2つの直角三角形が相似であるかを示すとき、三角形の相似条件
それは、
- 3組の辺の比がすべて等しい
- 2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい
- 2組の角がそれぞれ等しい
それは、
- 斜辺と他の1組の辺の比が等しい(あるいは、2組の辺の比が等しい)
- 1組の鋭角が等しい
なぜこのような条件となっているのでしょうか?
まず、2つの直角三角形の相似を調べるということは、それらが直角三角形であるとわかっている、すなわち少なくともどの内角が直角であるか、そしてどの辺が直角の対辺となる斜辺であるかも明らかになっていることが前提となります。
斜辺と他の1組の辺の比が等しい
これを変形すると
これは、直角三角形の斜辺と他の1辺となる2つの辺の長さがわかれば、三平方の定理より3辺すべての長さがわかるということです。
\begin{align*}AB^2&=BC^2-AC^2\\[0.5em]AB&=\sqrt{BC^2-AC^2}&(\because
AB>0)\tag1\end{align*}
となります。これは、直角三角形の斜辺と他の1辺となる2つの辺の長さがわかれば、三平方の定理より3辺すべての長さがわかるということです。
ここで、もう1つの三角形として$∠D=90°$である直角三角形$DEF$を考えると、$△ABC$と同様に三平方の定理より
\[DE^2+DF^2=EF^2\]
が成り立って、斜辺$EF$と他の1辺$DF$の長さがわかっていれば辺$DE$の長さは
\[DE=\sqrt{EF^2-DF^2}\tag2\]
より求められます。
もし、$△ABC$と$△DEF$について「斜辺と他の1組の辺の比が等しい」として、例えば$AC:DF=BC:EF=m:n$が成り立っていたなら
\begin{align*}AC:DF&= m:n\\[0.5em]m DF&=n
AC\\[0.5em]DF&=\frac{n}{m}AC\\[1em]BC:EF&= m:n\\[0.5em]m
EF&=n BC\\[0.5em]EF&=\frac{n}{m}BC\end{align*}
となるので、$(2)$より
\begin{align*}DE&=\sqrt{\left(\frac{n}{m}BC\right)^2-\left(\frac{n}{m}AC\right)^2}\\[0.5em]&=\sqrt{\left(\frac{n}{m}\right)^2BC^2-\left(\frac{n}{m}\right)^2AC^2}\\[0.5em]&=\sqrt{\left(\frac{n}{m}\right)^2\bigl(BC^2-AC^2\bigr)}\\[0.5em]&=\frac{n}{m}\sqrt{BC^2-AC^2}\\[0.5em]&=\frac{n}{m}AB&\bigl(\because(1)\bigr)\\[0.5em]m
DE&=n AB\\[0.5em]\therefore AB:DE&= m:n\end{align*}
となり、「3組の辺の比がすべて等しい」を満たしていることがわかるので$△\text{ABC}$と$△DEF$は相似であることがわかります。
また、$∠A=∠D=90°$であることを考えれば、$AB:DE=AC:DF=
m:n$と合わせて「2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい」を満たしていることがわかります。
したがって、「斜辺と他の1組の辺の比が等しい」とき、直角三角形の性質により「3組の辺の比がすべて等しい」や「2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい」をすでに満たしているので、直角三角形の相似条件となるのです。
ちなみに、「斜辺以外の2組の辺の比が等しい」ことがわかっている場合、間の角である直角により「2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい」、あるいは上記と同様にして三平方の定理により「3組の辺の比がすべて等しい」をすでに満たしていることを導けます。
直角三角形のどの2組の辺の比が等しくても相似となるので、「斜辺と他の1組の辺の比が等しい」と「斜辺以外の2組の辺の比が等しい」を合わせて直角三角形の相似条件の1つを
とすることもできます。
すなわち、直角三角形に限りその性質により2組の辺の比にのみ着目して相似かどうかを判定することができます。
- 2組の辺の比が等しい
すなわち、直角三角形に限りその性質により2組の辺の比にのみ着目して相似かどうかを判定することができます。
また、「斜辺と他の1組の辺の比が等しい」は直角三角形の合同条件「斜辺と他の1組の辺がそれぞれ等しい」の辺の長さの条件を緩めたものとなります。
1組の鋭角が等しい
前提より、少なくともどの内角が直角であるかがわかっています。
すなわち、2つの直角三角形$△\text{ABC}$と$△\text{DEF}$について相似であるかを調べているとき、すでに$∠\text{A}=∠\text{D}=90°$というようなことがわかっているということです。
すなわち、2つの直角三角形$△\text{ABC}$と$△\text{DEF}$について相似であるかを調べているとき、すでに$∠\text{A}=∠\text{D}=90°$というようなことがわかっているということです。
もしこのとき、さらに「1組の鋭角が等しい」として、例えば$∠\text{B}=∠\text{E}$であることがわかったならば、「2組の角がそれぞれ等しい」を満たしたことになるので$△\text{ABC}$と$△\text{DEF}$は相似であることがわかります。
したがって、直角三角形において「1組の鋭角が等しい」とき、直角三角形であるという前提により「2組の角がそれぞれ等しい」をすでに満たしているため、直角三角形の相似条件となるのです。
ちなみに、「1組の鋭角が等しい」は直角三角形の合同条件「斜辺と1組の鋭角がそれぞれ等しい」の辺の長さの条件を緩めたものとなります。
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