実関数\sin(ax+b),\cos(ax+b),\tan(ax+b) (a,b:実数;a\neq0)の周期は何でしょうか?
周期とは、周期関数が持つ特徴を表す値のことです。
周期関数とは、0でない定数pをもちいて
周期関数f(x)は任意のxからpだけ増加するごとに繰り返し同じ値を取ります。
周期関数とは、0でない定数pをもちいて
f(x+p)=f(x)
が常に成り立つような関数f(x)のことをいいます。このときのpが周期です。周期関数f(x)は任意のxからpだけ増加するごとに繰り返し同じ値を取ります。
周期pとして満足する値のうち、最小の正の数であるもののことを基本周期といいます。
周期pとして満足する値はすべてこの基本周期の整数倍となります。
したがって、周期関数において
周期pとして満足する値はすべてこの基本周期の整数倍となります。
したがって、周期関数において
f(x+np)=f(x)\quad(n:整数)
もまた常に成り立ちます。
周期関数には三角関数の\sin x,\cos x,\tan
xも含まれますが、これは本当でしょうか?
また、これらの基本周期は何でしょうか?単位円から求めてみます。
また、これらの基本周期は何でしょうか?単位円から求めてみます。
\sin xの基本周期
\sin xが周期関数であるためには、
\sin(x+p)=\sin x
を満たすような実数pが存在しなくてはなりません。これはf(x+p)がxをx+pに変換したものであることから導くことができます。このようなpが存在するかを単位円から探してみます。
\sin
xは単位円において、xの角度をなす動径と単位円との交点のy座標を表します。
単位円周上においてこれと等しいy座標を持つ点はなす角が\pi-xである動径と単位円との交点となります。これらの点は常にy軸に関して対称な位置関係にあります。
すなわち\sin x=\sin(\pi-x)がすべてのxに対し常に成り立つということです。
単位円周上においてこれと等しいy座標を持つ点はなす角が\pi-xである動径と単位円との交点となります。これらの点は常にy軸に関して対称な位置関係にあります。
すなわち\sin x=\sin(\pi-x)がすべてのxに対し常に成り立つということです。
さらにx,\pi-xのときの動径が表す角は、2\piの整数倍だけ原点を中心に回転させたものも含まれるため
このことから
\begin{array}{cccl}x&\Rightarrow&x+2n\pi&(n:整数)\\[1em]\pi-x&\Rightarrow&(2m+1)\pi-x&(m:整数)\end{array}
となります。このことから
\sin x=\sin(x+2n\pi)=\sin\bigl\{(2m+1)\pi-x\bigr\}
が常に成り立ちます。
\sin
xと常に等しい\sin(x+2n\pi),\sin\bigl\{(2m+1)\pi-x\bigr\}のうち、\sin(x+p)として適しているのは\sin(x+2n\pi)となります。
したがって、
また、周期2n\piにおいて最小の正の数であるものはn=1のときの2\piです。
ゆえに、\sin xの基本周期は\mathbf{2\pi}であることがわかります。
\begin{equation}\sin(x+2n\pi)=\sin x\end{equation}
より\sin
xは周期関数であることがわかります。周期は\mathbf{2n\pi}です。また、周期2n\piにおいて最小の正の数であるものはn=1のときの2\piです。
ゆえに、\sin xの基本周期は\mathbf{2\pi}であることがわかります。
\cos xの基本周期
\sin xと同様に基本周期を求めてみます。
\cos xが周期関数であるためには、
\cos(x+p)=\cos x
を満たすような実数pが存在する必要があるので、このようなpが存在するのかを単位円から探してみます。
\cos
xは単位円において、xの角度をなす動径と単位円との交点のx座標を表します。
単位円周上においてこれと等しいx座標を持つ点はなす角が-xである動径と単位円との交点となります。これらの点は常にx軸に関して対称な位置関係にあります。
すなわち\cos x=\cos(-x)がすべてのxに対し常に成り立つということです。
単位円周上においてこれと等しいx座標を持つ点はなす角が-xである動径と単位円との交点となります。これらの点は常にx軸に関して対称な位置関係にあります。
すなわち\cos x=\cos(-x)がすべてのxに対し常に成り立つということです。
さらにx,-xそれぞれのときの動径が表す角は、2\piの整数倍だけ原点を中心に回転させたものも含まれるため
このことから
\cos(x+2n\pi),\cos(-x+2m\pi)のうち\cos(x+p)として適したものは\cos(x+2n\pi)となります。
\begin{array}{cccl}x&\Rightarrow&x+2n\pi&(n:整数)\\[1em]-x&\Rightarrow&-x+2m\pi&(m:整数)\end{array}
となります。このことから
\cos x=\cos(x+2n\pi)=\cos(-x+2m\pi)
が常に成り立ちます。
\cos(x+2n\pi),\cos(-x+2m\pi)のうち\cos(x+p)として適したものは\cos(x+2n\pi)となります。
したがって、
また、周期2n\piにおいて最小の正の数であるものはn=1のときの2\piです。
ゆえに、\cos xの基本周期は\mathbf{2\pi}であることがわかります。
\begin{equation}\cos(x+2n\pi)=\cos x\end{equation}
より\cos xは周期関数であることがわかります。周期は2n\piです。
また、周期2n\piにおいて最小の正の数であるものはn=1のときの2\piです。
ゆえに、\cos xの基本周期は\mathbf{2\pi}であることがわかります。
\tan xの基本周期
\tan xが周期関数であるためには、
\tan(x+p)=\tan x
を満たすような実数pが存在する必要があるので、そのようなpが存在するのかを単位円から探してみます。
\tan
xは単位円において、xの角度をなす動径と(1,0)における単位円の接線x=1との交点のy座標を表します。
同じ位置に交点を持つような動径はなす角がx+\piである動径となります。これらの動径は常に原点に関して対称な位置関係にあります。
すなわち\tan x=\tan(x+\pi)が常に成り立つということです。
同じ位置に交点を持つような動径はなす角がx+\piである動径となります。これらの動径は常に原点に関して対称な位置関係にあります。
すなわち\tan x=\tan(x+\pi)が常に成り立つということです。
さらにx,x+\piそれぞれのときの動径が表す角は、2\piの整数倍だけ原点を中心に回転させたものも含まれるため
このことから
\begin{array}{cccl}x&\Rightarrow&x+2n\pi&(n:整数)\\[1em]x+\pi&\Rightarrow&x+(2m+1)\pi&(m:整数)\end{array}
となりますが、これらの角はすべてxに\piの整数倍を加えてつくることができる角であるので整数kをもちいてx+k\piと書くことができます。このことから
\tan x=\tan(x+k\pi)
が常に成り立ちます。
\tan(x+k\pi)は\tan(x+p)として適しています。
したがって、
また、周期k\piにおいて最小の正の数であるものはk=1のときの\piです。
ゆえに、\tan xの基本周期は\mathbf{\pi}であることがわかります。
したがって、
\begin{equation}\tan(x+k\pi)=\tan x\end{equation}
より\tan xは周期関数であることがわかります。周期はn\piです。また、周期k\piにおいて最小の正の数であるものはk=1のときの\piです。
ゆえに、\tan xの基本周期は\mathbf{\pi}であることがわかります。
基本の三角関数\sin x,\cos x,\tan
xが周期関数であること、そして基本周期を求めました。
次は\sin(ax+b),\cos(ax+b),\tan(ax+b)がそれぞれ周期関数であるか、周期関数であるなら基本周期はなにかを求めてみます。
次は\sin(ax+b),\cos(ax+b),\tan(ax+b)がそれぞれ周期関数であるか、周期関数であるなら基本周期はなにかを求めてみます。
\sin(ax+b)の基本周期
\sin
xの項で触れたようにf(x+p)がxをx+pに変換したものであるので、\sin(ax+b)が周期関数であるならば、\sin\big\{a(x+p)+b\bigr\}=\sin(ax+b)を満たすような実数pが存在するはずです。このようなpが存在するかを確かめます。
左辺を変形します。
\begin{align*}\sin\big\{a(x+p)+b\bigr\}&=\sin(ax+b)\\[0.5em]\sin(ax+b+ap)&=\sin(ax+b)\\[0.5em]\sin\bigl\{(ax+b)+ap\bigr\}&=\sin(ax+b)\end{align*}
ax+b=tとおくと
\sin(t+ap)=\sin t
となります。
(1)より\sin(t+2n\pi)=\sin t\
(n:整数)が成り立つので、2式を比較するとap=2n\piです。
pについて解くと
周期に着目するとxの係数aのみが周期に影響し、bは影響しないことがわかります。
pについて解くと
p=\frac{2n\pi}{a}
となり、\sin\big\{a(x+p)+b\bigr\}=\sin(ax+b)を満たすような実数pが存在するので\sin(ax+b)は周期関数であることがわかります。そして周期pにあたる部分は\dfrac{2n\pi}{a}なので、これが\sin(ax+b)の周期となります。周期に着目するとxの係数aのみが周期に影響し、bは影響しないことがわかります。
基本周期を求めます。
a<0のとき
a<0のとき周期は
基本周期は最小の正の数であるため、n=-1のときの\dfrac{2\pi}{|a|}であることがわかります。
\begin{align*}\frac{2n\pi}{a}&=\frac{2n\pi}{-|a|}\\[0.5em]&=-\frac{2n\pi}{|a|}\end{align*}
となります。基本周期は最小の正の数であるため、n=-1のときの\dfrac{2\pi}{|a|}であることがわかります。
a>0のとき
a>0のとき周期は
基本周期はn=1のときの\dfrac{2\pi}{|a|}であることがわかります。
\frac{2n\pi}{a}=\frac{2n\pi}{|a|}
と書けます。基本周期はn=1のときの\dfrac{2\pi}{|a|}であることがわかります。
以上より\sin(ax+b)の基本周期はaの正負によらず\mathbf{\dfrac{2\pi}{|a|}}であることがわかりました。
\cos(ax+b)の基本周期
\cos(ax+b)が周期関数であるならば、\cos\bigl\{a(x+p)+b\bigr\}=\cos(ax+b)を満たすような実数pが存在するはずです。このようなpが存在するかを確かめます。
左辺を変形します。
\begin{align*}\cos\big\{a(x+p)+b\bigr\}&=\cos(ax+b)\\[0.5em]\cos(ax+b+ap)&=\cos(ax+b)\\[0.5em]\cos\bigl\{(ax+b)+ap\bigr\}&=\cos(ax+b)\end{align*}
ax+b=tとおくと
\cos(t+ap)=\cos t
となります。
(2)より\cos(t+2n\pi)=\cos t\
(n:整数)が成り立つので、2式を比較するとap=2n\piです。
pについて解くと
pについて解くと
p=\frac{2n\pi}{a}
となり、\cos\big\{a(x+p)+b\bigr\}=\cos(ax+b)を満たすような実数pが存在するので\cos(ax+b)は周期関数であることがわかります。そして周期pにあたる部分は\dfrac{2n\pi}{a}なので、これが\cos(ax+b)の周期となります。
基本周期を求めます。
a<0のとき
a<0のとき周期は
基本周期は最小の正の数であるため、n=-1のときの\dfrac{2\pi}{|a|}であることがわかります。
\begin{align*}\frac{2n\pi}{a}&=\frac{2n\pi}{-|a|}\\[0.5em]&=-\frac{2n\pi}{|a|}\end{align*}
となります。基本周期は最小の正の数であるため、n=-1のときの\dfrac{2\pi}{|a|}であることがわかります。
a>0のとき
a>0のとき周期は
基本周期はn=1のときの\dfrac{2\pi}{|a|}であることがわかります。
\frac{2n\pi}{a}=\frac{2n\pi}{|a|}
と書けます。基本周期はn=1のときの\dfrac{2\pi}{|a|}であることがわかります。
以上より\cos(ax+b)の基本周期はaの正負によらず\mathbf{\dfrac{2\pi}{|a|}}であることがわかりました。
\tan(ax+b)の基本周期
\tan(ax+b)が周期関数であるならば、\tan\bigl\{a(x+p)+b\bigr\}=\tan(ax+b)を満たすような実数pが存在するはずです。このようなpが存在するかを確かめます。
左辺を変形します。
\begin{align*}\tan\big\{a(x+p)+b\bigr\}&=\tan(ax+b)\\[0.5em]\tan(ax+b+ap)&=\tan(ax+b)\\[0.5em]\tan\bigl\{(ax+b)+ap\bigr\}&=\tan(ax+b)\end{align*}
ax+b=tとおくと
\tan(t+ap)=\tan t
となります。
(3)より\tan(t+n\pi)=\tan t\
(n:整数)が成り立つので、2式を比較するとap=n\piです。
pについて解くと
pについて解くと
p=\frac{n\pi}{a}
となり、\tan\big\{a(x+p)+b\bigr\}=\tan(ax+b)を満たすような実数pが存在するので\tan(ax+b)は周期関数であることがわかります。そして周期pにあたる部分は\dfrac{n\pi}{a}なので、これが\tan(ax+b)の周期となります。
基本周期を求めます。
a<0のとき
a<0のとき周期は
基本周期は最小の正の数であるため、n=-1のときの\dfrac{\pi}{|a|}であることがわかります。
\begin{align*}\frac{n\pi}{a}&=\frac{n\pi}{-|a|}\\[0.5em]&=-\frac{n\pi}{|a|}\end{align*}
となります。基本周期は最小の正の数であるため、n=-1のときの\dfrac{\pi}{|a|}であることがわかります。
a>0のとき
a>0のとき周期は
基本周期はn=1のときの\dfrac{\pi}{|a|}であることがわかります。
\frac{n\pi}{a}=\frac{n\pi}{|a|}
と書けます。基本周期はn=1のときの\dfrac{\pi}{|a|}であることがわかります。
以上より\tan(ax+b)の基本周期はaの正負によらず\mathbf{\dfrac{\pi}{|a|}}であることがわかりました。
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