Processing math: 100%
横画面推奨!
モバイル機器の場合、数式が見切れる場合があります。

2023年6月6日

部分積分法

 部分積分法は積分方法の1つです。
\large\int f(x)g'(x)\ dx=f(x)g(x)-\int f'(x)g(x)\ dx
この公式は積の微分から導くことができます。

 微分可能な関数f(x),g(x)の積の微分は
\bigl\{f(x)g(x)\bigr\}'=f'(x)g(x)+f(x)g'(x)
となります。
両辺を積分します。積分は微分の逆の演算なので
\begin{align*}\int\bigl\{f(x)g(x)\bigr\}'\ dx&=\int\bigl\{f'(x)g(x)+f(x)g'(x)\bigr\}\ dx\\[0.5em]f(x)g(x)&=\int f'(x)g(x)\ dx+\int f(x)g'(x)\ dx\\[0.5em]&\therefore \int f(x)g'(x)\ dx=f(x)g(x)-\int f'(x)g(x)\ dx\end{align*}
となります。

 また、f(x),g(x)が2回以上微分可能であるとき、それぞれの第n次導関数をf^{(n)}(x),g^{(n)}(x)と書くことにすると
\begin{align*}\int f(x)g^{(n)}(x)\ dx&=f(x)g^{(n-1)}(x)-\int f^{(1)}(x)g^{(n-1)}(x)\ dx\\[0.5em]&=f(x)g^{(n-1)}(x)\\ &\quad-\left(f^{(1)}(x)g^{(n-2)}(x)-\int f^{(2)}(x)g^{(n-2)}(x)\right)\\[0.5em]&=f(x)g^{(n-1)}(x)\\ &\quad-f^{(1)}(x)g^{(n-2)}(x)+\int f^{(2)}(x)g^{(n-2)}(x)\\[0.5em]&=f(x)g^{(n-1)}(x)-f^{(1)}(x)g^{(n-2)}(x)\\ &\quad+f^{(2)}(x)g^{(n-3)}(x)-\cdots\end{align*}
のように展開することができます。
部分積分によって展開した式の第1項から順に見ていくとf(x)は第2項から1回ずつ微分されており、g(x)の第n次導関数は第1項から1回ずつ積分されています。また、加減が交互に入れ替わっています。

 以下に紹介する動画は、この展開式の特徴を利用して積分しています。
リンク:integration by parts is easy - YouTube

 x^2\cos xx^2\cos xという2つの関数の積です。
f(x)=f^{(0)}(x)=x^2,g^{(n)}(x)=\cos xとおいて部分積分するとき、以下のような表をつくることができます。
kは微分回数と積分回数に対応します。加減はk=0+として+-が交互に入れ替わります。
f^{(k)}(x),g^{(n-k)}(x)k=0の行にそれぞれf^{(0)}(x),g^{(n)}(x)を入れ、f^{(k)}(x)の列は微分、g^{(n-k)}(x)の列は積分したものを下の行へと書き込んでいきます。これをf^{(k)}(x)0になる行までおこないます。(なのでf(x)は微分していって0になることができる関数とします。)
そして同じ行の加減とf^{(k)}(x)、矢印の先のg^{(n-k)}(x)を組み合わせていきます。
 例えばk=0の行の+x^2、そして矢印の先の\sin xを組み合わせると+x^2\sin x
k=1の行の-2x、そして矢印の先の-\cos xを組み合わせると-2x(-\cos x)=2x\cos xとなります。この組み合わせ方はちょうど展開式の各項の構成に対応しています。
これら組み合わせたものをすべて足し合わせたものが積分の結果となります。
したがって、x^2\cos xを積分した結果は
\int x^2\cos x\ dx=x^2\sin x+2x\cos x-2\sin x+C\quad(C:積分定数)
となります。これが動画で行っている方法です。

 部分積分法で本当に上記の結果になるか確かめてみます。
\begin{align*}\int x^2\bigl(\sin x\bigr)'\ dx&=x^2\sin x-\int\bigl(x^2\bigr)'\sin x\ dx\\ &\qquad\Bigl(\because \bigl(\sin x\bigr)'=\cos x\Bigr)\\[0.5em]&=x^2\sin x-\int2x\sin x\ dx\\[0.5em]&=x^2\sin x-\int2x\bigl(-\cos x\bigr)\ dx\\ &\qquad\Bigl(\because\bigl(-\cos x\bigr)'=\sin x\Bigr)\\[0.5em]&=x^2\sin x-\left\{-2x\cos x-\int(2x)'(-\cos x)\ dx\right\}\\[0.5em]&=x^2\sin x+2x\cos x-\int2\cos x\ dx\\[0.5em]&=x^2\sin x+2x\cos x-2\sin x+C\\ &\qquad(C:積分定数)\end{align*}
したがって、同じ結果になることがわかります。

画像:StartupStockPhotosによるPixabayからの画像

Share:
share
◎Amazonのアソシエイトとして、当サイト「数学について考えてみる」は適格販売により収入を得ています。
Powered by Blogger.

PR

blogmura_pvcount
ブログランキング・にほんブログ村へ