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2026年3月22日

カヴァリエリの原理とは?

 カヴァリエリの原理とは、平面図形に関するものと空間図形に関するものの2つがありますが、共通して一言でいえば
高さごとの切り口が同じならば全体の大きさが同じ
というものです。

なぜこのようなことがいえるのでしょうか?


平面図形に関するカヴァリエリの原理

 まず、平面図形に関するカヴァリエリの原理について詳しく説明します。
同じ高さの切り口の長さが常に等しいならば面積は等しい
2本の平行な直線$l, m$にちょうど挟まれた平面図形$\text{A}, \text{B}$を考えます。
そして、$l, m$に平行な直線$n$を$l, m$間に引きます。
このとき、直線$n$をどこに引いても、すなわちどの高さで切っても図形$\text{A}$と交わった部分の長さと図形$\text{B}$と交わった部分の長さが常に等しいならば図形$\text{A}, \text{B}$の面積は等しくなります。
これが平面図形に関するカヴァリエリの原理です。

 なぜこのようなことがいえるのかを考えてみます。
それぞれの図形を長方形の積み重ねで近似する
直線$l, m$に平行な直線で図形$\text{A}, \text{B}$をそれぞれいくつかの図形に分割します。
そして、分割してできる図形を直線$l$に近いほうの直線と交わった部分を底辺、分割の幅を高さとする長方形に置き換え、図形$\text{A}, \text{B}$をそれぞれ長方形の積み重ねで近似します。(以下、図形$\text{A}, \text{B}$それぞれの近似である長方形の積み重ね全体を積層$\text{A}, \text{B}$と呼ぶことにします。)
同じ高さにある長方形の高さと底辺はそれぞれ等しいので面積は等しい
このとき、同じ高さにある2つの長方形の高さは等しく、底辺の長さも「どの高さで切っても図形$\text{A}$と交わった部分の長さと図形$\text{B}$と交わった部分の長さが常に等しい」ことから等しいことがわかります。

したがって、同じ高さにある2つの長方形の面積は等しいことがわかります。
また、このことから積み重ねた長方形の面積の総和、すなわち積層$\text{A}, \text{B}$の面積も等しいことがわかります。

さらに細かい長方形の積み重ねで近似する
 次に、分割数を限りなく増やすと、積層$\text{A}, \text{B}$全体の形はそれぞれ元の図形$\text{A}, \text{B}$に限りなく近づきます。
そして、積層$\text{A}, \text{B}$の面積はそれぞれ元の図形$\text{A}, \text{B}$の面積に限りなく近づきます。
このとき、分割の仕方にかかわらず上記の「同じ高さにある長方形の面積は等しい」という性質は常に成り立つので、積層$\text{A}, \text{B}$の面積も常に等しいです。

したがって、それらの限りなく近づく先である元の図形$\text{A}, \text{B}$の面積も等しいことがわかります。

同じ高さのそれぞれの切り口の長さの和が常に等しい場合も面積も等しくなる
ちなみに、同じ高さにおける交わった部分が1本の線分である必要はなく、複数の線分に分かれていても、それらの長さの和が等しければ平面図形に関するカヴァリエリの原理は成り立ちます。

 また、平面図形に関するカヴァリエリの原理は次のように一般化することができます。
同じ高さの切り口の長さ(の和)が常にk倍になるならば面積もk倍
同じ高さで切ったとき、常に図形$\text{B}$の切り口の長さが図形$\text{A}$の切り口の長さの$k$倍であるならば図形$\text{B}$の面積は図形$\text{A}$の面積の$k$倍
なぜなら、同様に長方形の積み重ねで近似したとき、同じ高さにおける長方形は高さは等しいですが、積層$\text{B}$の長方形の底辺の長さは積層$\text{A}$の長方形の底辺の長さの$k$倍になるからです。
すなわち、同じ高さにおける長方形の面積は常に積層$\text{B}$のものが積層$\text{A}$のものの$k$倍であるため、積層$\text{B}$の面積も積層$\text{A}$の面積の$k$倍となります。

したがって、分割数を限りなく増やしたときにもこの関係は成り立つので、図形$\text{B}$の面積は図形$\text{A}$の面積の$k$倍であることがいえます。


空間図形に関するカヴァリエリの原理

 こちらも最初に空間図形に関するカヴァリエリの原理について詳しく説明します。
同じ高さの切り口の断面積が常に等しいならば体積も等しい
2つの平行な平面$α, β$にちょうど挟まれた空間図形$\text{A}, \text{B}$を考えます。
そして、平面$α, β$に平行な平面$γ$を$α, β$間にとります。
このとき、平面$γ$をどこにとっても、すなわちどの高さで切っても図形$\text{A}$と交わった部分の断面積と図形$\text{B}$と交わった部分の断面積が常に等しいならば図形$\text{A}, \text{B}$の体積は等しくなります。
これが空間図形に関するカヴァリエリの原理です。

 なぜこのようなことがいえるのかは、平面図形に関するカヴァリエリの原理と同様に考えることができます。
それぞれの図形を柱体の積み重ねで近似する
平面$α, β$に平行な平面で図形$\text{A}, \text{B}$をそれぞれいくつかの図形に分割します。
そして、分割してできる図形を平面$α$に近いほうの平面と交わった部分を底面、分割の幅を高さとする柱体に置き換え、図形$\text{A}, \text{B}$をそれぞれ柱体の積み重ねで近似します。(こちらでもこれ以降、図形$\text{A}, \text{B}$それぞれの近似である柱体の積み重ね全体を積層$\text{A}, \text{B}$と呼ぶことにします。)
同じ高さにある柱体は高さと底面積がそれぞれ等しいので体積は等しい
このとき、同じ高さにある2つの柱体の高さは等しく、底面積も「どの高さで切っても図形$\text{A}$と交わった部分の断面積と図形$\text{B}$と交わった部分の断面積が常に等しい」ことから等しいことがわかります。

したがって、同じ高さにある2つの柱体の体積は等しいことがわかります。
また、このことから積み重ねた柱体の体積の総和、すなわち積層$\text{A}, \text{B}$の体積も等しいことがわかります。

さらに細かい柱体の積み重ねで近似する
 次に、分割数を限りなく増やすと、積層$\text{A}, \text{B}$全体の形はそれぞれ元の図形$\text{A}, \text{B}$に限りなく近づきます。
そして、積層$\text{A}, \text{B}$の体積はそれぞれ元の図形$\text{A}, \text{B}$の体積に限りなく近づきます。
このとき、分割の仕方にかかわらず上記の「同じ高さにある柱体の体積は等しい」という性質は常に成り立つので、積層$\text{A}, \text{B}$の体積も常に等しいです。

したがって、それらの限りなく近づく先である元の図形$\text{A}, \text{B}$の体積も等しいことがわかります。

同じ高さのそれぞれの切り口の断面積の和が常に等しい場合も体積が等しくなる
ちなみに、同じ高さにおける交わった部分が1つの断面である必要はなく、複数の断面に分かれていても、それらの面積の和が等しければ空間図形に関するカヴァリエリの原理は成り立ちます。

 また、空間図形に関するカヴァリエリの原理は次のように一般化することができます。
同じ高さの切り口の断面積(の和)が常にk倍になるならば体積もk倍
同じ高さで切ったとき、常に図形$\text{B}$の切り口の断面積が図形$\text{A}$の切り口の断面積の$k$倍であるならば、図形$\text{B}$の体積は図形$\text{A}$の体積の$k$倍
なぜなら、同様に柱体の積み重ねで近似したとき、同じ高さにおける柱体は高さは等しいですが、積層$\text{B}$の柱体の底面積は積層$\text{A}$の柱体の底面積の$k$倍になるからです。
すなわち、同じ高さにおける柱体の体積は常に積層$\text{B}$のものが積層$\text{A}$のものの$k$倍であるため、積層$\text{B}$の体積も積層$\text{A}$の体積の$k$倍となります。

したがって、分割数を限りなく増やしたときにもこの関係は成り立つので、図形$\text{B}$の体積は図形$\text{A}$の体積の$k$倍であることがいえます。


 このように、カヴァリエリの原理は図形の形ではなく、高さごとの切り口の大きさに着目して、面積や体積を比較する考え方です。
図形を細かく分割するという考え方は、積分(定積分)とも深く関連しています。

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