半円
ABABの直径
ABAB上に点
CCをおき、
ABABに関して弧
ABABと同じ側に円弧があるように半円
ACACと半円
BCBCを描きます。このとき3つの円弧によって囲まれた図形のことを
アルベロス図形といいます。
この図形には、以下のような性質があります。
-
点CCから直径ABABに対する垂線を引き、弧ABABとの交点をDDとしたとき、線分CDCDを直径とする円(上図の赤い円)の面積とアルベロス図形ABCABCの面積は等しい。
-
線分ADADと半円ACACのAA以外の交点をEE、線分BDBDと半円BCBCのBB以外の交点をFFとすると、4点C,D,E,FC,D,E,Fは同一円周上にあり、四角形CEDFCEDFは長方形となる。
- 直線EFEFは半円ACACと半円BCBCの共通接線となる。
これらが成り立つことを確かめてみます。
アルベロス図形の面積
アルベロス図形
ABCABCの面積は半円
ABABの面積から、半円
ACACと半円
BCBCの面積を引くことで求められます。
半円
ABABの直径を
RR、半円
ACACの直径を
rrとすると、半円
BCBCの直径は
R−rR−rとなります。
半円
ABABの面積は
12⋅π(R2)2=πR2812⋅π(R2)2=πR28
半円
ACACの面積は
12⋅π(r2)2=πr2812⋅π(r2)2=πr28
半円
BCBCの面積は
12⋅π(R−r2)2=π(R−r)28=π(R2+r2−2Rr)812⋅π(R−r2)2=π(R−r)28=π(R2+r2−2Rr)8
なので、アルベロス図形
ABCABCの面積は
πR28−{πr28+π(R2+r2−2Rr)8}=πr(R−r)4πR28−{πr28+π(R2+r2−2Rr)8}=πr(R−r)4(1)
となります。
次に線分CDCDを直径とする円の面積を求めます。
線分CDCDの長さはGeometric mean theoremよりCD=√r(R−r)CD=√r(R−r)となります。
したがって、面積は
π(√r(R−r)2)2=πr(R−r)4π(√r(R−r)2)2=πr(R−r)4(2)
となります。
(1),(2)(1),(2)よりアルベロス図形ABCABCとCDCDを直径とする円の面積は等しくなることがわかります。
4点C,D,E,FC,D,E,Fについて
半円
ABABにおいて3点
A,B,DA,B,Dは弧
ABAB上にあるので、タレスの定理より
∠ADB=90°∠ADB=90°となります。すなわち
∠EDF=90°∠EDF=90°です。
半円ACACにおいて3点A,C,EA,C,Eは弧ACAC上にあり、半円BCBCにおいて3点B,C,FB,C,Fは弧BCBC上にあるので、同様に∠AEC=∠BFC=90°∠AEC=∠BFC=90°となります。このことから∠CED=∠CFD=90°∠CED=∠CFD=90°です。
ここで、3点C,D,EC,D,Eにおいて∠CED=90°∠CED=90°であるから、タレスの定理の逆より3点は線分CDCDを直径とする円の円周上に存在することがわかります。
同様に3点C,D,FC,D,Fにおいて∠CFD=90°∠CFD=90°であるから、これらもCDCDを直径とする円の円周上に存在します。
線分CDCDを直径とする円はただ1つなので、4点C,D,E,FC,D,E,Fは同一円周上にあります。
このことから四角形CEDFCEDFは円に内接する四角形であることがわかるので、対角の和は180°180°となります。
したがって、∠EDF=90°∠EDF=90°より対角∠ECF∠ECFの大きさは90°90°です。
内角がすべて90°90°である四角形CEDFCEDFは長方形であることがわかります。
直線EFEFについて
線分
CDCDを直径とする円の中心を
OO、半円
ACACの中心を
MM、半円
BCBCの中心を
NNとします。このとき点
OOは内接する長方形
CEDFCEDFの2本の対角線の交点かつ中点、すなわち線分
CD,EFCD,EFの中点となります。
円OOにおいてOC=OE=OFOC=OE=OFなので、△OCE△OCEと△OCF△OCFは二等辺三角形であり、∠OCE=∠OEC ⋯(a),∠OCE=∠OEC ⋯(a),∠OCF=∠OFC ⋯(b)∠OCF=∠OFC ⋯(b)が成り立ちます。
半円ACACにおいてMC=MEMC=MEなので、△MCE△MCEは二等辺三角形であり、∠MCE=∠MEC ⋯(c)∠MCE=∠MEC ⋯(c)が成り立ちます。
半円BCBCにおいてNC=NFNC=NFなので、△NCF△NCFは二等辺三角形であり、∠NCF=∠NFC ⋯(d)∠NCF=∠NFC ⋯(d)が成り立ちます。
ここで
CD⊥ABCD⊥ABすなわち
OC⊥MNOC⊥MNより
∠OCM=∠OCE+∠MCE=90°∠OCM=∠OCE+∠MCE=90°です。
すると、(a)、(c)より
∠OEC+∠MEC=∠OEM=90°∠OEC+∠MEC=∠OEM=90°
となり、直線
OEOEすなわち直線
EFEFは半円
ACACの接線であることがわかります。
また、
∠OCN=∠OCF+∠NCF=90°∠OCN=∠OCF+∠NCF=90°、(b)、(d)より
∠OFC+∠NFC=∠OFN=90°∠OFC+∠NFC=∠OFN=90°
となり、直線
OFOFすなわち直線
EFEFは半円
BCBCの接線であることがわかります。
したがって以上より、直線EFEFは半円ACACと半円BCBCの共通接線であることがわかります。
これは半円AC,BCAC,BCそれぞれのもととなる円M,NM,Nの共通外接線でもあります。
また、直線CDCDは円M,NM,Nの共通内接線となります。