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2026年4月25日

楕円の方程式(標準形)

 中心が原点、2つの焦点がともにx軸またはy軸上にある楕円は
\[\large \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1\quad(a, b>0)\]
という方程式で表されます。この楕円の方程式のことを標準形といいます。
また、2つの焦点がともにx軸上にあるとき、
$a, b$の大小関係 $a>b>0$
長軸の長さ $2a$
短軸の長さ $2b$
焦点の座標 $(\pm\sqrt{a^2-b^2}, 0)$
2つの焦点がともにy軸上にあるとき、
$a, b$の大小関係 $b>a>0$
長軸の長さ $2b$
短軸の長さ $2a$
焦点の座標 $(0, \pm\sqrt{b^2-a^2})$
となります。

なぜこのように表されるのでしょうか?


楕円の方程式(標準形)の導出

楕円の定義
 楕円の定義は
2つの焦点からの距離の和が一定である点からなる曲線
あるいは
2つの焦点からの距離の和が一定である点の動く軌跡
です。この定義に従って方程式を導くことができます。
楕円の中心が原点にあり、かつ2つの焦点がともにx軸またはy軸上にあるということは、楕円の中心は2つの焦点を結ぶ線分の中点でもあることから、焦点の座標は$(-f, 0), (f, 0)$または$(0, -f), (0, f)$(ただし、$f>0$)とおけるということです。

2つの焦点がともにx軸上にある場合

中心が原点、焦点がともにx軸上にある楕円
 このとき、焦点の座標は$(-f, 0), (f, 0)$となります。
焦点からの距離の和は$2a$とします。ただし、$a$は正の実数で、かつ2つの焦点間の距離より大きくなければならないので$2a>2f>0$、すなわち$a>f>0$です。
楕円の定義を満たす点の座標を$(x, y)$とすると
\begin{equation}\sqrt{\bigl\{x-(-f)\bigr\}^2+(y-0)^2}+\sqrt{(x-f)^2+(y-0)^2}=2a\end{equation}
が成り立ちます。
整理して移項すると
\begin{align*}\sqrt{(x +f)^2+y^2}+\sqrt{(x-f)^2+y^2}&=2a\\[0.5em]\sqrt{(x +f)^2+y^2}&=2a-\sqrt{(x-f)^2+y^2}\end{align*}
両辺を2乗すると
\begin{align*}(x +f)^2+y^2&=4a^2+(x-f)^2+y^2-4a\sqrt{(x-f)^2+y^2}\\[0.5em]4a\sqrt{(x-f)^2+y^2}&=4a^2+(x-f)^2-(x +f)^2\\[0.5em]&=4a^2-4fx\\[0.5em]a\sqrt{(x-f)^2+y^2}&=a^2-fx\end{align*}
さらに両辺を2乗すると
\begin{align*}a^2\bigl\{(x-f)^2+y^2\bigr\}&=a^4-2a^2fx+f^2x^2\\[0.5em]a^2x^2-2a^2fx+a^2f^2+a^2y^2&=a^4-2a^2fx+f^2x^2\\[0.5em](a^2-f^2)x^2+a^2y^2&=a^4-a^2f^2\\[0.5em]&=a^2(a^2-f^2)\end{align*}
となります。
ここで距離条件$a>f$より
\[a^2>f^2\]
となり、移項して
\[a^2-f^2>0\]
となります。
この正の実数$a^2-f^2$を$b^2$(ただし、$b>0$)とおくと
\[b^2x^2+a^2y^2=a^2b^2\]
両辺を$a^2b^2$で割ると
\begin{equation}\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1\end{equation}
となります。この方程式において、$b^2=a^2-f^2, a>f>0, b>0$より$a^2>b^2$なので、$a, b$の大小関係は$a>b>0$となります。
後述の十分性の確認により、この方程式は楕円の定義式$(1)$と同値であるとわかるため、これが中心が原点、焦点がともにx軸上にある楕円の方程式となります。

 この楕円の長軸・短軸の長さと焦点の座標を調べてみます。

長軸の長さ

 焦点がともにx軸上にあるということは、長軸がx軸上にあるということです。
すなわち、長軸の両端のy座標は$0$なので、$(2)$に$y=0$を代入すると
\begin{align*}\frac{x^2}{a^2}+\frac{0^2}{b^2}&=1\\[0.5em]\frac{x^2}{a^2}&=1\\[0.5em]x^2&=a^2\\[0.5em]x&=\pm a\end{align*}
となり、長軸の両端の座標は$(\pm a, 0)$であることがわかります。

したがって、長軸の長さは$2a$です。


短軸の長さ

 長軸がx軸上にあり、かつ長軸と短軸の交点である楕円の中心が原点にあるということは、短軸はy軸上にあるということです。
すなわち、短軸の両端のx座標は$0$なので、$(2)$に$x=0$を代入すると
\begin{align*}\frac{0^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}&=1\\[0.5em]\frac{y^2}{b^2}&=1\\[0.5em]y^2&=b^2\\[0.5em]y&=\pm b\end{align*}
となり、短軸の両端の座標は$(0, \pm b)$であることがわかります。

したがって、短軸の長さは$2b$です。


焦点の座標

 $b^2=a^2-f^2$を$f$について解くと
\begin{align*}f^2&=a^2-b^2\\[0.5em]f&=\sqrt{a^2-b^2}&(\because f>0, a>b>0)\end{align*}
となります。

したがって、焦点の座標は$a, b$をもちいると$(\pm\sqrt{a^2-b^2}, 0)$となることがわかります。


以上をまとめると次のようになります。
中心が原点、焦点がともにx軸上にある楕円の方程式
\[\large \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1\quad(a>b>0)\]
長軸の長さ $2a$
短軸の長さ $2b$
焦点の座標 $(\pm\sqrt{a^2-b^2}, 0)$

焦点がともにy軸上にある場合

中心が原点、焦点がともにy軸上にある楕円
 このとき、焦点の座標は$(0, -f), (0, f)$となります。
焦点からの距離の和は$2b$とします。ただし、$b$は正の実数で、かつ2つの焦点間の距離より大きくなければならないので$2b>2f>0$、すなわち$b>f>0$です。
楕円の定義を満たす点の座標を$(x, y)$とすると
\begin{equation}\sqrt{(x-0)^2+\bigl\{y-(-f)\bigr\}^2}+\sqrt{(x-0)^2+(y-f)^2}=2b\end{equation}
が成り立ちます。
整理して移項すると
\[\sqrt{x^2+(y +f)^2}=2b-\sqrt{x^2+(y-f)^2}\]
両辺を2乗すると
\begin{align*}x^2+(y +f)^2&=4b^2+x^2+(y-f)^2-4b\sqrt{x^2+(y-f)^2}\\[0.5em]b\sqrt{x^2+(y-f)^2}&=b^2-fy\end{align*}
さらに両辺を2乗すると
\begin{align*}b^2\bigl\{x^2+(y-f)^2\bigr\}&=b^4-2b^2fy+f^2y^2\\[0.5em]b^2x^2+(b^2-f^2)y^2&=b^2(b^2-f^2)\end{align*}
となります。
ここで距離条件$b>f>0$より
\[b^2-f^2>0\]
となります。
この正の実数$b^2-f^2$を$a^2$(ただし、$a>0$)とおくと
\[b^2x^2+a^2y^2=b^2a^2\]
両辺を$b^2a^2$で割ると
\begin{equation}\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1\end{equation}
となります。この方程式において、$a^2=b^2-f^2, b>f>0, a>0$より$b^2>a^2$なので、$a, b$の大小関係は$b>a>0$となります。
後述と同様の十分性の確認により、この方程式$(4)$は楕円の定義式$(3)$と同値であるとわかるため、これが中心が原点、焦点がともにy軸上にある楕円の方程式となります。

 この楕円の長軸・短軸の長さと焦点の座標を調べてみます。

長軸の長さ

 焦点がともにy軸上にあるということは、長軸がy軸上にあるということです。
すなわち、長軸の両端のx座標は$0$なので、$(4)$に$x=0$を代入すると$y=\pm b$が得られ、長軸の両端の座標は$(0, \pm b)$であることがわかります。

したがって、長軸の長さは$2b$です。


短軸の長さ

 長軸がy軸上にあり、かつ長軸と短軸の交点である楕円の中心が原点にあるということは、短軸はx軸上にあるということです。
すなわち、短軸の両端のy座標は$0$なので、$(4)$に$y=0$を代入すると$x=\pm a$が得られ、短軸の両端の座標は$(\pm a, 0)$であることがわかります。

したがって、短軸の長さは$2a$です。


焦点の座標

 $a^2=b^2-f^2$を$f$について解くと
\[f=\sqrt{b^2-a^2}\quad(\because f>0, b>a>0)\]
となります。

したがって、焦点の座標は$a, b$をもちいると$(0, \pm\sqrt{b^2-a^2})$となることがわかります。


以上をまとめると次のようになります。
中心が原点、焦点がともにy軸上にある楕円の方程式
\[\large \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1\quad(b>a>0)\]
長軸の長さ $2b$
短軸の長さ $2a$
焦点の座標 $(0, \pm\sqrt{b^2-a^2})$

十分性の確認

 焦点がともにx軸上にある場合で最終的に得られた方程式$(2)$、すなわち
\[\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1\quad(a>b>0)\]
は、楕円の定義式$(1)$、すなわち
\[\sqrt{\bigl\{x-(-f)\bigr\}^2+(y-0)^2}+\sqrt{(x-f)^2+(y-0)^2}=2a\quad(a>f)\]
と同値なのでしょうか?

楕円の定義式$(1)$から方程式$(2)$が得られるという必要性は確認できたので、方程式$(2)$を導出過程と逆の操作で変形していって$(1)$のみが得られるという十分性を確認します。
導出過程において、両辺が2乗した部分以外は同値変形を行っているので、それらの部分についてはすでに十分性は確認できています。

したがって、両辺を2乗した部分で同値変形が行われたのかが重要となります。

一般に$A, B≧0$のとき
\[A=B\ \Leftrightarrow\ A^2=B^2\]
が成り立ちます。

よって、$(2)$より導出過程の2乗する前の両辺がともに非負であることを示せれば、両辺を2乗した部分も同値変形であり、十分性を確認できます。


 まず、十分性を確認するために利用する道具をそろえます。
方程式$(2)$を$y^2$について解くと
\begin{align*}\frac{y^2}{b^2}&=1-\frac{x^2}{a^2}\\[0.5em]y^2&=b^2\left(1-\frac{x^2}{a^2}\right)\end{align*}
となります。
$y^2≧0$より右辺も$0$以上であり、これを満たす$x$の変域は
\begin{equation}-a\leqq x\leqq a\end{equation}
です。

$a>b>0$なので、正の実数$f$をもちいて$b^2=a^2-f^2$とおくことができます。このとき、$b^2>0$より$a^2>f^2$であり、$a, f>0$より
\begin{equation}a>f>0\end{equation}
となります。

上記の$y^2$の式に$b^2=a^2-f^2$を代入すると
\begin{align*}y^2&=b^2\left(1-\frac{x^2}{a^2}\right)\\[0.5em]&=(a^2-f^2)\left(1-\frac{x^2}{a^2}\right)\\[0.5em]y^2&=\left(\frac{f^2}{a^2}-1\right)x^2+a^2-f^2\tag7\end{align*}
となります。

十分性の確認①

\[a\sqrt{(x-f)^2+y^2}=a^2-fx\]
の両辺が非負であることを確かめます。
 左辺を調べます。
$f, x, y$は実数なので、$(x-f)^2+y^2$は非負、その平方根$\sqrt{(x-f)^2+y^2}$もまた非負となります。
そして$a$も非負なので、左辺$a\sqrt{(x-f)^2+y^2}$は非負であることがわかります。
 右辺を調べます。
$(5)$の$x≦a$に着目し、両辺に$f$を掛けると、$f>0$なので
\[fx\leqq af\tag8\]
となります。
また、$(6)$の各辺に$a$を掛けると、$a>0$なので
\[a^2>af>0\tag9\]
となります。
$(8), (9)$より
\begin{align*}&fx\leqq af<a^2\\[0.5em]\Leftrightarrow&\ fx<a^2\\[0.5em]\Leftrightarrow&\ a^2-fx>0\end{align*}
となり、右辺$a^2-fx$は非負であることがわかります。
したがって、
\[a\sqrt{(x-f)^2+y^2}=a^2-fx\]
の両辺はともに非負であることがわかったので、この部分の十分性を確認できました。

十分性の確認②

\[\sqrt{(x +f)^2+y^2}=2a-\sqrt{(x-f)^2+y^2}\]
の両辺が非負であることを確かめます。
 左辺を調べます。
$f, x, y$は実数なので、$(x +f)^2+y^2$は非負、その平方根$\sqrt{(x +f)^2+y^2}$もまた非負となります。
 右辺を調べます。
右辺に$(7)$を代入すると
\begin{align*}&2a-\sqrt{(x-f)^2+\left(\frac{f^2}{a^2}-1\right)x^2+a^2-f^2}\\[0.5em]&=2a-\sqrt{x^2-2fx+f^2+\left(\frac{f^2}{a^2}-1\right)x^2+a^2-f^2}\\[0.5em]&=2a-\sqrt{\frac{f^2}{a^2}x^2-2fx+a^2}\\[0.5em]&=2a-\sqrt{\left(\frac{f}{a}x-a\right)^2}\\[0.5em]&=2a-\left|\frac{f}{a}x-a\right|\end{align*}
となります。
ここで、$(5)$の各辺に$f$を掛けると、$f>0$なので
\[-af\leqq fx\leqq af\]
となり、さらに各辺を$a$で割ると、$a>0$なので
\[-f\leqq\frac{f}{a}x\leqq f\]
となります。
$(6)$は
\begin{cases}a>f>0\\[0.5em]-a<-f<0\end{cases}
と書けることを考えれば
\begin{align*}-a<-f\leqq\frac{f}{a}x\leqq f<a\\[0.5em]\Leftrightarrow&\ -a<\frac{f}{a}x<a\end{align*}
であることがわかります。
$\dfrac{f}{a}x<a$に着目して、両辺から$a$を引けば
\[\frac{f}{a}x-a<0\tag{10}\]
であることがわかります。
$-a<\dfrac{f}{a}x$に着目して、両辺に$a$を加えれば
\[0<\frac{f}{a}x+a\tag{11}\]
であることがわかります。
$(10)$より
\begin{align*}2a-\left\{-\left(\frac{f}{a}x-a\right)\right\}&=2a-\left(a-\frac{f}{a}x\right)\\[0.5em]&=a+\frac{f}{a}x>0&\bigl(\because(11)\bigr)\end{align*}
となり、右辺$2a-\sqrt{(x-f)^2+y^2}$は非負であることがわかります。
したがって、
\[\sqrt{(x +f)^2+y^2}=2a-\sqrt{(x-f)^2+y^2}\]
の両辺はともに非負であることがわかったので、この部分の十分性を確認できました。

以上より、導出過程のすべての変形が同値変形であることがわかったので、楕円の定義式$(1)$と方程式$(2)$は同値、すなわち
\[\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1\quad(a>b>0)\]
は確かに楕円の方程式であることがわかりました。

焦点がともにy軸上にある場合についても同様の方法で十分性を確認できます。


楕円の標準形の平行移動と変形

楕円の標準形の平行移動

楕円の標準形の平行移動
 楕円の標準形$\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$をx軸方向に$p$、y軸方向に$q$だけ平行移動すると、方程式上では$x$を$x-p$に、$y$を$y-q$に置き換えることに対応するので
\[\large\frac{(x-p)^2}{a^2}+\frac{(y-q)^2}{b^2}=1\]
となります。

楕円の標準形の拡大・縮小

 楕円の標準形を適切にx軸方向とy軸方向にそれぞれ拡大・縮小することで原点を中心とする円にすることができます。
楕円の標準形を適切にx軸・y軸方向に拡大・縮小すると円になる
楕円の標準形
\[\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1\]
をx軸方向に$\dfrac{r}{a}$倍、y軸方向に$\dfrac{r}{b}$倍(ただし、$r>0$)すると、方程式上では$x$を$\dfrac{x}{\cfrac{r}{a}}=\dfrac{ax}{r}$に、$y$を$\dfrac{y}{\cfrac{r}{b}}=\dfrac{by}{r}$に置き換えることに対応するので、
\begin{align*}\frac{\left(\cfrac{ax}{r}\right)^2}{a^2}+\frac{\left(\cfrac{by}{r}\right)^2}{b^2}&=1\\[0.5em]\frac{\cfrac{a^2x^2}{r^2}}{a^2}+\frac{\cfrac{b^2y^2}{r^2}}{b^2}&=1\\[0.5em]\frac{x^2}{r^2}+\frac{y^2}{r^2}&=1\\[0.5em]x^2+y^2&=r^2\end{align*}
となり、中心が原点、半径$r$の円が現れます。

 逆に、原点を中心とする円をx軸方向とy軸方向にそれぞれ拡大・縮小することで楕円の標準形になります。
円をx軸・y軸方向に拡大・縮小すると楕円になる
中心が原点、半径$r$の円
\[x^2+y^2=r^2\]
をx軸方向に$\dfrac{a}{r}$倍、y軸方向に$\dfrac{b}{r}$倍すると、方程式上では$x$を$\dfrac{x}{\cfrac{a}{r}}=\dfrac{rx}{a}$に、$y$を$\dfrac{y}{\cfrac{b}{r}}=\dfrac{ry}{b}$に置き換えることに対応するので、
\begin{align*}\left(\frac{rx}{a}\right)^2+\left(\frac{ry}{b}\right)^2&=r^2\\[0.5em]\frac{r^2x^2}{a^2}+\frac{r^2y^2}{b^2}&=r^2\\[0.5em]\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}&=1\end{align*}
となり、楕円の標準形が現れます。

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