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2021年7月25日

パスカルの三角形って本当に成立する?

二項定理
 パスカルの三角形とは二項定理の公式のC(組み合わせ)で表される二項係数を三角形状に並べたもので以下のようになります。

パスカルの三角形
図1 パスカルの三角形

 図1の左がパスカルの三角形です。aあるいはbの次数順に並べた時、対応した段の数字の順番で各項の係数が並びます。
それは図1右のようにn=1を最上段として下へn=2,n=3,のときの係数を並べているからです。


 そして、ある項の係数はパスカルの三角形の右上と左上の数の和になるという性質があります。

3段目左から2番目の「3」は左上の「1」と右上の「2」の和になりますし、
5段目右から3番目の「10」は左上の「6」と右上の「4」の和になります。

たとえ何乗のどの項の係数でも、組み合わせの計算を知らなくても、パスカルの三角形を下へ下へと計算しながら書いていけば求めることができます。

では、本当に何乗の二項の展開式でもこの三角形から係数を求められるのでしょうか?

 パスカルの三角形のn1乗の段とn乗の段について考えます。

パスカルの三角形の和の一般式
図2 nn1の段から係数の関係式を組み立てる

n乗の段のk番目はn1乗の段の左上と右上つまりk1番目とk番目の和になります。図2の矢印の先の式です。
このとき、n自然数、k1knを満たす自然数 です。
また、 
nCk=n!k!(nk)! 
と表すことができるので、図1の下の式に変換して、これが成り立つことを確かめます。
(右辺)=(n1)!{k!(nk1)!+(k1)!(nk)!}k!(k1)!(nk)!(nk1)!(a)=n(k1)!(n1)!(nk1)!k!(k1)!(nk)!(nk1)!(b)=n(n1)!k!(nk)!=n!k!(nk)!(c)
右辺の分数式を計算すると、(a)のように(n1)!をくくりだすことができ{}部分ができます。
(1)n!=n×(n1)××2×1=n×(n1)!
{}部分を計算するには、(1)のようにn!n×(n1)!に変形できることを利用して、以下のように計算します。
k!(nk1)!+(k1)!(nk)!=(k1)!(nk1)!{k+(nk)}=n(k1)!(nk1)!(b)の分子へ
後は(b)を約分し、再び(1)を利用することで(c)となり、左辺と等しくなる、すなわち図2の式が確かに成立することを導くことができました。

 このことから、パスカルの三角形の和の性質は成り立つため、たとえ何乗の二項係数でもパスカルの三角形から求めることは可能であることがわかりました。
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