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2022年1月2日

多項式同士の積 式の展開

 多項式同士の積はどのように展開するのでしょうか?
まずは二項式同士の積$(a+b)(c+d)$について考えます。


 多項式同士の積は分配法則
\begin{align*}x(y\pm z)&=xy\pm xz\tag1\\[1em](x\pm y)z&=xz\pm yz\tag2\end{align*}
を利用することで展開することができます。
$(a+b)(c+d)$の場合、二項式$a+b$はそれ全体で和という1つの数を表しているので、1つの文字$P$によってこの和を表す、すなわち$a+b=P$とおくことができます。($a-b$もそれ全体で差という1つの数を表しているので、同様に1つの文字でおくことができます。)
すると、$(a+b)(c+d)=P(c+d)$となって分配法則$(1)$を利用することができるようになります。
\[P(c+d)=Pc+Pd\]
$P$を$a+b$に戻すと
\[Pc+Pd=(a+b)c+(a+b)d\]
となり、今度は分配法則$(2)$を利用できます。
\[(a+b)c+(a+b)d=ac+bc+ad+bd\]
したがって、二項式同士の積$(a+b)(c+d)$は$a+b=P$とおくことで
\[(a+b)(c+d)=ac+bc+ad+bd\]
と展開することができます。
$c+d=Q$とおいた場合は以下のようになります。
\begin{align*}(a+b)(c+d)&=(a+b)Q\\[0.5em]&=aQ+bQ\\[0.5em]&=a(c+d)+b(c+d)\\[0.5em]&=ac+ad+bc+bd\end{align*}
展開後の式は交換法則によって$ac+bc+ad+bd$と書け、$a+b=P$とおいた場合と同じ結果を得ることがわかります。
以上より、二項式同士の積$(a+b)(c+d)$は
\[(a+b)(c+d)=ac+ad+bc+bd\]
と展開できることがわかります。
式の展開の組み合わせ
展開後の各項の文字の組み合わせを矢印で表したものが上図左、樹形図で表したものが上図右となります。

 二項式以外の多項式同士の積や3つ以上の多項式の積でも同様の方法で展開します。

三項式同士の積$(a+b+c)(d+e+f)$の場合

$a+b+c=P$とおいて展開
\begin{align*}(a+b+c)(d+e+f)&=P(d+e+f)\\[0.5em]&=Pd+Pe+Pf\\[0.5em]&=(a+b+c)d+(a+b+c)e+(a+b+c)f\\[0.5em]&=ad+bd+cd+ae+be+ce+af+bf+cf\\[0.5em]&=ad+ae+af+bd+be+bf+cd+ce+cf\end{align*}
三項式同士の積の文字の組み合わせ(樹形図)
文字の組み合わせを樹形図で表すと上図のようになります。(矢印で表そうとすると見づらくなるので省きます。)

3つの二項式の積$(a+b)(c+d)(e+f)$の場合

$a+b=P,c+d=Q$とおいて展開
\begin{align*}(a+b)(c+d)(e+f)&=PQ(e+f)\\[0.5em]&=Pbigl\{Q(e+f)\bigr\}\\[0.5em]P(Qe+Qf)\\[0.5em]&=P\bigl\{(c+d)e+(c+d)f\bigr\}\\[0.5em]&=P(ce+de+cf+df)\\[0.5em]Pce+Pde+Pcf+Pdf\\[0.5em]&=(a+b)ce+(a+b)de+(a+b)cf+(a+b)df\\[0.5em]&=ace+bce+ade+bde+acf+bcf+ade+adf\\[0.5em]&=ace+acf+ade+adf+bce+bcf+bde+bdf\end{align*}
3つの二項式の積の文字の組み合わせ(樹形図)
文字の組み合わせを樹形図で表すと上図のようになります。

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