正の数の累乗の性質と大小関係は以下のようになります。
正の数の累乗の性質
$1<a$である正の数$a$と自然数$n$について
\begin{gather*}\large
a^n>1\\[1em]\large\lim_{n\to\infty}a^n=\infty\end{gather*}
$a=1$である正の数$a$と自然数$n$について、$n$の値にかかわらず常に
\[\large a^n=1\]
$0<a<1$である正の数$a$と自然数$n$について
\begin{gather*}\large0<a^n<1\\[0.5em]\large\lim_{n\to\infty}a^n=0\end{gather*}
特に、正の数$a$と自然数$n$について、$a$と$n$の値にかかわらず常に
\[\large a^n>0\]
正の数の累乗の大小関係
正の数$a$と$m<n$である自然数$m, n$について
\[\large\begin{cases}a^m<a^n&(a>1)\\[0.5em]a^m>a^n&(0<a<1)\end{cases}\]
$a=1$である正の数$a$と自然数$m, n$について、$m,
n$の大小関係にかかわらず常に
\[\large a^m=a^n=1\]
$a<b$である正の数$a, b$と自然数$n$について
\[\large a^n<b^n\]
なぜこれらが成り立つのでしょうか?
正の数の累乗の性質
正の数$a$と自然数$n$をもちいた累乗$a^n$の値の範囲を調べます。
$1<a$のとき
正の数$a$が$1$より大きい、すなわち
\[1<a\tag{i}\]
のときの累乗$a^n$の値の範囲を調べます。
$\text{(i)}$の各辺に$a$を掛けると
そして、$\text{(i)}, \text{(ii)}$より
\[a<a^2\tag{(ii)}\]
となります。そして、$\text{(i)}, \text{(ii)}$より
\[1<a<a^2\tag*{(ii)'}\]
と書けます。
$\text{(ii)'}$の各辺に$a$を掛けると
そして、$\text{(i)}, \text{(iii)}$より
\[a<a^2<a^3\tag{(iii)}\]
となります。そして、$\text{(i)}, \text{(iii)}$より
\[1<a<a^2<a^3\]
と書けます。
同様の操作を繰り返すと、任意の自然数$n$について
\[1<a<a^2<\cdots<a^{n-1}<a^n\]
が成り立ち、累乗の定義より$a^1=a$であるため
\begin{equation}1<a^1<a^2<\cdots<a^{n-1}<a^n\end{equation}
と書くこともできます。
$(1)$より、
$1<a$である正の数$a$と自然数$n$について
であることがわかります。
\[\large a^n>1\]
次に、$1<a$のときの累乗$a^n$の値はどれくらい大きくなれるのでしょうか?
指数が隣り合う自然数となる累乗同士の差を考えます。
自然数$k$をもちいた累乗の差$a^k-a^{k-1}$は、累乗の計算法則より
自然数$k$をもちいた累乗の差$a^k-a^{k-1}$は、累乗の計算法則より
\begin{align*}a^k -a^{k-1}&=a^{k-1}\cdot a
-a^{k-1}\\[0.5em]&=a^{k-1}(a-1)\end{align*}
と変形できます。
ここで、正の数$h$をもちいて$a=1+h$とおくと、$h=a-1$なので
\[a^k- a^{k-1}=a^{k-1}h\]
と書くことができます。
また、$k\geqq2$のとき$(1)$より$1<a^{k-1}$であり、両辺に$h$を掛けると$h<a^{k-1}h$となるので
\[a^k -a^{k-1}>h\tag{iv}\]
が成り立ちます。
$\text{(iv)}$に$k=2, 3, \cdots, n-1,
n$を代入して得られる不等式の辺々を加えると
\begin{array}{l}&a^2&-a^1&>h\\[0.5em]&a^3&-a^2&>h\\[0.5em]&\vdots&\vdots&\vdots\\[0.5em]&a^{n-1}&-a^{n-2}&>h\\[0.5em]+)&a^n&-a^{n-1}&>h\\[0.5em]\hline
&a^n&-a^1&>(n-1)h\end{array}
となり、整理すると
\[a^n>a+(n-1)h\]
さらに、$a=1+h$としたことより
\[a^n>1+nh\]
と書けます。
$n$が限りなく大きくなるとき、$nh$は限りなく大きくなるので、$1+nh$も限りなく大きくなります。
したがって、$1+nh$より大きい累乗$a^n$もまた限りなく大きくなることがわかります。
これを極限で表記すれば
したがって、$1+nh$より大きい累乗$a^n$もまた限りなく大きくなることがわかります。
これを極限で表記すれば
\begin{equation}\large\lim_{n\to\infty}a^n=\infty\quad(1<a)\end{equation}
となります。
$a=1$のとき
正の数$a$が$1$のとき、累乗の定義に従えば任意の自然数$n$において
\begin{align*}1^n&=\overbrace{1\times1\times\cdots\times1\times1}^{n個}\\[0.5em]&=1\end{align*}
となります。
したがって、
$a=1$である正の数$a$と自然数$n$について、$n$の値にかかわらず常に
であることがわかります。
\[\large a^n=1\]
$0<a<1$のとき
正の数$a$が$1$未満、すなわち
\[0<a<1\tag{v}\]
のときの累乗$a^n$の値の範囲を調べます。
$\text{(v)}$の各辺に$a$を掛けると
そして、$\text{(v)},\text{(vi)}$より
\[0<a^2<a\tag{vi}\]
となります。そして、$\text{(v)},\text{(vi)}$より
\[0<a^2<a<1\tag*{(vi)'}\]
と書けます。
$\text{(vi)'}$の各辺に$a$を掛けると
そして、$\text{(v)},\text{(vii)}$より
\[0<a^3<a^2<a\tag{vii}\]
となります。そして、$\text{(v)},\text{(vii)}$より
\[0<a^3<a^2<a<1\]
と書けます。
同様の操作を繰り返すと、任意の自然数$n$について
\[0<a^n<a^{n-1}<\cdots<a^2<a<1\]
が成り立ち、累乗の定義より$a^1=a$であることより
\begin{equation}\large0<a^n<a^{n-1}<\cdots<a^2<a^1<1\end{equation}
と書けます。
$(3)$より、
$0<a<1$である正の数$a$と自然数$n$について
であることがわかります。
\[\large0<a^n<1\]
次に、$0<a<1$のときかつ$n$が限りなく大きくなったときの累乗$a^n$の値について調べます。
$1<b$である実数$b$をもちいて$a=\dfrac{1}{b}$と書くことができます。
すると、累乗$a^n$は累乗の計算法則より
すると、累乗$a^n$は累乗の計算法則より
\begin{align*}a^n&=\left(\frac{1}{b}\right)^n\\[0.5em]&=\frac{1^n}{b^n}\\[0.5em]&=\frac{1}{b^n}\end{align*}
となります。
ここで、$(2)$より$n$が限りなく大きくなると$b^n$は限りなく大きくなります。
すると、$\dfrac{1}{b^n}$においては分母が限りなく大きくなるため、全体としては$0$に限りなく近づくことになり、すなわち
すると、$\dfrac{1}{b^n}$においては分母が限りなく大きくなるため、全体としては$0$に限りなく近づくことになり、すなわち
\[\large\lim_{n\to\infty}a^n=0\quad(0<a<1)\]
であることがわかります。
以上より、正の数$a$と自然数$n$の値にかかわらず累乗$a^n$の値が$0$より大きいことは共通しています。
したがって、
したがって、
正の数$a$と自然数$n$について、$a$と$n$の値にかかわらず常に
であることがわかります。
\[\large a^n>0\]
正の数の累乗の大小関係
底が同じ場合
正の数$a$と$m<n$である自然数$m, n$をもちいた累乗$a^m, a^n$の大小関係を調べます。
$1<a$のとき
$(1)$より、
$1<a$である正の数$a$と$m<n$である自然数$m, n$について
であることがわかりますが、累乗の計算法則をもちいた方法でも導いてみます。
\[a^m<a^n\]
累乗$a^m, a^n$の比$\dfrac{a^n}{a^m}$は、累乗の計算法則より
\[\frac{a^n}{a^m}=a^{n-m}\tag{viii}\]
と書くことができます。
$m<n$より、$n-m>0$であり、$n-m$は自然数かつ$1<a$なので、正の数の累乗の性質より
\[a^{n-m}>1\]
であることがわかります。
$\text{(viii)}$より、
\[\frac{a^n}{a^m}>1\]
となり、両辺に$a^m$を掛けると
\[a^n>a^m\]
となります。
したがって、
$1<a$である正の数$a$と$m<n$である自然数$m, n$について
であることがわかります。
\[\large a^m<a^n\]
$a=1$のとき
正の数の累乗の性質より、任意の自然数$m, n$について
\[1^m=1, 1^n=1\]
が成り立つので、
$a=1$である正の数$a$と自然数$m, n$について、$m,
n$の大小関係にかかわらず常に
であることがわかります。
\[\large a^m=a^n=1\]
$0<a<1$のとき
$(3)$より、
$0<a<1$である正の数$a$と$m<n$である自然数$m, n$について
であることがわかりますが、$1<a$のときと同様に累乗の計算法則をもちいた方法でも導いてみます。
\[a^m>a^n\]
$\text{(viii)}$、すなわち
\[\frac{a^n}{a^m}=a^{n-m}\]
を利用します。
$m<n$より、$n-m>0$であり、$n-m$は自然数かつ$0<a<1$なので、正の数の累乗の性質より
\[0<a^{n-m}<1\]
であることがわかります。
$\text{(viii)}$より、
\[0<\frac{a^n}{a^m}<1\]
となり、各辺に$a^m$を掛けると
\[0<a^n<a^m\]
となります。
したがって、
$0<a<1$である正の数$a$と$m<n$である自然数$m, n$について
であることがわかります。
\[\large a^m>a^n\]
底が異なる場合
$a<b$である正の数$a, b$と自然数$n$をもちいた累乗$a^n, b^n$の大小関係を調べます。
累乗$a^n, b^n$の比$\dfrac{a^n}{b^n}$は、累乗の計算法則より
\[\frac{a^n}{b^n}=\left(\frac{a}{b}\right)^n\tag{ix}\]
と書くことができます。
$0<a<b$より、$0<\dfrac{a}{b}<1$なので、正の数の累乗の性質より
\[0<\left(\frac{a}{b}\right)^n<1\]
であることがわかります。
$\text{(ix)}$より、
\[0<\frac{a^n}{b^n}<1\]
となり、両辺に$b^n$を掛けると
\[0<a^n<b^n\]
となります。
したがって、
$a<b$である正の数$a, b$と自然数$n$について
であることがわかります。
\[\large a^n<b^n\]
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