$px^2+qx+r$を因数分解するには、展開公式
\[(ax+b)(cx+d)=acx^2+(ad+bc)x+bd\]
を使って考えます。
$px^2+qx+r=acx^2+(ad+bc)x+bd$とすると各項の係数は
\[\left\{\begin{aligned}p&=ac\\
\\ q&=ad+bc\\ \\ r&=bd\end{aligned}\right.\]
という関係があることがわかります。
このとき
\[px^2+qx+r=(ax+b)(cx+d)\]
というように因数分解されるので、$a,b,c,d$を上の係数の関係を手がかりにして求めます。
まずは各項に共通因数がないかを調べます。
それぞれの項の係数と定数項は3の倍数であるため$3$をくくり出すことができます。
\[6x^2-9x-15=3(2x^2-3x-5)\]
こうすることで係数や定数が小さくなるので因数分解しやすくなります。また、このときに$x^2$の係数が正の数になるようにしておくとより因数分解しやすくなります。
と因数分解できるとすると
\[(ax+b)(cx+d)=acx^2+(ad+bc)x+bd\]
であるから、各項の係数は
(1)より、掛けて$2$になる組み合わせ$(a,c)$を$2$の約数から探すと
\begin{align*}&(-2,-1)&&(1,2)\\
\\ &(-1,-2)&&(2,1)\end{align*}
ですが、$x^2$の係数候補は組み合わせに正の数を含むものだけで良いので、右半分に絞り込まれます。さらに$a$と$c$を入れ替えただけの組み合わせも外すことができるので候補は$(1,2)$だけになります。(理由は後述します。)
(3)より、掛けて$-5$になる組み合わせ$(b,d)$を$-5$の約数から探すと
\begin{align*}&(-5,1)&&(1,-5)\\
\\ &(-1,5)&&(5,-1)\end{align*}
の4つになります。こちらは絞り込まずそのままです。(こちらも理由は後述します。)
候補から$(a,c)=(1,2),\ (b,d)=(-5,1)$を選んだ場合は、
(2)の式が成り立つ組み合わせを探すと
Q. 掛けて$x^2$の係数になる数の組み合わせはなぜ正の数を含むものだけでよいのはなぜ?
因数分解後の1次式の$x$の係数を正の数で揃えるためです。$x$の係数が負の数のとき、1次式全体に$-1$が掛けられていると考えるので$-1$をくくり出してしまいます。なので、$-1$をくくり出す回数を減らせば因数分解を簡単にすることができます。
例:
このように因数分解の手順が増える場合があります。
Q. 入れ替えただけの組み合わせを$x^2$の方は消して、定数項の方は消さないのはなぜ?
なるべく少ない候補の数で$a,b,c,d$の組み合わせを網羅できるようにするためです。$(x+1)(2x-5)$と$(2x-5)(x+1)$のように$a$と$c$、$b$と$d$を同時に入れ替えたものは同じ結果になるので、$(a,b,c,d)=(c,d,a,b)$となるような組み合わせを外すことができれば最小の組み合わせ数で済み、因数分解が簡単になります。その方法が、入れ替えただけの$x^2$の係数の候補を外すことなのです。
また、$x^2$の係数は正の数を含むものに限定されるので、こちらをさらに絞り込めば、(2)を満たす$(b,d)$の組み合わせ探しだけに集中しやすくなります。