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2024年8月11日

なぜ連続関数は定義域の端で微分係数をもたないのか?

 axbで定義されている連続関数y=f(x)の微分係数を調べるとx=ax=bにおける微分係数がありません。

なぜこのようなことがいえるのでしょうか?

例を挙げると…
3次関数y=3x37x2+5x0x2)の最大値と最小値を調べます。
導関数がy=9x214x+5=(9x5)(x1)であることより増減表は下図のようになります。
y=3x^2-7x^2+5x(0≦x≦2)の増減表
したがって、増減表より最大値はx=2のときの6、最小値はx=0のときの0であるとわかります。
この増減表に着目すると定義域の端であるx=0x=2におけるyは書きません。
これはなぜかということについて考えます。

 axbで定義されている関数y=f(x)というのは、axbの中でのみxの値に対するyの値が定められているということを意味します。
これを座標平面で表すと下図のようにy=f(x)のグラフは直線x=ax=bを結ぶ1本の線となります。
a≦x≦bで定義された関数y=f(x)のグラフ
 次に微分係数の定義について考えます。
関数y=f(x)x=cにおける微分係数f(c)
f(c)=limh0f(c+h)f(c)h
という式で定義されています。これは、微分係数f(c)とはxcから限りなく近い値c+hまで変化したときのy=f(x)の平均変化率であることを意味しています。
ここで、limxdf(x)αという値をもつための条件は
limxd0f(x)=limxd+0=α
であることです。
すなわち、xdより小さい値からdに近づけたときのf(x)の収束値limxd0f(x)xdより大きい値からdに近づけたときのf(x)の収束値limxd+0f(x)が一致する必要があり、これが満たされたときにlimxdf(x)はその一致した値をもつということです。
微分係数の定義式と平均変化率の片側極限
このことから、(1)f(c)αという値をもつためには
limh0f(c+h)f(c)h=limh+0f(c+h)f(c)h=α
が成り立つ必要があるということになります。

 以上を踏まえてaxbで定義されている連続関数y=f(x)x=a,bにおける微分係数について考えます。
まず、x=aにおける微分係数は左側極限limh0f(a+h)f(a)hと右側極限limh+0f(a+h)f(a)hで一致した値となるのでそれぞれについて調べると、

右側極限

定義域の下端における平均変化率の右側極限
 右側極限limh+0f(a+h)f(a)hxaからaより大きくて限りなく近い値a+hまで変化したときのy=f(x)の平均変化率を意味します。これはh0に近づけていくと1つの値に収束していきます。

左側極限

定義域の下端における平均変化率の左側極限
 左側極限limh0f(a+h)f(a)hxaからaより小さくて限りなく近い値a+hまで変化したときのy=f(x)の平均変化率を意味します。
しかし、y=f(x)axbで定義されているので、この範囲外であるx=a+hにおけるf(x)の値f(a+h)は定義されていません。
したがって、左側極限limh0f(a+h)f(a)hを考えることができないので値をもちません。
以上より、右側極限と左側極限の値が一致しないのでx=aにおける微分係数はないことがわかります。
同様にx=bにおける微分係数について調べると、左側極限はaxbの範囲で考えることができて収束値をもちますが、右側極限は値をもたないことから、x=bにおける微分係数もないことがわかります。
なお、x=a,x=b以外に微分係数をもたない点がないようにy=f(x)を連続関数としましたが、連続関数でなくても同様に定義域の端では微分係数をもちません。

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