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2025年5月23日

x^2の係数が1のxの2次式の因数分解

 x2x2の係数が11xxの2次式
x2+px+q(p,q:)x2+px+q(p,q:)
はどのようにしてxxの1次式同士の掛け算の形まで因数分解すればよいのでしょうか?

q=0q=0のとき

 q=0q=0のとき、xxの2次式はx2+pxx2+pxとなります。
x2=xxx2=xx、すなわちx2x2xxを2つ掛け合わせたものなので、この2次式はすべての項が因数としてxxをもちます。
したがって、xxを括りだすことができ、
x2+px=x(x+p)x2+px=x(x+p)
と因数分解できます。

p=0p=0のとき

 p=0p=0のとき、xxの2次式はx2+qx2+qとなります。
この2次式は因数分解公式
x2a2=(x+a)(xa)(a:)x2a2=(x+a)(xa)(a:)
を利用して因数分解しますが、因数分解後の式はqqの値によって異なる形となります。

qqが負の数のとき

 qqが負の数のとき、q=qq=qq:q:正の数)とおくことができ、
x2+q=x2qx2+q=x2q
と書くことができます。
ここで、qqの正の平方根qqをもちいてq=(q)2q=(q)2と表せるので
x2q=x2(q)2x2q=x2(q)2
となり、先ほどの因数分解公式より
x2(q)2=(x+q)(xq)x2(q)2=(x+q)(xq)
となる、すなわち
x2+q=(x+q)(xq)(q=q)x2+q=(x+q)(xq)(q=q)
と因数分解することができます。

qqが正の数のとき

 qqが正の数のときは、2次式を
x2+q=x2(q)x2+q=x2(q)
と変形します。qqは負の数であり、これの平方根は実数にはないため、実数係数の範囲では因数分解できません。
qqの平方根のうち++の符号のものは虚数qiqiとなります。
すると、
x2(q)=x2(qi)2=(x+qi)(xqi)x2(q)=x2(qi)2=(x+qi)(xqi)
すなわち、
x2+q=(x+qi)(xqi)x2+q=(x+qi)(xqi)
となり、複素数係数の範囲での因数分解となります。

p0p0かつq0q0のとき

 p,qp,qがともに00でないときは、まず因数分解公式
x2+2ax+a2=(x+a)2x22ax+a2=(xa)2x2+(α+β)x+αβ=(x+α)(x+β)(a,α,β:)x2+2ax+a2=(x+a)2x22ax+a2=(xa)2x2+(α+β)x+αβ=(x+α)(x+β)(a,α,β:)
で因数分解できるかを考えます。
 3つの因数分解公式のうちの2つ
x2+2ax+a2=(x+a)2x22ax+a2=(xa)2x2+2ax+a2=(x+a)2x22ax+a2=(xa)2
が利用できるかどうかは簡単に判別できます。
xxの2次式のxxの項の係数を22で割り、22乗して定数項と等しくなれば上の因数分解公式を利用できます。
 残る1つの因数分解公式
x2+(α+β)x+αβ=(x+α)(x+β)x2+(α+β)x+αβ=(x+α)(x+β)
を利用するには、x2+px+q=x2+(α+β)x+αβとして、係数と定数項に着目します。
すると、
{p=α+βq=αβ
という関係があることがわかるので、この連立方程式からα,βを求め、因数分解後の式を導き出します。
この方法は主に整数係数の範囲で因数分解するときに利用され、連立方程式はqの因数分解によって解きます。
例えば、
x22x35
という2次式を整数係数の範囲で因数分解する場合を考えます。整数係数の範囲なので、α,βは整数に限定されます。
因数分解公式より
x22x35=(x+α)(x+β)
というように因数分解しようとしているので、
x22x35=(α+β)x+αβ
より
{2=α+β35=αβ
という連立方程式が成り立ちます。すなわち、因数分解後の因数となるそれぞれの1次式の定数項α,βは足すと2、掛けると35となるような整数であるということです。
ここで、連立されている2つの方程式の右辺はともに交換法則が成り立ち、αの値とβの値を入れ替えても成り立ちます。(このような右辺の整式のことを対称式といいます。)
これは、この連立方程式の解は1つではなく、αの値とβの値を入れ替えたもう1つの解があるということなので、解をただ1つにするために、今回はα>βという条件を付け加えて求めます。
足して2となるような整数の組は無数にあるので、まずは掛けて35となるような整数の組を考えます。このとき、解(α,β)の候補として書き出すので、左の整数のほうが大きくなるようにします。
35となるような整数の組は
(35,1),(7,5),(5,7),(1,35)
の4組があります。
これらの組の中で、和が2となるのは(5,7)のみです。
したがって、(α,β)=(5,7)が連立方程式の解であるとわかり、
x22x35=(x+5){x+(7)}x22x35=(x+5)(x7)
と因数分解できることがわかります。

このように、整数係数の範囲であれば掛けてqになる数の組が限定されるので、α,βが求めやすくなっています。

この方法でα,βが求められない、すなわち因数分解できない2次式の場合は次の方法を利用して因数分解します。


 上記の方法で因数分解できなかった場合は、平方完成と因数分解公式
x2a2=(x+a)(xa)
を利用して因数分解します。

まずは2次式x2+px+qを平方完成します。平方完成とは、2次式を(x+a)2と定数項の和に変形することです。

x2+pxの部分に着目すると、(x+a)2=x2+2ax+a2よりa=p2のとき、すなわち(x+p2)2の展開式x2+px+p24の一部であることがわかるので、
x2+px+q=(x2+px)+q={(x2+px+p24)p24}+q={(x+p2)2p24}+q=(x+p2)2p24+q=(x+p2)2p24q4
と変形することができます。
x+p2=Xとおくと
(x+p2)2p24q4=X2p24q4
となり、p=0のときと似たXの2次式になるので、同様の場合分けをして因数分解公式
x2a2=(x+a)(xa)
を利用して因数分解します。

p24q4が正の数のとき

 p24q4が正の数のとき、これの正の平方根はp24q4=p24q2なので、
X2p24q4=X2(p24q2)2
と書くことができます。
すると、先ほどの因数分解公式より
X2(p24q2)2=(X+p24q2)(Xp24q2)
となり、Xを戻すと
(X+p24q2)(Xp24q2)={(x+p2)+p24q2}{(x+p2)p24q2}=(x+p2+p24q2)(x+p2p24q2)=(x+p+p24q2)(x+pp24q2)
となります。
したがって、
x2+px+q=(x+p+p24q2)(x+pp24q2)
と因数分解できます。

p24q4が負の数のとき

 p24q4が負の数のとき、これの平方根のうち+の符号のものはp24q2iなので、
X2p24q4=X2(p24q2i)2
と書くことができます。
すると、先ほどの因数分解公式より
X2(p24q2i)2=(X+p24q2i)(Xp24q2i)
となり、Xを戻すと
(X+p24q2i)(Xp24q2i)={(x+p2)+p24q2i}{(x+p2)p24q2i}=(x+p2+p24q2i)(x+p2p24q2i)
となります。
したがって、
x2+px+q=(x+p+p24q2i)(x+pp24q2i)
と因数分解できます。

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