平方根の計算方法を習うと出てくる式の1つに以下のものがあります。着目してほしいのは赤字の部分。aとbはともに正の数でないと成立しないという条件がついています。それでは、aかbが負の数である場合を考えたときはどうなるのでしょうか?
その前に虚数の定義について。虚数とは負の数の平方根のことです。代表的なものは-1の平方根iです。
\begin{align*}\sqrt{-1}&=i\\ i× i&=-1\end{align*}
\begin{align*}\sqrt{-3}&=\sqrt{3×(-1)}\\ &=\sqrt{3}×\sqrt{-1}=\sqrt{3}i\end{align*}
虚数が含まれる計算は例えば上のように行います。これを踏まえて次に進みます。
まず一番上の平方根の計算法則のaとbにそれぞれ-2と3が与えられた場合、下のようになります。$a=-2, b=3$のとき
\begin{equation}\begin{aligned}\frac{\sqrt{-2}}{\sqrt{3}}=\frac{\sqrt{2}i}{\sqrt{3}}&=\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{3}}i\\ &=\sqrt{\frac{2}{3}}i\end{aligned}\end{equation}
(1)ではiを分数から切り分けることで、平方根の計算法則に近い計算を行うことができます。次にaとbの正負を逆にして、$a=2, b=-3$のとき
\begin{equation}\begin{aligned}\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{-3}}&=\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{3}i}& &=\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{3}i}×\frac{i}{i}\\ &=\frac{\sqrt{2}i}{-\sqrt{3}}& &=-\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{3}}i\\ & & &=-\sqrt{\frac{2}{3}}i\end{aligned}\end{equation}
(2)では分母にiが出てきますが、そのままでは分数とiを切り分けることができないので、$\dfrac{i}{i}(=1)$をかけます。すると分母がマイナスに、分子にiが移るので平方根の計算法則を行うことができます。分母と分子のどちらに虚数があるかで計算結果の正負が変わってしまいました。ここで、虚数では正負が逆転するのに分母か分子のどちらかにマイナスがあっても結果が変わらないのはなぜだっけ?と思うかもしれません。
\begin{equation*}\begin{aligned}\frac{2}{-3}=\frac{2}{-3}×\frac{-1}{-1}&=\frac{-2}{3}\\ &=-\frac{2}{3}\end{aligned}\end{equation*}
それは上で$\dfrac{i}{i}(=1)$をかけたように、$\dfrac{-1}{-1}(=1)$をかけることによってマイナスを分子へと移しているからです。
出典:Plumbago雑記(一部改変)
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