横画面推奨!
モバイル機器の場合、数式が見切れる場合があります。

2023年5月17日

[x]([ ]:ガウス記号)の定積分

\[\int^3_2[x]\ dx\quad([\ ]:ガウス記号)\]
この定積分はどのような値となるでしょうか?


 $[x]$(この関数は床関数といい、$\lfloor x\rfloor$とも書きます。)の値は以下のように決まります。
\begin{align*}n\leqq x<n+1&\quad(n:整数)のとき\\ [x]&=n\end{align*}
すなわち、$[x]$の値は$x$以下の最大の整数となります。
したがって、積分区間$2\leqq x\leqq3$において$[x]$の値は
\[[x]=\begin{cases}2&(2\leqq x<3)&\cdots(\mathrm{i})\\[0.5em]3&(x=3)&\cdots(\mathrm{ii})\end{cases}\]
となります。
この場合分けに従って上記の定積分を2つに分けて考えます。
しかし、ここで注意したいのは積分可能なのは閉区間$a\leqq x\leqq b$で関数が連続な場合ということです。
$[x]$は$\mathrm{(i)}$の区間$2\leqq x<3$で連続ではありますが、閉区間でないので積分可能ではありません。
そこで広義積分(の異常積分)をもちいます。
\begin{align*}\int^3_2[x]\ dx&=\lim_{\varepsilon\to-0}\int^{3+\varepsilon}_2 [x]\ dx+\int^3_3 [x]\ dx\\[0.5em]&=\lim_{\varepsilon\to-0}\int^{3+\varepsilon}_2 2\ dx+\int^3_3 3\ dx\\[0.5em]&=\lim_{\varepsilon\to-0}\Bigl[2x\Bigr]^{3+\varepsilon}_2+0\\[0.5em]&=\lim_{\varepsilon\to-0}\bigl\{2(3+\varepsilon)-2\cdot2\bigr\}\\[0.5em]&=6-4\\[0.5em]&=2\end{align*}
上記途中式の1行目、最初の項が(i)の積分にあたり、異常積分をもちいています。最後の項が(ii)の定積分にあたります。

この結果から
\[\int^3_2[x]\ dx=\int^3_2 2\ dx\]
が成り立つことがわかります。

また、これを一般化して積分区間$n\leqq x\leqq n+1$の定積分について
\[\int^{n+1}_n[x]\ dx=\int^{n+1}_n n\ dx\]
が成り立ちます。

Share:
◎Amazonのアソシエイトとして、当サイト「数学について考えてみる」は適格販売により収入を得ています。
Powered by Blogger.

PR

ブログランキング・にほんブログ村へ