三角形の内接円の半径は3辺の長さから以下のように求めることができます。
3辺の長さが$a,b,c$の三角形の内接円の半径$r$は
\[\large r=\frac{\sqrt{(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)}}{2(a+b+c)}\]
特に、斜辺の長さが$a$で他の2辺の長さが$b,c$の直角三角形の内接円の半径$r$は
\[\large r=\frac{b+c -a}{2}\]
任意の三角形の内接円の半径
$△ABC$の内接円の中心(内心)$I$から各辺に垂線をおろし、辺$BC, CA,
AB$上にある垂線の足をそれぞれ$D, E, F$とします。
そして、線分$IA, IB, IC$を引いて$△IBC, △ICA, △IAB$をつくります。
そして、線分$IA, IB, IC$を引いて$△IBC, △ICA, △IAB$をつくります。
線分$ID,IE,IF$を引くと、これらは内接円の半径、辺$AB, BC,
CA$は内接円の接線となるため、$BC\perp ID, CA\perp IE, AB\perp
IF$が成り立ち、このことから線分$ID, IE, IF$の長さはそれぞれ$△IBC, △ICA,
△IAB$の高さとなります。
したがって、$△ABC$の内接円の半径を$r$、すなわち$ID=IE=IF=r$とし、$BC=a,
CA=b, AB=c$すると、$△IBC, △ICA, △IAB$の面積は
\begin{align*}\triangle IBC&=\frac{1}{2}BC\cdot
ID\\[0.5em]&=\frac{1}{2}ar\\[1em]\triangle
ICA&=\frac{1}{2}CA\cdot
IE\\[0.5em]&=\frac{1}{2}br\\[1em]\triangle
IAB&=\frac{1}{2}AB\cdot IF\\[0.5em]&=\frac{1}{2}cr\end{align*}
となります。
また、$△IBC, △ICA, △IAB$の面積の和は$△ABC$の面積となるので
\begin{align*}\triangle ABC&=\triangle IBC+\triangle ICA+\triangle
IAB\\[0.5em]&=\frac{1}{2}ar+\frac{1}{2}br+\frac{1}{2}cr\\[0.5em]\therefore\triangle
ABC&=\frac{1}{2}(a+b+c)r\tag1\end{align*}
となります。
ここで、$△ABC$は3辺の長さがわかっているのでヘロンの公式より面積を求めることができ、
\[\triangle ABC=\frac{1}{4}\sqrt{(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)}\tag2\]
となります。
$(1),(2)$より
\[\frac{1}{2}(a+b+c)r=\frac{1}{4}\sqrt{(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)}\]
となり、$r$について解くと
\begin{align*}2(a+b+c)r&=\sqrt{(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)}\\[0.5em]\large\therefore
r&\large=\frac{\sqrt{(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)}}{2(a+b+c)}\end{align*}
となります。これが$△ABC$の内接円の半径です。
直角三角形の内接円の半径はより簡単な形で表すことができます。
直角三角形の内接円の半径
線分$ID,IE,IF$を引くと、これらは内接円の半径、辺$AB, BC,
CA$は内接円の接線となるため
\begin{align*}AE&=AF\tag3\\[1em]BD&=BF\\[1em]CD&=CE\end{align*}
が成り立ちます。
また、辺$BC, CA, AB$それぞれの長さを$a, b, c$、線分$AE,
AF$の長さを$d$、線分$BD, BF$の長さを$e$、線分$CD, CE$の長さを$f$とすると、
$BC=BD+CD$より
が成り立ちます。
\[a=e+f\tag4\]
$CA=CE+AE$より
\[b=f +d\tag5\]
$AB=AF+BF$より
\[c=d +e\tag6\]
ここで、四角形$AEIF$に着目すると、$∠EAF=∠AEI=∠AFI=90°$より少なくとも長方形であることがわかります。
さらに、長方形ならば$AE=IF, AF=IE$が成り立ち、$(3)$より$AE=AF=IE=IF$となるため、四角形$AEIF$は正方形であることがわかります。
さらに、長方形ならば$AE=IF, AF=IE$が成り立ち、$(3)$より$AE=AF=IE=IF$となるため、四角形$AEIF$は正方形であることがわかります。
直角三角形$ABC$の内接円の半径を$r$、すなわち$ID=IE=IF=r$とおくと、上記と$AE=AF=d$より
\[d=r\]
が成り立つので、$(5),(6)$は
\begin{align*}b&=f +r\tag*{(5)'}\\[1em]c&=r
+e\tag*{(6)'}\end{align*}
となります。
${(5)'+(6)'-(4)}÷2$をしてみると
\begin{align*}\frac{b+c-a}{2}&=\frac{(f +r)+(r
+e)-(e+f)}{2}\\[0.5em]&=\frac{2r}{2}\\[0.5em]&=r\\[0.5em]\large\therefore
r&\large=\frac{b+c-a}{2}\end{align*}
となり、直角三角形$ABC$の内接円の半径を3辺の長さから求める式が導かれます。
Share:

.png)
.png)
.png)



