なぜこのように表せるのでしょうか?
導出
原点を通る直線
まずは原点を通る直線について考えます。
原点を通る任意の直線上の原点以外の1点をとると、同じ直線上の任意の点の座標はその1点の座標の実数倍で表すことができます。
x軸そのもの
x軸上の点の座標はすべて$(x, 0)$と表すことができます。
x軸上の原点以外の点$(a,
0)$をとったとき、この座標の実数倍は実数$k$をもちいて
\[(ka, k0)=(ka, 0)\]
となります。これが表す点もまたx軸上の点です。
$ka$は実数$k$によって任意の実数をとりうるので、$(ka, 0)$はx軸上の任意の点の座標を表します。
y軸そのもの
y軸上の点の座標はすべて$(0, y)$と表すことができます。
y軸上の原点以外の点$(0, b)$をとったとき、この座標の実数倍は$(0,
kb)$となって、これはy軸上の任意の点の座標を表します。
x軸・y軸以外
x軸・y軸以外の原点を通る直線は、原点とx座標・y座標がともに$0$でない1点を必ず通ります。
点$A, P$からx軸へ垂線をおろし、その足をそれぞれ$B,
C$とすると、$∠OBA=90°$である直角三角形$OAB$と$∠OCP=90°$である直角三角形$OPC$ができます。
直角三角形$OAB$において、辺$AB,
OB$の長さはそれぞれ点$A$のy座標の絶対値$|b|$とx座標の絶対値$|a|$になります。
同様に、直角三角形$OPC$において、辺$OC$の長さは点$P$のx座標の絶対値$|p|$となり、辺$PC$の長さは点$P$のy座標の絶対値となります。
同様に、直角三角形$OPC$において、辺$OC$の長さは点$P$のx座標の絶対値$|p|$となり、辺$PC$の長さは点$P$のy座標の絶対値となります。
直角三角形$OAB$と$OPC$に着目すると
$OB:OC=|a|:|p|$と相似比より$AB:PC=|a|:|p|$です。
-
x軸へおろした垂線より$AB//PC$で、3点$O, A,
P$は同一直線上にあるから、
同位角(または錯角)より$∠OAB=∠OPC$ - 直角より$∠OBA=∠OCP=90°$
$OB:OC=|a|:|p|$と相似比より$AB:PC=|a|:|p|$です。
$AB:PC=|a|:|p|, AB=|b|$より
\begin{align*}|b| :PC&=|a|:|p|\\[0.5em]|a|
PC&=|p||b|=|pb|\\[0.5em]PC&=\frac{|pb|}{|a|}=\left|\frac{pb}{a}\right|\end{align*}
となります。
辺$PC$の長さは点$P$のy座標の絶対値であり、直線$OA$上の点のx座標とy座標の符号の関係に注意すれば点$P$の座標は$\left(p,
\dfrac{pb}{a}\right)$であることがわかります。
そして、点$P$の座標は$\left(\dfrac{p}{a}\cdot a, \dfrac{p}{a}\cdot b\right)$と書けることから、点$A(a, b)$の実数倍であることがわかります。
そして、点$P$の座標は$\left(\dfrac{p}{a}\cdot a, \dfrac{p}{a}\cdot b\right)$と書けることから、点$A(a, b)$の実数倍であることがわかります。
また、$p\neq 0, a$という条件を取り除くと、$p=0$のとき$(0,
0)$となって原点$O$、$p=a$のとき$(a, b)$となって点$A$と一致します。
したがって、$\left(\dfrac{p}{a}\cdot a, \dfrac{p}{a}\cdot
b\right)$は原点と点$(a, b)$を通る直線上の任意の点の座標を表します。
以上より、原点を通る直線上の原点以外の1点$(a,
b)$をとると、同じ直線上の任意の点の座標はその1点の座標の実数倍$(ka,
kb)$で表すことができます。
原点と点$(a, b)$を通る直線上の任意の点を$(x, y)$とすると、方程式
なぜなら、上記の直線上の点の座標の性質より$x=ka, y=kb$なので、
ただし、直線をただ1つに定めるには異なる2点が必要であるため、$(a, b)$が原点と一致しないように$a, b$は同時に$0$でないことが条件となります。
\[bx-ay=0\]
が成り立ちます。なぜなら、上記の直線上の点の座標の性質より$x=ka, y=kb$なので、
\begin{align*}b\cdot ka-a\cdot kb&=k ab -k
ab\\[0.5em]&=0\end{align*}
となるからです。ただし、直線をただ1つに定めるには異なる2点が必要であるため、$(a, b)$が原点と一致しないように$a, b$は同時に$0$でないことが条件となります。
したがって、$l=b, m=-a$とおけば、原点を通る直線は
ただし、$a, b$は同時に$0$でなかったので、$l, m$も同時に$0$でないことが条件となります。
\[\large lx +my=0\]
と表せることがわかります。ただし、$a, b$は同時に$0$でなかったので、$l, m$も同時に$0$でないことが条件となります。
任意の直線
座標平面上の任意の直線は、原点を通る直線を平行移動したものと考えることができます。
そこで、直線$lx +my=0$をx軸方向へ$p$、y軸方向へ$q$だけ平行移動すると、方程式上では$x$を$x-p$に、$y$を$y-q$に置き換えることに対応するので、
そこで、直線$lx +my=0$をx軸方向へ$p$、y軸方向へ$q$だけ平行移動すると、方程式上では$x$を$x-p$に、$y$を$y-q$に置き換えることに対応するので、
\begin{align*}l(x-p)+m(y-q)&=0\\[0.5em]lx +my+(-lp
-mq)&=0\end{align*}
となります。
したがって、$n=-lp -mq$とおけば、任意の直線は
ただし原点を通る直線と同様、$l, m$が同時に$0$でないことが条件となります。
\[\large lx +my +n=0\]
と表せることがわかります。ただし原点を通る直線と同様、$l, m$が同時に$0$でないことが条件となります。
ベクトルによる導出
上で行った方法は、ベクトルを利用するとより簡単に示せます。
直線が通る点の位置ベクトルと直線の伸びる方向を示すベクトル(方向ベクトル)によって直線はただ1つに決まります。
直線が通る点の位置ベクトルを$(p, q)$、方向ベクトルを$(a,
b)$とすると、直線上の任意の点の位置ベクトル$(x, y)$は
\[(x, y)=(p, q)+k(a, b)\quad(k:任意の実数)\]
となります。ただし、方向ベクトルは零ベクトルでない任意のベクトルであるため、$a,
b$は同時に$0$にはなりません。
右辺を整理すると
\begin{align*}(p ,q)+k(a, b)&=(p, q)+(ka, kb)\\[0.5em]&=(ka +p,
kb +q)\end{align*}
となるので、
\begin{cases}x=ka +p&\cdots(1)\\[0.5em]y=kb
+q&\cdots(2)\end{cases}
が成り立ちます。
$(1)$の両辺に$b$を掛けて変形すると
\[kab=bx-pb\]
$(2)$の両辺に$a$を掛けて変形すると
\[kab=ay-aq\]
となるので、
\begin{align*}bx-pb&=ay-aq\\[0.5em]bx-ay +aq-pb&=0\end{align*}
となり、$l=b, m=-a, n=aq-pb$とおけば、任意の直線は
\[\large lx +my +n=0\]
と表せることがわかります。
方程式から確認
座標平面上の直線は、y軸に平行な直線$x=p$、x軸に平行な直線$y=q$、x軸にもy軸にも平行でない直線$y=ax+b$(1次関数のグラフ)の3種類に分類されます。
そこで、方程式
そこで、方程式
\[lx +my +n=0\quad(ただし、l, mは同時に0でない)\tag{*}\]
がこれら3種類すべての直線を表せることを確かめます。
y軸に平行な直線
$l\neq0$かつ$m=0$のとき、$(*)$は
\begin{align*}lx
+n&=0\\[0.5em]lx&=-n\\[0.5em]x&=-\frac{n}{l}\end{align*}
となります。
$-\dfrac{n}{l}$は任意の実数をとりうるので、$x=-\dfrac{n}{l}$は任意のy軸に平行な直線を表します。
x軸に平行な直線
$l=0$かつ$m\neq0$のとき、$(*)$は
\begin{align*}my
+n&=0\\[0.5em]my&=-n\\[0.5em]y&=-\frac{n}{m}\end{align*}
となります。
$-\dfrac{n}{m}$は任意の実数をとりうるので、$y=-\dfrac{n}{m}$は任意のx軸に平行な直線を表します。
x軸にもy軸にも平行でない直線
$l\neq0$かつ$m\neq0$のとき、$(*)$は
\begin{align*}lx +my
+n&=0\\[0.5em]my&=-lx-n\\[0.5em]y&=-\frac{l}{m}x-\frac{n}{m}\end{align*}
となります。
$-\dfrac{l}{m}, -\dfrac{n}{m}$はそれぞれが任意の実数をとりうるので、$y=-\dfrac{l}{m}x-\dfrac{n}{m}$は任意の1次関数のグラフである直線を表します。
以上より、方程式
\[lx +my +n=0\quad(ただし、l, mは同時に0でない)\]
は座標平面上の3種類すべての直線を表せることがわかります。
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