「線分$AB$を引き、線分$AB$上の点$A,B$以外の任意の位置に点$O$をおく。$AO$を直径とする円$P$と$BO$を直径とする円$Q$を描く。
点$A$を通る円$Q$の接線と、点$B$を通る円$P$の接線を引き、それぞれの接点を$C,D$とする。
点$A$を通る円$Q$の接線と、点$B$を通る円$P$の接線を引き、それぞれの接点を$C,D$とする。
このとき、直線$AB$上に中心があり点$O$を通る円のうち、直線$AC$に接する円と直線$BD$に接する円の半径が等しいことを示せ。」
これを証明するには、三角形の相似を利用します。
直線$AB$上に中心があって点$O$を通る円のうち、直線$AC$に接する円を$R$、直線$BD$に接する円を$S$とします。円$P,Q,R,S$の中心もまた$P,Q,R,S$と呼ぶことにします。
そして、円$R$と直線$AC$との接点を$E$、円$S$と直線$BD$との接点を$F$、円$P,Q,R,S$の半径をそれぞれ$a,b,r_1,r_2$とします。
すると直角三角形$ACQ,AER$ができます。これらの直角三角形は$∠CAQ=∠EAR$なので、直角以外の1組の角が等しいので相似であることがわかります。
また、円の半径を利用してわかる辺の長さを書き出すと$AQ=2a+b,AR=2a-r_1,CQ=b,ER=r_1$となります。
ここで、相似比より$AQ:AR=CQ:ER$が成り立つので、それぞれの長さを代入して$r_1$について解くと(ただし、問題の条件より$a>0,b>0$)
\begin{align*}2a+b:2a-r_1&=b:r_1\\[0.5em](2a+b)r_1&=(2a-r_1)b\\[0.5em]\frac{2a+b}{b}r_1&=2a-r_1\\[0.5em]\frac{2a+b}{b}r_1+r_1&=2a\\[0.5em]\frac{2(a+b)}{b}r_1&=2a\\[0.5em]r_1&=\frac{ab}{a+b}\end{align*}
となるので、円$R$の半径は$\dfrac{ab}{a+b}$であるとわかります。
すると直角三角形$BDP,BFS$ができます。これらの直角三角形は$∠DBP=∠FBS$なので、直角以外の1組の角が等しいので相似であることがわかります。
また、円の半径を利用してわかる辺の長さを書き出すと$BP=a+2b,BS=2b-r_2,DP=a,FS=r_2$となります。
ここで、相似比より$BP:BS=DP:FS$が成り立つので、それぞれの長さを代入して$r_2$について解くと(前述の通り$a>0,b>0$)
\begin{align*}a+2b:2b-r_2&=a:r_2\\[0.5em](a+2b)r_2&=(2b-r_2)a\\[0.5em]\frac{a+2b}{a}r_2&=2b-r_2\\[0.5em]\frac{2(a+b)}{a}r_2&=2b\\[0.5em]r_2&=\frac{ab}{a+b}\end{align*}
となるので、円$S$の半径は$\dfrac{ab}{a+b}$であるとわかります。
以上より、円$R$と円$S$の半径が等しいことが示されました。
解答例
直線$AB$上に中心があり点$O$を通る円のうち、直線$AC$に接する円を$R$、直線$BD$に接する円$S$とする。また、円$R$と直線$AC$との接点を$E$、円$S$と直線$BD$との接点を$F$、円$P,Q,R,S$の半径をそれぞれ$a,b,r_1,r_2$とする。
$△ACQ$と$△AER$に着目すると、
$∠ACQ=∠AER=90°$、$∠CAQ=∠EAR$より2組の角がそれぞれ等しい(または、直角以外の1組の角が等しい)ので相似である。ゆえに$AQ:AR=CQ:ER$。
$AQ=2a+b,AR=2a-r_1,CQ=b,ER=r_1$より
$∠ACQ=∠AER=90°$、$∠CAQ=∠EAR$より2組の角がそれぞれ等しい(または、直角以外の1組の角が等しい)ので相似である。ゆえに$AQ:AR=CQ:ER$。
$AQ=2a+b,AR=2a-r_1,CQ=b,ER=r_1$より
\begin{align*}2a+b:2a-r_1&=b:r_1\\[0.5em]r_1&=\frac{ab}{a+b}
\tag1\end{align*}
$△BDP$と$△BFS$に着目すると、
$∠BDP=∠BFS=90°$、$∠DBP=∠FBS$より2組の角がそれぞれ等しい(または、直角以外の1組の角が等しい)ので相似である。ゆえに$BP:BS=DP:FS$。
$BP=a+2b,BS=2b-r_2,DP=a,FS=r_2$より
$∠BDP=∠BFS=90°$、$∠DBP=∠FBS$より2組の角がそれぞれ等しい(または、直角以外の1組の角が等しい)ので相似である。ゆえに$BP:BS=DP:FS$。
$BP=a+2b,BS=2b-r_2,DP=a,FS=r_2$より
\begin{align*}a+2b:2b-r_2&=a:r_2\\[0.5em]r_2&=\frac{ab}{a+b}
\tag2\end{align*}
$(1),(2)$より$r_1=r_2$。
したがって、円$R$と円$S$の半径は等しい。
Share: