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2024年8月21日

直線上の点をベクトルで表すと

 座標平面上の直線l:y=ax+bl:y=ax+ba,b:a,b:実数)上の任意の点PPを位置ベクトルppをもちいて表す方法について考えてみます。


1. 基本ベクトル・ベクトル成分で表す

 原点を始点とする位置ベクトルの基本ベクトル表示
p=αex+βey(α,β:ex:xey:y)p=αex+βey⎜ ⎜α,β:ex:xey:y⎟ ⎟
の各基本ベクトルの係数の組(α,β)(α,β)は位置ベクトルppの成分でもあり、座標平面上の点(α,β)(α,β)に対応していることを利用します。
直線l上の任意の点Pの位置ベクトルの基本ベクトル表示とベクトル成分
 直線l:y=ax+bl:y=ax+b上の任意の点PPの座標は実数ttをもちいて(t,at+b)(t,at+b)と表すことができることから
(α,β)=(t,at+b)(α,β)=(t,at+b)
となるので、直線l:y=ax+bl:y=ax+b上の点PPの位置ベクトルppの基本ベクトル表示は
p=tex+(at+b)eyp=tex+(at+b)ey
位置ベクトルppの成分は
p=(t,at+b)p=(t,at+b)
と書けます。

2. 直線上の異なる2点の位置ベクトルで表す

 異なる2点を通る直線はただ1つであることを利用します。
直線l上の任意の点Pの位置ベクトルを同じくl上の2点の位置ベクトルで表す
直線ll上の2点M, Nをとり、それぞれの位置ベクトルをm,nとします。
すると、nm=MNとなります。
2点M, Nを通る直線はl以外に存在しないのでMNを表す有向線分MNは直線lの一部であり、同じく点Mを始点とするkMNk:実数)の終点は直線l上の点となります。
そこで、kMNの終点をPとする、すなわちkMN=MPし、位置ベクトルの始点をOとするとp=OP,m=OM,n=ONとなることより
p=OP=OM+MP=OM+kMN=m+k(nm)p=(1k)m+kn
となり、直線l:y=ax+b上の任意の点Pの位置ベクトルpを同じくl上にある異なる2定点の位置ベクトルをもちいて表せることがわかります。
Oは原点とは限らないということには注意です。点Oが原点であればpの成分は点Pの座標と一致します。

 直線lが点Oを通るとき、点Mと点Oが同じ点であるとすれば、位置ベクトルはm=0となります。
すると(1)
p=(1k)0+knp=kn
と書けます。これは、ベクトルの始点と終点を明確にすれば
OP=kON
であり、この式は相異なる3点O, P, Nが同一直線上にあるための条件となります。
また、(1)の別表記
OP=(1k)OM+kON
も、相異なる3点P, M, Nが同一直線上にあるための条件となります。

3. 直線上の1点の位置ベクトルと直線に平行なベクトルで表す

 2.において位置ベクトルでないMNが登場しましたが、これを始点がOになるように平行移動して直線lに平行な有向線分で表される位置ベクトルにします。
MNを平行移動して始点がO、終点がQに移ったとし、点Qの位置ベクトルをqとします。すなわち、MN=OQ=qとなるということです。
直線l上の任意の点Pの位置ベクトルを同じくl上の1点とlに平行なベクトルで表す
すると、2.より
OP=OM+kMN
という式が成り立っていて、
p=m+kq
と書けます。
これが、直線l:y=ax+b上の任意の点Pの位置ベクトルpを同じくl上にある1つの定点の位置ベクトルと直線に平行なベクトルをもちいて表した式となります。

 (1),(2)のベクトルの等式を満たすpは直線l上のすべての点の位置ベクトルとなる、すなわち直線lを表すベクトルの等式となるので、(1),(2)直線のベクトル方程式といいます。

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