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2021年11月25日

-1、i、-iの立方根は?

 $-1$と$i$と$-i$、これらの立方根は何になるでしょうか?それらがどんな数であるのかを調べてみます。

$-1$の立方根

 $-1^3=-1$となることを考えると$-1$の立方根の1つは$-1$であることがわかります。

また、オイラーの公式
\[e^{i\theta}=\cos\theta+i\sin\theta\]
を考えると
図1 複素平面上での$-1$

$-1$は複素平面上で図1のようになり動径のなす角は$\theta=\pi$であるため
\[-1=-1+0i=\cos\pi+i\sin\pi=e^{i\pi}\]
と表されます。

したがって、
\begin{align*}(-1)^\frac{1}{3}&=(e^{i\pi})^\frac{1}{3}\\ \\ &=e^{i\frac{\pi}{3}}\\ \\ &=\cos\frac{\pi}{3}+i\sin\frac{\pi}{3}\\ \\ &=\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i\end{align*}
となり、$-1$の立方根の2つ目は$\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i$であることがわかりました。


 あれ?$-1$はどこにいったの?となるかもしれません。
もう一度図1を見てみると、$-1$の点には原点を中心に青い円周上を1周($2\pi$)回転させても同じ位置に戻ってくるため、動径のなす角は$\theta=\pi+2n\pi=(2n+1)\pi$(n:整数)で表せることがわかります。

これを踏まえて$-1$の立方根について考えると
\[-1=e^{i(2n+1)\pi}\]
なので
\begin{align*}(-1)^\frac{1}{3}&=e^{i\frac{2n+1}{3}\pi}\\ \\ n=0&\\ e^{i\frac{\pi}{3}}&=\underline{\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i}\\ \\ n=1&\\ e^{i\frac{3}{3}\pi}&=e^{i\pi}=\underline{-1}\\ \\ n=2&\\ e^{\frac{5}{3}\pi}&=\cos\frac{5}{3}\pi+i\sin\frac{5}{3}\pi\\ &=\underline{\frac{1}{2}-\frac{\sqrt{3}}{2}i}\\ \\ n=3&\\ e^{i\frac{7}{3}\pi}&=e^{i\left(\frac{\pi}{3}+2\pi\right)}=e^{i\frac{\pi}{3}}\\ \vdots\end{align*}
となり、$n=1$のとき$-1$の立方根として$-1$があることがわかります。また、$n=2$のとき3つ目の$-1$の立方根が$\dfrac{1}{2}-\dfrac{\sqrt{3}}{2}i$であることがわかります。
$n=3$以降は$n=0,1,2$のときのいずれかになるので、$-1$を含む3つの$-1$の立方根を求めることができました。


$i$の立方根

 $(-i)^3=i$となることを考えると$i$の立方根の1つは$-i$であることがわかります。

他の$i$の立方根は$-1$のときと同様にオイラーの公式を利用して求めます。
図2 複素平面上での$i$

$i$は複素平面上では図2のようになるので
\[i=e^{i\left(\frac{\pi}{2}+2n\pi\right)}=e^{i\frac{1+4n}{2}\pi}\qquad\left(n:整数\right)\]
となります。

また、
\begin{align*}i^\frac{1}{3}=\left(e^{i\frac{1+4n}{2}\pi}\right)^\frac{1}{3}\\ \\ =e^{i\frac{\left(1+4n\right)\pi}{6}}\end{align*}
なので
\begin{align*}n=0&\\ e^{i\frac{\pi}{6}}&=\cos\frac{\pi}{6}+i\sin\frac{\pi}{6}\\ &=\underline{\frac{\sqrt{3}}{2}+\frac{1}{2}i}\\ \\ n=1&\\ e^{i\frac{5}{6}\pi}&=\cos\frac{5}{6}\pi+i\sin\frac{5}{6}\pi\\ &=\underline{-\frac{\sqrt{3}}{2}+\frac{1}{2}i}\\ \\ n=2&\\ e^{i\frac{9}{6}i}&=e^{i\frac{3}{2}i}\\ &=\cos\frac{3}{2}\pi+i\sin\frac{3}{2}\\ &=\underline{-i}\\ \\ n=3&\\ e^{i\frac{13}{6}\pi}&=e^{i\left(\frac{\pi}{6}+2\pi\right)}\\ &=e^{i\frac{\pi}{6}}\\ \vdots\end{align*}
となり、3つの$i$の立方根を求めることができました。

$-i$の立方根

 $i^3=-i$となることを考えると$-i$の立方根の1つは$i$であることがわかります。

複素平面からオイラーの公式に当てはめても良いですが、ちょっと変化球で
\[-i=-1\cdot i\]
となることと、$-1$と$i$のオイラーの公式での表現を利用してみます。
\begin{align*}-1\cdot i&=e^{i\pi}\cdot e^{i\frac{\pi}{2}}\\ \\ &=e^{i\left(\pi+\frac{\pi}{2}\right)}\\ \\ &=e^{i\frac{3}{2}\pi}\end{align*}
さらに角度の範囲を拡張すれば$e^{i\left(\frac{3}{2}\pi+2n\pi\right)}=e^{i\frac{3+4n}{2}\pi}$(n:整数)となります。

したがって、
\begin{align*}\left(-i\right)^\frac{1}{3}&=\left(e^{i\frac{3+4n}{2}\pi}\right)^\frac{1}{3}\\ \\ &=e^{i\frac{3+4n}{6}\pi}\end{align*}
となるから
\begin{align*}n=0&\\ e^{i\frac{3}{6}\pi}&=e^{i\frac{\pi}{2}}\\ &=\cos\frac{\pi}{2}+i\sin\frac{\pi}{2}\\ &=\underline{i}\\ \\ n=1&\\ e^{i\frac{7}{6}\pi}&=\cos\frac{7}{6}\pi+i\sin\frac{7}{6}\pi\\ &=\underline{-\frac{\sqrt{3}}{2}-\frac{1}{2}i}\\ \\ n=2&\\ e^{i\frac{11}{6}\pi}&=\cos\frac{11}{6}\pi+i\sin\frac{11}{6}\pi\\ &=\underline{\frac{\sqrt{3}}{2}-\frac{1}{2}i}\\ \\ n=3&\\ \\ e^{i\frac{15}{6}\pi}&=e^{i\frac{5}{2}\pi}\\ &=e^{i\left(\frac{\pi}{2}+2\pi\right)}\\ &=e^{i\frac{\pi}{2}}\\ \vdots\end{align*}
となり、3つの$-i$の立方根を求めることができました。
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