円に内接・外接する正八角形の周の長さを求める方法と面積を求める方法、2つのアプローチで円周率の値の範囲を調べてみようと思います。
円に内接する正八角形
周の長さ
正八角形の辺の一部である二等辺三角形の底辺の長さl1l1は余弦定理によって求められます。
底辺以外の辺の長さは11、その間の角は45°45°なのでl1l1は
l1=√12+12−2×1×1×cos45°=√2−√2
正八角形の周の長さL1はl1の8倍なので
L1=8l1=8√2−√2≒6.12
となります。
円周と内接する正六角形の周の長さを比較すると円周のほうが長いので
2π>8√2−√2∴π>4√2−√2≒3.06
となります。すなわち、円周率πは4√2−√2(およそ3.06)より大きいことがわかります。
面積
二等辺三角形の面積s1は、等しい辺の長さが1、その間の角が45°であることから以下のように求められます。
s1=12×1×1×sin45°=√24
円に内接する正八角形の面積S1はs1の8倍なので
S1=8s1=2√2≒2.83
となります。
円と内接する正六角形の面積を比較すると円の面積のほうが大きいので
π>2√2≒2.83
となります。すなわち、円周率πは2√2(およそ2.83)より大きいことがわかります。
円に外接する正八角形
周の長さ
二等辺三角形の頂角から底辺に引いた垂線によってできる直角三角形は垂線の長さが1、垂線と斜辺からなる角が頂角の45°の半分の22.5°となります。したがって、底辺の長さl2は三角比よりtan22.5°を使って求められます。
l2=2×1×tan22.5°=2tan22.5°
したがって、円に外接する正八角形の周の長さL2は
L2=8l2=16tan22.5°
となります。
ところで、tan22.5°は半角の公式より以下のように求められます。
tanα2=sinα1+cosα∴tan22.5°=sin45°1+cos45°=1√21+1√2=1√2+1=√2−1
すると、L2は上記をもちいて
L2=16(√2−1)=16√2−16
と書けます。
円周と外接する正八角形の周の長さを比較すると円周のほうが短いので
2π<16√2−16∴π<8√2−8≒3.31
となります。すなわち、円周率πは8√2−8(およそ3.31)より小さいことがわかります。
面積
さきほど二等辺三角形の高さが1、底辺の長さl2が2tan22.5°とわかったので、二等辺三角形の面積s2を求めることができます。
s2=12×l2×1=tan22.5°
したがって、円に外接する正八角形の面積S2はs2の8倍なので
S2=8s2=8tan22.5°=8√2−8≒3.31
となります。
円と外接する正八角形の面積を比較すると円の面積のほうが小さいので
π<8√2−8≒3.31
となります。すなわち、円周率πは8√2−8(およそ3.31)より小さいことがわかります。
円周率πがとりうる値の範囲
ここまででわかったことをまとめると
となります。
周の長さより、円周率πは4√2−√2より大きく、8√2−8より小さい
(4√2−√2<π<8√2−8)
面積より、円周率πは2√2より大きく、8√2−8より小さい
(2√2<π<8√2−8)
この2つの範囲をもちいて円周率πがとりうる値の範囲を絞り込むには、2つの値の範囲の重なる部分を探します。これは赤く示した範囲である4√2−√2<π<8√2−8となります。
以上より円に内接・外接する正八角形の周の長さの関係と面積の関係より円周率πがとりうる値の範囲は4√2−√2<π<8√2−8、すなわちおよそ3.06より大きくおよそ3.31より小さいことがわかります。
「円に内接・外接する正六角形の周長と面積から円周率との関係を考える」よりわかった円周率πがとりうる値の範囲3<π<2√3(3より大きくおよそ3.46より小さい)よりも狭い範囲に絞り込むことができました。より頂点の多い多角形を使えば周の長さと面積が円周と円の面積により近づくので、円周率のとりうる値の範囲をより精密に絞り込むことができます。
(2024/4)内容を修正しました。
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