
\begin{align*}1!&=1\\[1em]2!&=2\times1\\[0.5em]&=2\\[1em]3!&=3\times2\times1\\[0.5em]&=6\\[1em]4!&=4\times3\times2\times1\\[0.5em]&=24\\[1em]5!&=5\times4\times3\times2\times1\\[0.5em]&=120\end{align*}
 階乗の定義は$(1)$なのですが、自然数$k$をもちいて
\begin{cases}1!=1\\[0.5em](k+1)!=(k+1)\times k!\end{cases}
という2つの式により階乗を定義する方法もあります。この定義法を再帰的定義といいます。
この定義に従えば$2!$は
\begin{align*}2!&=2\times1!\\[0.5em]&=2\times1\\[0.5em]&=2\end{align*}
$3!$は
\begin{align*}3!&=3\times2!\\[0.5em]&=3\times2\times1!\\[0.5em]&=3\times2\times1\\[0.5em]&=6\end{align*}
となります。
そして、$n!$($n:$任意の自然数)は
\begin{align*}n!&=n\times(n-1)!\\[0.5em]&=n\times(n-1)\times(n-2)!\\ &\qquad\vdots\\ &=n\times(n-1)\times\cdots\times2!\\[0.5em]&=n\times(n-1)\times\cdots\times2\times1!\\[0.5em]&=n\times(n-1)\times\cdots\times2\times1\end{align*}
となり、$(1)$と同じ式となることがわかります。

$0$の階乗・負の整数の階乗

 階乗の再帰的定義を拡張して$0$の階乗や負の整数の階乗というものを考えてみます。
階乗の再帰的定義の2つ目の式から方程式のように導く方法をとってみようと思います。

$0$の階乗

 階乗の再帰的定義の$k$が任意の整数の値をとれると認め、$k=0$を代入すると
\[(0+1)!=(0+1)\times0!\]
となり、整理すると
\begin{align*}1!&=1\times0!\\[0.5em]1!&=0!\end{align*}
となります。
$1!=1$なので、上式より
\[\large 0!=1\]
であることがわかります。

負の整数の階乗

 まずは階乗の再帰的定義に$k=-1$を代入すると
\begin{align*}(-1+1)!&=(-1+1)\times(-1)!\\[0.5em]0!&=0\times(-1)!\\[0.5em]1&=0\times(-1)!\end{align*}
となります。

$0$を何倍しても$1$にすることはできないことから$(-1)!$の値は定義できないことがわかります。


 すると、$k=-2$のとき
\begin{align*}(-2+1)!&=(-2+1)\times(-2)!\\[0.5em](-1)!&=(-1)\times(-2)!\end{align*}
となり、左辺は値が定義できない$(-1)!$となってしまいます。

したがって、この等式が成り立つことはないため$(-2)!$の値も定義できません。


同様に$k=-3,-4,\cdots$と順に負の整数の階乗を定義しようとしても、$k=-2$のときのように左辺に定義できない階乗が現れて等式が成り立たないためどの負の整数の階乗も定義できないことがわかります。


$0$の階乗も含めた階乗の再帰的定義は1つ目の式を変更して以下のように書けます。
\begin{cases}0!=1\\[0.5em](n+1)!=(n+1)\times n!\end{cases}

多重階乗

 階乗に似たものとして$n!!$と表すものがあります。
これは二重階乗と呼ばれるもので、$n$と$n$から$2$ずつ引いたときに現れる自然数をすべて掛け合わせたものです。
$n$が奇数のときは$n$以下のすべての自然数かつ奇数を掛け合わせたもので
\[n!!=n\times(n-2)\times\cdots\times3\times1\]
と表すことができ、
$n$が偶数のときは$n$以下のすべての自然数かつ偶数を掛け合わせたもので
\[n!!=n\times(n-2)\times\cdots\times4\times2\]
と表せます。

 同様に$n!!!$で表される三重階乗、$n!!!!$で表される四重階乗というものがあり、これらをまとめて多重階乗といいます。
$!$が$k$個続く$k$重階乗$n\overbrace{!!!\cdots}^{k\text{個}}$は、二重階乗と同様に$n$と$n$から$k$ずつ引いたときに現れる自然数をすべて掛け合わせたものを表します。


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