長方形の各頂点と任意の点を結ぶ4本の線分の長さにはどのような関係があるでしょうか?
長方形ABCDABCDと任意の点Pを考え、点Pの位置を3つの場合に分けて考えます。
点Pが長方形の内部にある場合
点Pから長方形の各辺へ垂線をおろし、辺AB,BC,CD,DAとの交点をそれぞれE,F,G,Hとします。
このとき四角形AEPH,BEPF,CFPG,DGPHは長方形であり、AE=a1,BE=a2,BF=b1,CF=b2とおくと長方形の対辺の長さは等しいのでHP=a1,CG=FP=a2,EP=b1,DH=GP=b2となることがわかります。
このとき四角形AEPH,BEPF,CFPG,DGPHは長方形であり、AE=a1,BE=a2,BF=b1,CF=b2とおくと長方形の対辺の長さは等しいのでHP=a1,CG=FP=a2,EP=b1,DH=GP=b2となることがわかります。
線分APは長方形AEPHの対角線であり△AEPは直角三角形なので三平方の定理より
AP2=AE2+EP2=a12+b12
線分BPは長方形BEPFの対角線であり△BFPは直角三角形なので
BP2=FP2+BF2=a22+b12
線分CPは長方形CFPGの対角線であり△CGPは直角三角形なので
CP2=CG2+GP2=a22+b22
線分DPは長方形DGPHの対角線であり△DHPは直角三角形なので
DP2=HP2+DH2=a12+b22
となります。
(1)+(3)より
AP2+CP2=a12+a22+b12+b22
(2)+(4)より
BP2+DP2=a12+a22+b12+b22
なので
AP2+CP2=BP2+DP2
が成り立つことがわかります。
点Pが長方形の周上にある場合
点Pが長方形ABCDの周上にある場合はさらに2つの場合に分けることができます。
点Pが頂点を除く辺上にある場合
点A,Bとは異なる辺AB上に点Pがある場合を考えます。
BC=bとおくと長方形の対辺の長さは等しいのでDA=bとなります。
点Pから対辺CDへ垂線をおろし、その足をQとすると長方形ABCDは長方形ADQPと長方形BCQPができます。
BC=bとおくと長方形の対辺の長さは等しいのでDA=bとなります。
点Pから対辺CDへ垂線をおろし、その足をQとすると長方形ABCDは長方形ADQPと長方形BCQPができます。
長方形ADQPにおいて線分APは辺の1つ、線分DPは対角線であり△ADPは直角三角形なので三平方の定理より
DP2=AP2+DA2=AP2+b2∴b2=DP2−AP2
長方形BCQPにおいて線分BPは辺の1つ、線分CPは対角線であり△BCPは直角三角形なので
CP2=BP2+BC2=BP2+b2∴b2=CP2−BP2
となります。
(5),(6)より
DP2−AP2=CP2−BP2∴AP2+CP2=BP2+DP2
が成り立つことがわかります。
点Pが他の辺上にある場合も同様です。
点Pが頂点と重なる場合
点Pが頂点Aと重なる場合を考えます。
このときAP=0であり、線分BP,DPはそれぞれ辺AB,DAと、線分CPは長方形ABCDの対角線ACと重なるためBP=AB,CP=AC,DP=DAとなります。
また、長方形の対辺の長さは等しいのでBC=DAよりDP=BCです。
このときAP=0であり、線分BP,DPはそれぞれ辺AB,DAと、線分CPは長方形ABCDの対角線ACと重なるためBP=AB,CP=AC,DP=DAとなります。
また、長方形の対辺の長さは等しいのでBC=DAよりDP=BCです。
△ABCは直角三角形なので三平方の定理より
AC2=AB2+BC2∴CP2=BP2+DP2
が成り立つことがわかります。
これはAP2+CP2=BP2+DP2にAP=0を代入したときの式と一致するため、この場合においてもAP2+CP2=BP2+DP2を満たしていることがわかります。
点Pが他の頂点と重なる場合も同様です。
点Pが他の頂点と重なる場合も同様です。
点Pが長方形の外部にある場合
点Pが長方形の外部にある場合は大きく2つの場合に分けることができます。
点Pがいずれかの辺の延長上にある場合
上図のように点Pが辺CDの延長上にある場合を考えます。
点Pから辺CD以外の辺またはその延長に垂線をおろし、辺ABの延長との交点をEとします。なお、辺BCとの交点は点C、辺DAとの交点は点Dです。
BC=bとおくと、長方形の対辺の長さは等しいのでDA=bとなります。
また、四角形ADPE,BCPEは長方形であることがわかります。
点Pから辺CD以外の辺またはその延長に垂線をおろし、辺ABの延長との交点をEとします。なお、辺BCとの交点は点C、辺DAとの交点は点Dです。
BC=bとおくと、長方形の対辺の長さは等しいのでDA=bとなります。
また、四角形ADPE,BCPEは長方形であることがわかります。
長方形ADPEにおいて線分DPは辺の1つ、線分APは対角線であり△ADPは直角三角形なので三平方の定理より
AP2=DP2+AD2=DP2+b2∴b2=AP2−DP2
長方形BCPEにおいて線分CPは辺の1つ、線分BPは対角線であり△BCPは直角三角形なので
BP2=CP2+BC2=CP2+b2∴b2=BP2−CP2
となります。
(7),(8)より
点Pが他の辺の延長上にある場合も同様です。
AP2−DP2=BP2−CP2∴AP2+CP2=BP2+DP2
が成り立つことがわかります。
点Pが他の辺の延長上にある場合も同様です。
点Pがどの辺の延長上にもない場合
点Pがどの辺の延長上にもない場合はさらに細かく2つの場合に分けることができます。
点Pが1組の対辺へ直接垂線を下ろせる場合
上図のように点Pが長方形ABCDの外部かつ辺BC,DAに直接垂線を下ろせる位置にある場合を考えます。
点Pから各辺またはその延長に垂線をおろし、辺AB,CDの延長との交点をそれぞれE,G、辺BC,DAとの交点をF,Hをします。
辺ABの長さをAB=a、その延長部分AEの長さをAE=a′とおくとBE=a+a′となります。
また、四角形AEPH,BEPF,CFPG,DHPGは長方形であり、長方形の対辺の長さは等しいのでFP=a+a′,HP=a′,AH=b,DH=b′となります。
点Pから各辺またはその延長に垂線をおろし、辺AB,CDの延長との交点をそれぞれE,G、辺BC,DAとの交点をF,Hをします。
辺ABの長さをAB=a、その延長部分AEの長さをAE=a′とおくとBE=a+a′となります。
また、四角形AEPH,BEPF,CFPG,DHPGは長方形であり、長方形の対辺の長さは等しいのでFP=a+a′,HP=a′,AH=b,DH=b′となります。
線分APは長方形AEPHの対角線で△AHPは直角三角形なので三平方の定理より
AP2=HP2+AH2=a′2+b12
線分BPは長方形BEPFの対角線で△BFPは直角三角形なので
BP2=FP2+BF2=(a+a′)2+b12
線分CPは長方形CFPGの対角線で△CFPは直角三角形なので
CP2=FP2+CF2=(a+a′)2+b22
線分DPは長方形DHPGの対角線で△DHPは直角三角形なので
DP2=HP2+DH2=a′2+b22
となります。
(9)+(11)より
これは点Pが長方形ABCDの外部かつ辺AB,CDに直接垂線を下ろせる位置にある場合も同様です。
AP2+CP2=(a+a′)2+a′2+b12+b22
(10)+(12)より
BP2+DP2=(a+a′)2+a′2+b12+b22
なので
AP2+CP2=BP2+DP2
が成り立ちます。
これは点Pが長方形ABCDの外部かつ辺AB,CDに直接垂線を下ろせる位置にある場合も同様です。
点Pがどの対辺の組へも直接垂線を下ろせない場合
点Pが上図の位置にある場合を考えます。
点Pから長方形の各辺の延長へ垂線をおろし、辺AB,BC,CD,DAの延長との交点をそれぞれE,F,G,Hとします。
辺AB,BCとこれらの延長部分の長さについてAB=a,BC=b,AE=a′,CF=b′とおくとBE=a+a′,BF=b+b′となります。
また、四角形AEPH,BEPF,CFPG,DGPHは長方形であり、長方形の対辺の長さは等しいのでHP=a′,FP=a+a′,GP=b′,EP=b+b′となることがわかります。
点Pから長方形の各辺の延長へ垂線をおろし、辺AB,BC,CD,DAの延長との交点をそれぞれE,F,G,Hとします。
辺AB,BCとこれらの延長部分の長さについてAB=a,BC=b,AE=a′,CF=b′とおくとBE=a+a′,BF=b+b′となります。
また、四角形AEPH,BEPF,CFPG,DGPHは長方形であり、長方形の対辺の長さは等しいのでHP=a′,FP=a+a′,GP=b′,EP=b+b′となることがわかります。
線分APは長方形AEPHの対角線であり△AHPは直角三角形なので三平方の定理より
AP2=PH2+AH2=a′2+(b+b′)2
線分BPは長方形BEPFの対角線であり△BFPは直角三角形なので
BP2=FP2+BF2=(a+a′)2+(b+b′)2
線分CPは長方形CFPGの対角線であり△CFPは直角三角形なので
CP2=FP2+CF2=(a+a′)2+b′2
線分DPは長方形DGPHの対角線であり△DHPは直角三角形なので
DP2=HP2+DH2=a′2+b′2
となります。
(13)+(15)より
AP2+CP2=(a+a′)2+a′2+(b+b′)2+b′2
(14)+(16)より
BP2+DP2=(a+a′)2+a′2+(b+b′)2+b′2
なので
AP2+CP2=BP2+DP2
が成り立つことがわかります。
これはこの場合を満たす他の位置に点Pがある場合も同様です。
以上より、点Pがどの位置にあっても長方形ABCDの各頂点と点Pを結ぶ線分について
AP2+CP2=BP2+DP2
が成り立つことがわかります。
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