$x^2$の係数が$1$の2次式、つまり$x^2+px+q$の因数分解をするにはどうすればよいのでしょうか?
$x^2+px+q$を因数分解するには、展開公式
\[(x+\alpha)(x+\beta)=x^2+(\alpha+\beta)x+\alpha\beta\]
を使って考えます。
$x^2+px+q=x^2+(\alpha+\beta)x+\alpha\beta$とすると各項の係数は
\begin{cases}p=\alpha+\beta\\[0.5em]q=\alpha\beta\end{cases}
という関係があることがわかり、
\[x^2+px+q=(x+\alpha)(x+\beta)\]
となるから、因数分解すると$x+α$のような1次式が2つ因数として出てくることがわかります。
また上の係数の関係式より、足して$x$の係数$p$になり、掛けて$q$になるような数が1次式の定数項$α,β$になることがわかります。このことが因数分解するときのヒントとなります。
例として$x^2-2x-35$の因数分解を考えます。
因数分解したときの式が$(x+\alpha)(x+\beta)$であるとすると、
\[x^2-2x-35=(x+\alpha)(x+\beta)\]
が成り立ちます。
また、
\[(x+\alpha)(x+\beta)=x^2+(\alpha+\beta)x+\alpha\beta\]
であるから、係数を比較して
\[(x+\alpha)(x+\beta)=x^2+(\alpha+\beta)x+\alpha\beta\]
であるから、係数を比較して
\begin{cases}-2=\alpha+\beta&\cdots(1)\\[0.5em]-35=\alpha\beta&\cdots(2)\end{cases}
となります。
$(1)$について考えると足して$-2$になるような数の組み合わせは無数にあります。この時点では手のつけようがないので、まずは$(2)$の方から考えていきましょう。
$(2)$の掛けて$-35$になる数の組み合わせは限られています。それは$-35$の約数だけだからです。
$-35$の約数は
$-35$の約数は
\[-35,-7,-5,-1,1,5,7,35\]
の8つです。この中で掛けて$-35$になる組み合わせを$(α,β)$という形で書くと
\begin{array}{l}(-35,1),&(1,-35),\\[0.5em](-7,5),&(5,-7),\\[0.5em](-5,7),&(7,-5),\\[0.5em](-1,35),&(35,-1)\end{array}
の8種類になります。
ここで、約数以外にも$\left(\dfrac{35}{2},-2\right)$といった分数を含むような組み合わせもあるのでは?と思うかもしれません。
しかし、その場合は$(1)$が成り立たなくなるので約数に限定されます。
上の8種類の候補のうち$(1)$を成り立たせることができるのは、$(-7,5),(5,-7)$の2種類だけです。
したがって、
\[x^2-2x-35=(x+5)(x-7)\]
となることがわかります。
したがって、
\begin{align*}(\alpha,\beta)=(-7,5)のとき\\ x^2-2x-35&=(x-7)(x+5)\\[1em](\alpha,\beta)=(5,-7)のとき\\ x^2-2x-35&=(x+5)(x-7)\end{align*}
交換法則より$(x-7)(x+5)=(x+5)(x-7)$が成り立つので、どちらも同じであるから因数分解すると\[x^2-2x-35=(x+5)(x-7)\]
となることがわかります。
交換法則より$α,β$を入れ替えただけの候補は同じ結果になるので、そういった候補を省いて半分に絞り込むことができます。
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