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2021年11月26日

モンティ・ホール問題の全事象の確率を調べてみる

 モンティ・ホール問題とは以下のようなものです。
3つのドアがあり、そのうちの1つのドアは当たり、残り2つのドアは外れとなっている。あなたはこの中から1つドアを選び、ドアを開けることで当たりを引いたかハズレを引いたが確定する。
あなたがドアを選ぶと、司会者は選ばなかったドアの中から外れのものを1つ開け、残る1つのドアに変更するかを質問する。
ドアを変更するかを決定したらあなたが選んだドアが確定し、そのドアを開ける。
このとき、ドアを変更する場合と変更しない場合ではどちらが当たりを引く確率が大きいか?
この問題の解答は
ドアを変更する場合の当たりを引く確率は変更しない場合の当たりを引く確率の2倍であり、ドアを変更したほうが当たりを引く確率が大きい。
となります。
この解答になることを起こり得る事象すべての確率を調べることで確かめてみます。

準備

 まず、この問題の条件を以下のように定めます。
  • どのドアが当たりであるかはランダム。
  • あなたのドアの選び方はランダム。
  • 司会者は必ず外れのドアを開ける。外れが2つあるときのドアの選び方はランダム。
  • あなたがドアを変更する機会は必ず1度だけある。
この条件のもと、各事象の確率を考えます。

当たりのドア

 当たりのドアについて考えます。
3つのドアをそれぞれA, B, CA, B, Cとします。どのドアが当たりであるかはランダムなので、各ドアが当たりである確率は1313です。
モンティ・ホール問題 当たりのドアによる分岐
これを上図のように表します。四角形全体が全事象を表し、右へ行くほど起こり得る各事象へ分岐していきます。全事象に対する各事象の四角形の縦の長さの比が確率となります。
したがって、各ドアが当たりである確率は1313であることから各事象の縦の長さは全事象の縦の長さの1313となります。

選ぶドア

 次に最初に選ぶドアについて考えます。
ドアの選び方はランダムなので、各ドアを選ぶ確率は1313です。
モンティ・ホール問題 選んだドアによる分岐
これはどのドアが当たりとなるかが決まってからの試行なので、上図のように各ドアが当たりである事象から縦の長さが3等分になるように分岐します。

司会者が開けるドア

 司会者が開ける外れのドアについて考えます。
AAのドアが当たりである場合を考えます。
AAのドアを選んだ場合、残るB, CB, Cのドアはどちらも外れです。
すると、司会者がどちらのドアを選ぶかはランダムなので、残りの各ドアを開ける確率は1212です。
BBのドアを選んだ場合、残りのドアの内CCのドアだけが外れです。
すると、司会者が開けるドアは必ずCCのドアとなる、すなわちAAのドアを開ける確率は00CCのドアを開ける確率は11となります。
同様にCCのドアを選んだ場合、残りのドアの内BBのドアだけが外れなので、司会者が開けるドアは必ずBBのドアとなります。
モンティ・ホール問題 司会者が開けるドアによる分岐(Aのドアが当たりの場合のみ)
したがって、AAのドアが当たりである場合の司会者が開けるドアの分岐は上図のようになります。
AAのドアが当たりでAAを選んだ事象は縦の長さが2等分になるように分岐し、B, CB, Cを選んだ事象はどちらも分岐しません。
モンティ・ホール問題 司会者が開けるドアによる分岐
B, CB, Cのドアが当たりである場合もそれぞれAAのドアが当たりである場合と同様で上図のようになります。
また、各事象の確率は図右側に書き込んだ通りとなります。
例えば、AAのドアが当たりでAAのドアを選び、司会者がBBのドアを開ける確率は図では118118となっています。
これはAAのドアが当たりである確率が1313AAのドアを選ぶ確率が1313、司会者がBBのドアを開ける確率が1212であることから
13×13×12=11813×13×12=118
と求まります。

当たる確率の比較

 これで準備が整ったので、この図をもとにドアを変更した場合と変更しない場合で当たりを引く確率がどうなるのかを比較します。

ドアを変更した場合

モンティ・ホール問題 ドアを変更する場合
 ドアを変更する場合、上図のようになります。変更先のドアはどの場合も1つしかないので、司会者がドアを開けたところから分岐しません。
当たりのドアと変更先のドアが一致している事象が当たりを引いた事象で、これらの確率の総和が当たりを引く確率なので、図より
19+19+19+19+19+19=69=2319+19+19+19+19+19=69=23
と求められます。
したがって、ドアを変更して当たりを引く確率は2323です。
図をよく見てみると、ドアを変更して当たりを引くのはすべて最初に選んだドアが外れのときだけであることがわかります。すなわち、ドアを変更して当たりを引く確率は、最初に外れのドアを選択する確率に等しいということです。
このことから、以下のようにも計算できます。
モンティ・ホール問題 外れのドアを選ぶ確率
ドアを選ぶまでの各事象の確率は上図右のようになります。
選んだドアが外れである確率は、当たりのドアと選んだドアが異なる事象の確率の総和なので
19+19+19+19+19+19=69=2319+19+19+19+19+19=69=23
と求められます。そして、上述よりこれはドアを変更して当たりを引く確率でもあります。

ドアを変更しない場合

モンティ・ホール問題 ドアを変更しない場合
 ドアを変更しない場合、上図のようになります。選んだドアは1つしかないので、こちらも司会者がドアを開けたところから分岐しません。
当たりのドアと選んだドアが一致している事象が当たりを引いた事象で、これらの確率の総和が当たりを引く確率なので、図より
118+118+118+118+118+118=618=13118+118+118+118+118+118=618=13
と求められます。
したがって、ドアを変更しないで当たりを引く確率は1313です。
ドアを変更しないで当たりを引くのはすべて最初に選んだドアが当たりであるときだけであることがわかります。すなわち、ドアを変更しないで当たりを引く確率は、最初に当たりのドアを選択する確率に等しいということです。
このことから、以下のようにも計算できます。
モンティ・ホール問題 当たりのドアを選ぶ確率
ドアを選ぶまでの各事象の確率は上図右のようになります。
選んだドアが当たりである確率は、当たりのドアと選んだドアが一致する事象の確率の総和なので
19+19+19=39=1319+19+19=39=13
と求められます。そして、上述よりこれはドアを変更しないで当たりを引く確率でもあります。

 以上より、ドアを変更して当たりを引く確率のほうがドアを変更しないで当たりを引く確率の2倍なので、ドアを変更したほうが当たりを引きやすい 、というモンティ・ホール問題の解答が得られることが確かめられます。

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