$-1$の立方根
$-1^3=-1$となることを考えると$-1$の立方根の1つは$-1$であることがわかります。
を考えると
$-1$は複素平面上で図1のようになり動径のなす角は$\theta=\pi$であるため
\[-1=-1+0i=\cos\pi+i\sin\pi=e^{i\pi}\]
と表されます。
したがって、
\begin{align*}(-1)^\frac{1}{3}&=(e^{i\pi})^\frac{1}{3}\\ \\ &=e^{i\frac{\pi}{3}}\\ \\ &=\cos\frac{\pi}{3}+i\sin\frac{\pi}{3}\\ \\ &=\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i\end{align*}
となり、$-1$の立方根の2つ目は$\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i$であることがわかりました。
あれ?$-1$はどこにいったの?となるかもしれません。
もう一度図1を見てみると、$-1$の点には原点を中心に青い円周上を1周($2\pi$)回転させても同じ位置に戻ってくるため、動径のなす角は$\theta=\pi+2n\pi=(2n+1)\pi$(n:整数)で表せることがわかります。
これを踏まえて$-1$の立方根について考えると
\[-1=e^{i(2n+1)\pi}\]
なので
\begin{align*}(-1)^\frac{1}{3}&=e^{i\frac{2n+1}{3}\pi}\\ \\ n=0&\\ e^{i\frac{\pi}{3}}&=\underline{\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i}\\ \\ n=1&\\ e^{i\frac{3}{3}\pi}&=e^{i\pi}=\underline{-1}\\ \\ n=2&\\ e^{\frac{5}{3}\pi}&=\cos\frac{5}{3}\pi+i\sin\frac{5}{3}\pi\\ &=\underline{\frac{1}{2}-\frac{\sqrt{3}}{2}i}\\ \\ n=3&\\ e^{i\frac{7}{3}\pi}&=e^{i\left(\frac{\pi}{3}+2\pi\right)}=e^{i\frac{\pi}{3}}\\ \vdots\end{align*}
となり、$n=1$のとき$-1$の立方根として$-1$があることがわかります。また、$n=2$のとき3つ目の$-1$の立方根が$\dfrac{1}{2}-\dfrac{\sqrt{3}}{2}i$であることがわかります。
$n=3$以降は$n=0,1,2$のときのいずれかになるので、$-1$を含む3つの$-1$の立方根を求めることができました。
$i$の立方根
$(-i)^3=i$となることを考えると$i$の立方根の1つは$-i$であることがわかります。
図2 複素平面上での$i$ |
$i$は複素平面上では図2のようになるので
\[i=e^{i\left(\frac{\pi}{2}+2n\pi\right)}=e^{i\frac{1+4n}{2}\pi}\qquad\left(n:整数\right)\]
となります。
$-i$の立方根
$i^3=-i$となることを考えると$-i$の立方根の1つは$i$であることがわかります。
複素平面からオイラーの公式に当てはめても良いですが、ちょっと変化球で
\[-i=-1\cdot i\]
となることと、$-1$と$i$のオイラーの公式での表現を利用してみます。
\begin{align*}-1\cdot i&=e^{i\pi}\cdot e^{i\frac{\pi}{2}}\\ \\ &=e^{i\left(\pi+\frac{\pi}{2}\right)}\\ \\ &=e^{i\frac{3}{2}\pi}\end{align*}
さらに角度の範囲を拡張すれば$e^{i\left(\frac{3}{2}\pi+2n\pi\right)}=e^{i\frac{3+4n}{2}\pi}$(n:整数)となります。