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2026年9月18日

三角形の五心 ⑤三角形の傍心とは?

三角形の傍心
 三角形の傍心とは、1つの内角の二等分線と他の2つの頂点における外角の二等分線の交わる点のことです。
1つの内角と他の2つの頂点における外角は3組あるので、他の三角形の五心と異なり傍心は1つの三角形に3つ存在します。

どの三角形の、どの角の組においても3本の角の二等分線がただ1点で交わり、必ず傍心が存在することを確かめます。


頂点Cの外角の二等分線は、内角∠Aの二等分線と頂点Bの外角の二等分線の交点J_Aを通るか?
 任意の三角形$△\text{ABC}$を考え、内角$∠\text{A}$と頂点$\text{B}, \text{C}$それぞれにおける外角に着目します。
$∠\text{A}$の二等分線と頂点$\text{B}$における外角の二等分線の交点を$\text{J}_\text{A}$とします。
すると、$∠\text{A}$の二等分線は半直線$\text{AJ}_\text{A}$、頂点$\text{B}$における外角の二等分線は半直線$\text{BJ}_\text{A}$となります。
頂点$\text{C}$における外角の二等分線が点$\text{J}_\text{A}$を通ることが示せれば、3本の角の二等分線がただ1点で交わることがわかります。
また、内角$∠\text{B}$と頂点$\text{C}, \text{A}$それぞれにおける外角、内角$∠\text{C}$と頂点$\text{A}, \text{B}$それぞれにおける外角でも同様に考えれば、どの三角形の、どの角の組においても必ず傍心が存在することがわかります。

 まず、点$\text{J}_\text{A}$の位置について考えます。
頂点$\text{B}$における外角は$△\text{ABC}$の外部にある角であるため、その角の二等分線は$△\text{ABC}$の内部を通りません。
また、内角$∠\text{A}$の二等分線は辺$\text{BC}$と両端$\text{B}, \text{C}$以外で交わるので、頂点$\text{B}$における外角の二等分線と頂点$\text{B}$で交わることはありません。

したがって、頂点$\text{B}$における外角の二等分線と内角$∠\text{A}$の二等分線は$△\text{ABC}$の外部で交わるため、点$\text{J}_\text{A}$は必ず$△\text{ABC}$の外部にあります。


点J_Aから各辺またはその延長上へ垂線を下ろす
 次に、点$\text{J}_\text{A}$から辺$\text{AB}$の延長上へおろした垂線の足を$\text{D}$、辺$\text{BC}$へおろした垂線の足を$\text{E}$、辺$\text{CA}$の延長上へおろした垂線の足を$\text{F}$とします。
△BDJ_Aと△BEJ_Aは合同
2つの直角三角形$△\text{BDJ}_\text{A}$と$△\text{BEJ}_\text{A}$に着目すると、
  • 共通する斜辺より$\text{BJ}_\text{A}=\text{BJ}_\text{A}$
  • 頂点$\text{B}$における外角の二等分線より$∠\text{DBJ}_\text{A}=∠\text{EBJ}_\text{A}$
斜辺と1組の鋭角がそれぞれ等しいので、合同であることがわかります。
このことから、
\begin{equation}\text{DJ}_\text{A}=\text{EJ}_\text{A}\end{equation}
です。
△ADJ_Aと△AFJ_Aは合同
今度は、2つの直角三角形$△\text{ADJ}_\text{A}$と$△\text{AFJ}_\text{A}$に着目すると、
  • 共通する斜辺より$\text{AJ}_\text{A}=\text{AJ}_\text{A}$
  • $∠\text{A}$の二等分線より$∠\text{DAJ}_\text{A}=∠\text{FAJ}_\text{A}$
斜辺と1組の鋭角がそれぞれ等しいので、合同であることがわかります。
このことから、
\begin{equation}\text{DJ}_\text{A}=\text{FJ}_\text{A}\end{equation}
です。
DJ_A=EJ_A=FJ_A
$(1), (2)$より
\begin{equation}\text{DJ}_\text{A}=\text{EJ}_\text{A}=\text{FJ}_\text{A}\end{equation}
であることがわかります。

△CEJ_Aと△CFJ_Aは合同
 線分$\text{CJ}_\text{A}$を引き、2つの直角三角形$△\text{CEJ}_\text{A}$と$△\text{CFJ}_\text{A}$に着目すると、
  • 共通する斜辺より$\text{CJ}_\text{A}=\text{CJ}_\text{A}$
  • $(3)$より$\text{EJ}_\text{A}=\text{FJ}_\text{A}$
斜辺と他の1組の辺がそれぞれ等しいので、合同であることがわかります。
このことから、
\begin{equation}\angle \text{ECJ}_\text{A}=\angle \text{FCJ}_\text{A}\end{equation}
です。
$∠\text{ECJ}_\text{A}, ∠\text{FCJ}_\text{A}$は頂点$\text{C}$における外角を半直線$\text{CJ}_\text{A}$によって分割してできた角なので、$(4)$より、半直線$\text{CJ}_\text{A}$は頂点$\text{C}$における外角の二等分線であることがわかります。
内角∠A、頂点B, Cそれぞれの外角の二等分線はただ1点で交わる
したがって、頂点$\text{C}$における外角の二等分線は、内角$∠\text{A}$の二等分線と頂点$\text{B}$における外角の二等分線の交点$\text{J}_\text{A}$を通るため、傍心$\text{J}_\text{A}$が存在することがわかります。
内角$∠\text{B}$と頂点$\text{C}, \text{A}$それぞれにおける外角、内角$∠\text{C}$と頂点$\text{A}, \text{B}$それぞれにおける外角でも同様に考えれば、傍心$\text{J}_\text{B}, \text{J}_\text{C}$も存在することがわかるため、どの三角形の、どの角の組においても必ず傍心が存在することがわかります。

傍心の性質

傍心は三角形の1辺と他の2辺の延長から等距離の点
 傍心$\text{J}_\text{A}$から辺$\text{AB}, \text{BC}, \text{CA}$またはその延長上それぞれへおろした垂線$\text{DJ}_\text{A}, \text{EJ}_\text{A}, \text{FJ}_\text{A}$の長さは、傍心$\text{J}_\text{A}$と直線$\text{AB}, \text{BC}, \text{CA}$の距離となります。
$(3)$より、$\text{DJ}_\text{A}=\text{EJ}_\text{A}=\text{FJ}_\text{A}$なので、傍心$\text{J}_\text{A}$は$△\text{ABC}$の辺$\text{BC}$と辺$\text{AB}, \text{CA}$の延長からの距離が等しい点であるといえます。
これは傍心$\text{J}_\text{B}, \text{J}_\text{C}$でも同様のことがいえるので、傍心は三角形の1辺と他の2辺の延長からの距離が等しい点であることがわかります。

傍心は三角形の1辺と他の2辺の延長と接する円(傍接円)の中心
 また、$\text{DJ}_\text{A}=\text{EJ}_\text{A}=\text{FJ}_\text{A}$であることより、3点$\text{D}, \text{E}, \text{F}$は点$\text{J}_\text{A}$を中心とし、半径$\text{DJ}_\text{A}$の円周上にあることがわかります。(以降、この円を円$\text{J}_\text{A}$と呼ぶことにします。)
そして、直線$\text{AB}$と円$\text{J}_\text{A}$の半径$\text{DJ}_\text{A}$、直線$\text{BC}$と半径$\text{EJ}_\text{A}$、直線$\text{CA}$と半径$\text{FJ}_\text{A}$はそれぞれ互いに垂直であることから、円$\text{J}_\text{A}$は$△\text{ABC}$の辺$\text{BC}$と辺$\text{AB}, \text{CA}$の延長と接する円であることがわかります。
これは傍心$\text{J}_\text{B}, \text{J}_\text{C}$でも同様のことがいえるので、傍心は三角形の1辺と他の2辺の延長に接する円の中心であることがわかります。この円のことを傍接円といいます。

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