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2026年6月8日

正の数の整数乗の性質・大小関係

 正の数の整数乗の性質と大小関係は以下のようになります。

正の数の整数乗の性質

$1<a$である正の数$a$と整数$n$について
\begin{gather*}\large\begin{cases}0<a^n<1&(n<0)\\[0.5em]a^n=1&(n=0)\\[0.5em]1<a^n&(n>0)\end{cases}\\[1em]\large\lim_{n\to-\infty}a^n=0\\[1em]\large\lim_{n\to\infty}a^n=\infty\end{gather*}
$a=1$である正の数$a$と整数$n$について、$n$の値にかかわらず常に
\[\large a^n=1\]
$0<a<1$である正の数$a$と整数$n$について
\begin{gather*}\large\begin{cases}1<a^n&(n<0)\\[0.5em]a^n=1&(n=0)\\[0.5em]0<a^n<1&(n>0)\end{cases}\\[1em]\large\lim_{n\to-\infty}a^n=\infty\\[1em]\large\lim_{n\to\infty}a^n=0\end{gather*}
特に、正の数$a$と整数$n$について、$a$と$n$の値にかかわらず常に
\[\large a^n>0\]

正の数の整数乗の大小関係

$a\neq1$である正の数$a$と$m<n$である整数$m, n$について
\[\large\begin{cases}a^m>a^n&(0<a<1)\\[0.5em]a^m<a^n&(1<a)\end{cases}\]
$a=1$である正の数$a$と整数$m, n$について、$m, n$の大小関係にかかわらず常に
\[\large a^m=a^n=1\]
$a<b$である正の数$a, b$と整数$n$について
\[\large\begin{cases}a^n>b^n&(n<0)\\[0.5em]a^n=b^n=1&(n=0)\\[0.5em]a^n<b^n&(n>0)\end{cases}\]

なぜこれらが成り立つのでしょうか?


正の数の整数乗の性質

 正の数$a$と整数$n$をもちいた整数乗$a^n$の値の範囲を調べます。

$1<a$のとき

 $n>0$においては「正の数の累乗の性質・大小関係」で示したように
\begin{equation}1<a^n\quad(n>0)\end{equation}
となるので、$n≦0$における整数乗$a^n$の値について調べます。

$n=0$のとき

 整数乗の定義より、
\begin{equation}a^0=1\end{equation}
となります。

$n<0$のとき

 $(1)$より、任意の自然数$k$について
\[0<1<a^k\]
と書くことができます。
各辺を$a^k$で割ると
\[0<\frac{1}{a^k}<1\]
となり、整数乗の定義より
\[0<a^{-k}<1\]
となります。
したがって、$n=-k$とおけば
$1<a$である正の数$a$と整数$n$について
\begin{equation}0<a^n<1\quad(n<0)\end{equation}
であることがわかります。

 $(1), (2), (3)$より
$1<a$である正の数$a$と整数$n$について
\[\large\begin{cases}0<a^n<1&(n<0)\\[0.5em]a^n=1&(n=0)\\[0.5em]1<a^n&(n>0)\end{cases}\]
となります。

 次に、$1<a$のときかつ$n$が$0$から限りなく離れたときの整数乗$a^n$の値について調べます。

$n$が限りなく大きくなったとき

 $n$が$0$から正の方向に限りなく離れた、すなわち$n$が限りなく大きくなったときの整数乗$a^n$の値は、「正の数の累乗の性質・大小関係」で示したように限りなく大きくなり、極限で表せば
\begin{equation}\lim_{n\to\infty}a^n=\infty\quad(1<a)\end{equation}
となります。

$n$が負の値をとりながら限りなく小さくなったとき

 $n$が$0$から負の方向へ限りなく離れた、すなわち$n$が負の値をとりながら限りなく小さくなったときの整数乗$a^n$の値を調べます。
$n<0$のとき、自然数$k$をもちいて$n=-k$と書くことができます。
そして、整数乗の定義より
\begin{align*}a^n&=a^{-k}\\[0.5em]&=\frac{1}{a^k}\end{align*}
となります。
ここで、$n$が負の値をとりながら限りなく小さくなるとき、$k$は限りなく大きくなります。
すると、$(4)$より$a^k$は限りなく大きくなるため、$\dfrac{1}{a^k}$は$0$に限りなく近づくことになり、すなわち極限で表せば
\[\lim_{n\to-\infty}a^n=0\quad(1<a)\]
となることがわかります。

 以上より、
$1<a$である正の数$a$と整数$n$について
\begin{gather*}\large\lim_{n\to-\infty}a^n=0\\[1em]\large\lim_{n\to\infty}a^n=\infty\end{gather*}
であることがわかります。

$a=1$のとき

 整数$n$の値で場合分けして考えます。

$n>0$のとき

 $n$は自然数なので累乗の定義より
\[1^n=1\quad(n>0)\]
となります。

$n=0$のとき

 整数乗の定義より
\[1^0=1\]
となります。

$n<0$のとき

 自然数$k$をもちいて$n=-k$となり、整数乗の定義より
\begin{align*}1^n&=1^{-k}\\[0.5em]&=\frac{1}{1^k}\\[0.5em]&=\frac{1}{1}\\[0.5em]&=1\end{align*}
となります。

 以上より、
$a=1$である正の数$a$と整数$n$について、$n$の値にかかわらず常に
\[\large a^n=1\]
であることがわかります。

$0<a<1$のとき

 $n>0$においては「正の数の累乗の性質・大小関係」で示したように
\begin{equation}0<a^n<1\quad(n>0)\end{equation}
となるので、$n≦0$における整数乗$a^n$の値について調べます。

$n=0$のとき

 整数乗の定義より$(2)$、すなわち
\[a^0=1\]
となります。

$n<0$のとき

 $(5)$より、任意の自然数$k$について
\[0<a^k<1\]
と書くことができます。
各辺を$a^k$で割ると
\[0<1<\frac{1}{a^k}\]
となり、整数乗の定義より
\[0<1<a^{-k}\]
となります。
したがって、$n=-k$とおけば
$0<a<1$である正の数$a$と$n<0$である整数$n$について
\begin{equation}1<a^n\quad(n<0)\end{equation}
であることがわかります。

 $(2), (5), (6)$より
$0<a<1$である正の数$a$と整数$n$について
\[\large\begin{cases}1<a^n&(n<0)\\[0.5em]a^n=1&(n=0)\\[0.5em]0<a^n<1&(n>0)\end{cases}\]
となります。

 次に、$0<a<1$のときかつ$n$が$0$から限りなく離れたときの整数乗$a^n$の値について調べます。

$n$が限りなく大きくなったとき

 $n$が$0$から正の方向に限りなく離れた、すなわち$n$が限りなく大きくなったときの整数乗$a^n$の値は、「正の数の累乗の性質・大小関係」で示したように$0$に限りなく近づき、極限で表せば
\[\lim_{n\to\infty}a^n=0\quad(0<a<1)\]
となります。

$n$が負の値をとりながら限りなく小さくなったとき

 $n$が$0$から負の方向へ限りなく離れた、すなわち$n$が負の値をとりながら限りなく小さくなったときの整数乗$a^n$の値を調べます。
$1<a$のときと同様に、自然数$k$をもちいて$n=-k$としたときの
\[a^n=\frac{1}{a^k}\]
を利用します。
$1<b$である正の数$b$をもちいて$a=\dfrac{1}{b}$と書くことができることより、
\begin{align*}\frac{1}{a^k}&=\frac{1}{\left(\cfrac{1}{b}\right)^k}\\[0.5em]&=\frac{1}{\cfrac{1}{b^k}}\\[0.5em]&=\frac{1\times b^k}{\cfrac{1}{b^k}\times b^k}\\[0.5em]&=b^k\end{align*}
となります。
$n$が負の値をとりながら限りなく小さくなるとき、$k$は限りなく大きくなります。
そして、$k$が限りなく大きくなると、$1<b$なので$(4)$と同様に$b^k$は限りなく大きくなる、すなわち$a^n$は限りなく大きくなることがわかるため、極限で
\[\lim_{n\to-\infty}a^n=\infty\quad(0<a<1)\]
と書けることがわかります。

 以上より、
$0<a<1$である正の数$a$と整数$n$について
\begin{gather*}\large\lim_{n\to-\infty}a^n=\infty\\[1em]\large\lim_{n\to\infty}a^n=0\end{gather*}
であることがわかります。

 正の数$a$と整数$n$の値にかかわらず整数乗$a^n$の値が$0$より大きいことは共通しています。
したがって、
正の数$a$と整数$n$について、$a$と$n$の値にかかわらず常に
\[\large a^n>0\]
であることがわかります。

正の数の整数乗の大小関係

底が同じ場合

 正の数$a$と$m<n$である整数$m, n$をもちいた整数乗$a^m, a^n$の大小関係を調べます。

$1<a$のとき

 整数乗$a^m, a^n$の比$\dfrac{a^n}{a^m}$は、整数乗の計算法則より
\begin{equation}\frac{a^n}{a^m}=a^{n-m}\end{equation}
と書くことができます。
$m<n$より、$n-m>0$かつ$1<a$なので、正の数の整数乗の性質より
\[1<a^{n-m}\]
であることがわかります。
$(7)$より、
\[1<\frac{a^n}{a^m}\]
となり、両辺に$a^m$を掛けると、正の数の整数乗の性質より$a^m>0$なので
\[a^m<a^n\]
となります。
したがって、
$1<a$である正の数$a$と$m<n$である整数$m, n$について
\[\large a^m<a^n\]
であることがわかります。

$a=1$のとき

 正の数の整数乗の性質より、任意の整数$m, n$について
\[1^m=1, 1^n=1\]
が成り立つので、
$a=1$である正の数$a$と整数$m, n$について、$m, n$の大小関係にかかわらず常に
\[\large a^m=a^n=1\]
であることがわかります。

$0<a<1$のとき

 $(7)$、すなわち
\[\frac{a^n}{a^m}=a^{n-m}\]
を利用します。
$m<n$より、$n-m>0$かつ$0<a<1$なので、正の数の整数乗の性質より
\[0<a^{n-m}<1\]
であることがわかります。
$(7)$より、
\[0<\frac{a^n}{a^m}<1\]
となり、両辺に$a^m$を掛けると
\[0<a^n<a^m\]
となります。
したがって、
$0<a<1$である正の数$a$と$m<n$である整数$m, n$について
\[\large a^m>a^n\]
であることがわかります。

以上をまとめると、
$a\neq1$である正の数$a$と$m<n$である整数$m, n$について
\[\large\begin{cases}a^m>a^n&(0<a<1)\\[0.5em]a^m<a^n&(1<a)\end{cases}\]
$a=1$である正の数$a$と整数$m, n$について、$m, n$の大小関係にかかわらず常に
\[\large a^m=a^n=1\]
となります。

底が異なる場合

 $a<b$である正の数$a, b$と整数$n$をもちいた整数乗$a^n, b^n$の大小関係を調べます。
整数乗$a^n, b^n$の比$\dfrac{a^n}{b^n}$は、整数乗の計算法則より
\begin{equation}\frac{a^n}{b^n}=\left(\frac{a}{b}\right)^n\end{equation}
と書くことができます。
$0<a<b$より、$0<\dfrac{a}{b}<1$なので、正の数の整数乗の性質より
\begin{cases}1<\left(\dfrac{a}{b}\right)^n&(n<0)\\[0.5em]\left(\dfrac{a}{b}\right)^n=1&(n=0)\\[0.5em]0<\left(\dfrac{a}{b}\right)^n<1&(n>0)\end{cases}
であることがわかります。
そして、$(8)$をもちいると
\begin{cases}1<\dfrac{a^n}{b^n}&(n<0)&\cdots\text{(i)}\\[0.5em]\dfrac{a^n}{b^n}=1&(n=0)&\cdots\text{(ii)}\\[0.5em]0<\dfrac{a^n}{b^n}<1&(n>0)&\cdots\text{(iii)}\end{cases}
と書けます。

$n<0$のとき

 $\text{(i)}$、すなわち
\[1<\frac{a^n}{b^n}\]
の両辺に$b^n$を掛けると
\[b^n<a^n\]
となります。
したがって、
$a<b$である正の数$a, b$と$n<0$である整数$n$について
\[a^n>b^n\]
であることがわかります。

$n=0$のとき

 $\text{(ii)}$、すなわち
\[\frac{a^n}{b^n}=1\]
の両辺に$b^n$を掛けると
\[a^n=b^n\]
となります。
したがって、
$a<b$である正の数$a, b$と$n=0$である整数$n$について
\[a^n=b^n\]
であることがわかります。

$n>0$のとき

 $\text{(iii)}$、すなわち
\[0<\frac{a^n}{b^n}<1\]
の各辺に$b^n$を掛けると
\[0<a^n<b^n\]
となります。
したがって、
$a<b$である正の数$a, b$と$n>0$である整数$n$について
\[a^n<b^n\]
であることがわかります。

 以上より、
$a<b$である正の数$a, b$と整数$n$について
\[\large\begin{cases}a^n>b^n&(n<0)\\[0.5em]a^n=b^n=1&(n=0)\\[0.5em]a^n<b^n&(n>0)\end{cases}\]
であることがわかります。

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