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2025年10月10日

指数方程式の例題8問 発展編

「次の指数方程式の実数解を求めよ。
(1)$\large3^x=\dfrac{9}{3^{2x}}$

(2)$\large5^{3x}=625\cdot5^x$

(3)$\large4^x-64=3\cdot\bigl(-4^x\bigr)$

(4)$\large\bigl(\sqrt[4]{2}\bigr)^x=8$

(5)$\large3^x-9^x=72$

(6)$\large\dfrac{2^x}{18}=\dfrac{2}{3^x}$

(7)$\large\dfrac{27}{25}\cdot5^x=5\cdot3^x$

(8)$\large\dfrac{9^x+25^x}{2}=15^x$」

 指数法則や他の方程式の解法を利用する指数方程式の例題を作ってみました。

(1)$3^x=\dfrac{9}{3^{2x}}$

 正の数の実数乗の性質より$3^{2x}\neq0$なので、両辺に$3^{2x}$を掛けて分母を払います。
\begin{align*}3^x\cdot3^{2x}&=\frac{9}{3^{2x}}\cdot3^{2x}\\[0.5em]3^x\cdot3^{2x}&=9\end{align*}
すると、左辺は実数乗の指数法則より
\begin{align*}3^{x+2x}&=9\\[0.5em]3^{3x}&=9\end{align*}
右辺を$3$のべき乗で表すと
\[3^{3x}=3^2\]
となります。
指数部分より
\[3x=2\]
が成り立ち、この1次方程式の解$\mathbf{x=\dfrac{2}{3}}$が(1)の実数解となります。

(2)$5^{4x}=625\cdot5^x$

 正の数の実数乗の性質より$5^x\neq0$なので、両辺を$5^x$で割ります。
\begin{align*}\frac{5^{4x}}{5^x}&=\frac{625\cdot5^x}{5^x}\\[0.5em]\frac{5^{3x}}{5^x}&=625\end{align*}
すると、左辺は実数乗の指数法則より
\begin{align*}5^{4x-x}&=625\\[0.5em]5^{3x}&=625\end{align*}
右辺を$5$のべき乗で表すと
\[5^{3x}=5^4\]
となります。
指数部分より
\[3x=4\]
が成り立ち、この1次方程式の解$\mathbf{x=\dfrac{4}{3}}$が(2)の実数解となります。

(3)$4^x-64=3\cdot\bigl(-4^x\bigr)$

\[-4^x=-\bigl(4^x\bigr)=-1\cdot4^x\]
より、右辺を
\begin{align*}4^x-64&=3\cdot(-1)\cdot4^x\\[0.5em]4^x-64&=-3\cdot4^x\tag*{(3)'}\end{align*}
と変形できます。
(3)に実数解が存在するならば、$(3)'$に含まれる実数乗$4^x$の値はその実数解によって$(3)'$を満たすような実数値となるということでもあります。
そこで、$4^x=A$とおくと上の(3)を変形した指数方程式は
\[A-64=-3A\]
という1次方程式に置き換えることができます。
この1次方程式を$A$について解くと
\begin{align*}A-64+3A&=0\\[0.5em]4A-64&=0\\[0.5em]4A&=64\\[0.5em]A&=16\end{align*}
となり、$A$を元に戻すと
\[4^x=16\]
となります。これが$(3)'$を満たす実数乗$4^x$の値です。
この実数乗$4^x$の値は(3)の実数解より得られたものなので、上式を指数方程式として解いたときの実数解は(3)の実数解でもあります。
上式の右辺は
\[4^x=4^2\]
と変形できるので、指数部分より(3)の実数解は$\mathbf{x=2}$であることがわかります。

 1次方程式に置き換えなくても、そのまま指数方程式として解くこともできます。
(3)を変形した指数方程式の両辺に$64+3\cdot4^x$を加えると
\begin{align*}4^x-64+64+3\cdot4^x&=-3\cdot4^x+64+3\cdot4^x\\[0.5em]4^x+3\cdot4^x&=64\\[0.5em](1+3)4^x&=64\\[0.5em]4\cdot4^x&=64\end{align*}
$4=4^1$なので、左辺は実数乗の指数法則より
\[4^{x+1}=64\]
右辺を$4$のべき乗で表すと
\[4^{x+1}=4^3\]
となります。
指数部分より
\[x+1=3\]
が成り立ち、この1次方程式の解$\mathbf{x=2}$が(3)の実数解となります。

(4)$\bigl(\sqrt[4]{2}\bigr)^x=8$

 有理数乗の定義より
\[\sqrt[4]{2}=2^\frac{1}{4}\]
なので、左辺は
\[\bigl(2^\frac{1}{4}\bigr)^x=8\]
となります。
さらに、左辺は実数乗の指数法則より
\[2^{\frac{1}{4}x}=8\]
となり、右辺を$2$のべき乗で表すと
\[2^{\frac{1}{4}x}=2^3\]
となります。
指数部分より
\[\frac{1}{4}x=3\]
が成り立ち、この1次方程式の解$\mathbf{x=12}$が(4)の実数解となります。

(5)$3^x-9^x=72$

 $9=3^2$であることより
\[3^x-(3^2)^x=72\]
となり、さらに実数乗の指数法則より
\begin{align*}3^x-3^{2\cdot x}&=72\\[0.5em]3^x-\bigl(3^x\bigr)^2&=72\end{align*}
と書けます。
ここで、(3)と同様に$3^x=B$とおくと
\[B-B^2=72\]
という2次方程式に置き換えることができます。
この2次方程式を$B$について解くと
\begin{align*}0&=B^2-B+72\\[0.5em]B^2-B+72&=0\\[0.5em](B+8)(B-9)&=0\\[0.5em]B&=-8,9\end{align*}
となり、$B$を戻すと
\[3^x=-8,9\]
となります。
しかし、上の2次方程式の解の1つとして得られた$3^x=-8$は、正の数の実数乗の性質より$3^x>0$であることから(5)を満たす$3^x$の値として不適であることがわかります。
したがって、残る
\[3^x=9\]
が(5)を満たす$3^x$の値となります。
これを指数方程式として解くと、右辺が
\[3^x=3^2\]
という$3$のべき乗で表すことができることから、指数部分より(5)の実数解は$\mathbf{x=2}$であることがわかります。

(6)$\dfrac{2^{2x}}{18}=\dfrac{2}{3^{2x}}$

 まず、分母に未知数となっている実数乗$3^{2x}$があるので$3^{2x}\neq0$という条件が付きます。
しかし、正の数の実数乗の性質より$3^{2x}>0$、すなわち任意の実数$x$で$3^{2x}\neq0$なので、(6)の実数解を求める過程で不適な解が現れるということはありません。
両辺に$18\cdot3^{2x}$を掛けて分母を払うと
\begin{align*}2^{2x}\cdot3^{2x}&=2\cdot18\\[0.5em]2^{2x}\cdot3^{2x}&=36\end{align*}
となります。
実数乗の指数法則より左辺は
\begin{align*}(2\cdot3)^{2x}&=36\\[0.5em]6^{2x}&=36\end{align*}
右辺を$6$のべき乗で表すと
\[6^{2x}=6^2\]
となります。
指数部分より
\[2x=2\]
が成り立ち、この1次方程式の解$\mathbf{x=2}$が(6)の実数解であることがわかります。

(7)$\dfrac{27}{25}\cdot5^x=5\cdot3^x$

 両辺を$\dfrac{27}{25}\cdot3^x$で割ると
\begin{align*}\frac{3^x}{5^x}&=5\cdot\frac{25}{27}\\[0.5em]\frac{3^x}{5^x}&=\frac{125}{27}\end{align*}
となります。
実数乗の指数法則より左辺は
\[\left(\frac{3}{5}\right)^x=\frac{125}{27}\]
$\dfrac{125}{27}=\left(\dfrac{5}{3}\right)^3=\left(\dfrac{3}{5}\right)^{-3}$より右辺は
\[\left(\frac{3}{5}\right)^x=\left(\frac{3}{5}\right)^{-3}\]
となります。
指数部分より
\[x=-3\]
が成り立ち、これが(7)の実数解となります。

(8)$\dfrac{9^x+25^x}{2}=15^x$

 2通りの方法で解いてみます。

解法 その1

 両辺に$2$を掛けて分母を払うと
\[9^x+25^x=2\cdot15^x\]
両辺から$2\cdot15^x$を引くと
\[9^x-2\cdot15^x+25^x=0\]
となります。
さらに、実数乗の指数法則より
\begin{align*}9^x&=\bigl(3^2\bigr)^x\\[0.5em]&=\bigl(3^x\bigr)^2\\[1em]15^x&=(3\cdot5)^x\\[0.5em]&=3^x\cdot5^x\\[1em]25^x&=\bigl(5^2\bigr)^x\\[0.5em]&=\bigl(5^x\bigr)^2\end{align*}
と書けることから、(8)は
\[\bigl(3^x\bigr)^2-2\cdot3^x\cdot5^x+\bigl(5^x\bigr)^2=0\]
と変形できます。
$3^x=C, 5^x=D$とおくと、上の指数方程式は
\[C^2-2CD+D^2=0\]
という2次方程式に置き換えることができます。
この2次方程式は
\[(C-D)^2=0\]
と因数分解することができ、この式が成り立つための条件は
\[C=D\]
であることがわかります。
$C, D$を戻すと
\[3^x=5^x\]
となります。
正の数の実数乗の大小関係より、上式が成り立つのは$\mathbf{x=0}$のときだけなので、これが(8)の実数解であることがわかります。

解法 その2

 両辺に$2$を掛け、$2\cdot15^x$を引いて
\[9^x-2\cdot15^x+25^x=0\]
とするところまでは解法 その1と同じです。
両辺を$25^x$で割ると
\[\frac{9^x}{25^x}-2\cdot\frac{15^x}{25^x}+1=0\]
となります。
実数乗の指数法則より
\begin{align*}\left(\frac{9}{25}\right)^2-2\left(\frac{15}{25}\right)^x+1&=0\\[0.5em]\left(\frac{9}{25}\right)^2-2\left(\frac{3}{5}\right)^x+1&=0\end{align*}
$\dfrac{9}{25}=\left(\dfrac{3}{5}\right)^2$であることと実数乗の指数法則より
\begin{align*}\left\{\left(\frac{3}{5}\right)^2\right\}^x-2\left(\frac{3}{5}\right)^x+1&=0\\[0.5em]\left\{\left(\frac{3}{5}\right)^x\right\}^2-2\left(\frac{3}{5}\right)^x+1&=0\end{align*}
となります。
$\dfrac{3}{5}=E$とおくと
\[E^2-2E+1=0\]
という2次方程式に置き換えることができます。
この2次方程式を$E$について解くと
\begin{align*}(E-1)^2&=0\\[0.5em]E&=1\end{align*}
となり、$E$を戻すと
\[\left(\frac{3}{5}\right)^x=1\]
となります。
左辺は
\[\left(\frac{3}{5}\right)^x=\left(\frac{3}{5}\right)^0\]
と書くことができるので、指数部分より$\mathbf{x=0}$が成り立ち、これが(8)の実数解となります。

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