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2022年10月2日

x^2の係数が1の2次式の因数分解はどうやる?

 $x^2$の係数が$1$の2次式、つまり$x^2+px+q$の因数分解をするにはどうすればよいのでしょうか?

 $x^2+px+q$を因数分解するには、展開公式
\[(x+\alpha)(x+\beta)=x^2+(\alpha+\beta)x+\alpha\beta\]
を使って考えます。

$x^2+px+q=x^2+(\alpha+\beta)x+\alpha\beta$とすると各項の係数は
\[\left\{\begin{aligned}p&=\alpha+\beta\\ \\ q&=\alpha\beta\end{aligned}\right.\]
という関係があることがわかり、
\[x^2+px+q=(x+\alpha)(x+\beta)\]
となるから、因数分解すると$x+\alpha$のような1次式が2つ因数として出てくることがわかります。
また上の係数の関係式より、足して$x$の係数$p$になり、掛けて$q$になるような数が1次式の定数項$\alpha,\beta$になることがわかります。このことが因数分解するときのヒントとなります。

 例として$x^2-2x-35$の因数分解を考えます。
因数分解したときの式が$(x+\alpha)(x+\beta)$であるとすると、
\[x^2-2x-35=(x+\alpha)(x+\beta)\]
が成り立ちます。
また、
\[(x+\alpha)(x+\beta)=x^2+(\alpha+\beta)x+\alpha\beta\]
であるから、係数を比較して
\[\left\{\begin{aligned}-2&=\alpha+\beta&\cdots(1)\\ \\ -35&=\alpha\beta&\cdots(2)\end{aligned}\right.\]
となります。

(1)について考えると足して$-2$になるような数の組み合わせは無数にあります。この時点では手のつけようがないので、まずは(2)の方から考えていきましょう。

 (2)の掛けて$-35$になる数の組み合わせは限られています。それは$-35$の約数だけだからです。
$-35$の約数は
\[-35,-7,-5,-1,1,5,7,35\]
の8つです。この中で掛けて$-35$になる組み合わせを$(\alpha,\beta)$という形で書くと
\begin{align*}&(-35,1)&&(1,-35)\\ \\ &(-7,5)&&(5,-7)\\ \\ &(-5,7)&&(7,-5)\\ \\ &(-1,35)&&(35,-1)\end{align*}
の8種類になります。

ここで、約数以外にも$\left(\dfrac{35}{2},-2\right)$といった分数を含むような組み合わせもあるのでは?と思うかもしれません。
しかし、その場合は(1)が成り立たなくなるので約数に限定されるのです。

上の8種類の候補のうち(1)を成り立たせることができるのは、$(-7,5),(5,-7)$の2種類だけです。
したがって、
\begin{align*}(\alpha,\beta)=(-7,5)のとき\\ x^2-2x-35&=(x-7)(x+5)\\ \\ (\alpha,\beta)=(5,-7)のとき\\ x^2-2x-35&=(x+5)(x-7)\end{align*}
交換法則より$(x-7)(x+5)=(x+5)(x-7)$が成り立つので、どちらも同じであるから因数分解すると
\[x^2-2x-35=(x+5)(x-7)\]
となることがわかります。

交換法則より$\alpha,\beta$を入れ替えただけの候補は同じ結果になるので、そういった候補を省いて半分に絞り込むことができます。


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