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2025年12月26日

三角形の合同・合同条件

 三角形の合同条件とは、
  • 3組の辺がそれぞれ等しい
  • 2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい
  • 1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい
です。
なぜこのような条件となっているのでしょうか?

 三角形の合同とは、2つの三角形の形と大きさが同じでちょうど重ね合わせることができる関係のことをいいます。
平行移動と回転移動と対称移動(鏡映)
重ね合わせるときに行える操作は、
  • 平行移動:形や大きさ、向きを変えずに移動させる
  • 回転移動:形や大きさを変えずに向きを変える
  • 対称移動(鏡映):形や大きさを変えずに裏返す
です。
合同な三角形は対応する3辺と3つの内角の6つの要素がそれぞれ等しい
三角形の形と大きさが同じというのは、対応する3つの辺の長さと3つの内角の大きさという計6つの要素がそれぞれ等しいことを指し、この条件を守れば合同な三角形をつくることができるということでもあります。
しかし、実は合同な三角形をつくるにはより簡単な条件でよく、その条件が三角形の合同条件となります。
そこで、三角形の合同条件で必ず合同な三角形をつくることができることを確かめてみます。

2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい

AB=A'B', BC=B'C', ∠ABC=∠A'B'C'である△ABCと折れ線A'B'C'
 三角形$△\text{ABC}$を元にして$\text{AB}=\text{A'B'}, \text{BC}=\text{B'C'},$ $∠\text{ABC}=∠\text{A'B'C'}$となるように線分$\text{A'B'}, \text{B'C'}$を引き、折れ線$\text{A'B'C'}$をつくります。
AB=A'B', BC=B'C', ∠ABC=∠A'B'C'である折れ線A'B'C'は△ABCと重なる
すると、上記の平行移動、回転移動、対称移動(鏡映)をもちいて線分$\text{A'B'}$と辺$\text{AB}$、線分$\text{B'C'}$と辺$\text{BC}$がちょうど重なるように折れ線$\text{A'B'C'}$は$△\text{ABC}$と重ねることができます。
ここで、頂点$\text{A}$と$\text{C}$を結ぶことができる線分は辺$\text{AC}$だけなので、頂点$\text{A}, \text{C}$とそれぞれ重なっている点$\text{A'}, \text{C'}$を結んだ線分$\text{A'C'}$は辺$\text{AC}$とちょうど重なります。

このことから、線分$\text{A'C'}$を引いてできる$△\text{A'B'C'}$は$△\text{ABC}$とちょうど重なるため、$△\text{A'B'C'}$は$△\text{ABC}$と合同であることがわかります。

2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいを満たさない場合
 もし、線分$\text{A'B'}$の長さ、線分$\text{B'C'}$の長さ、$∠\text{A'B'C'}$の大きさのいずれか1つでも$△\text{ABC}$の対応する部分と異なっていれば、$△\text{A'B'C'}$は$△\text{ABC}$とちょうど重ねることはできません。

したがって、これら3つの要素がそれぞれ等しいことを表す「2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい」は合同な三角形をつくることができる最低限の要素を備えた条件であることがわかります。


1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい

AB=A'B', ∠BAC=∠B'A'P, ∠ABC=∠A'B'Qである△ABCと自己交叉する折れ線PA'B'Q
 $△\text{ABC}$を元にして$\text{AB}=\text{A'B'}$となるように線分$\text{A'B'}$を引き、直線$\text{A'B'}$に関して同じ側に$∠\text{BAC}=∠\text{B'A'P}, ∠\text{ABC}=∠\text{A'B'Q}$となるように2点$\text{P}, \text{Q}$をとって直線$\text{A'P}, \text{B'Q}$を引きます。
すると、上記の平行移動、回転移動、対称移動(鏡映)をもちいて直線$\text{A'P}$と辺$\text{AC}$、直線$\text{B'Q}$と辺$\text{BC}$が重なるように線分$\text{A'B'}$と辺$\text{AB}$をちょうど重ねることができます。
AB=A'B', ∠BAC=∠B'A'P, ∠ABC=∠A'B'Qとすると直線A'P, 直線B'Qの交点C'は頂点Cと重なる
ここで、頂点$\text{C}$は直線$\text{AC}$と直線$\text{BC}$の唯一の交点なので、直線$\text{AC}$と直線$\text{BC}$とそれぞれ重なっている直線$\text{A'P},\text{B'Q}$の交点$\text{C'}$は頂点$\text{C}$とちょうど重なります。

このことから、線分$\text{A'B'}$と直線$\text{A'P}, \text{B'Q}$によってできる$△\text{A'B'C'}$は$△\text{ABC}$とちょうど重なるため、$△\text{A'B'C'}$は$△\text{ABC}$と合同であることがわかります。

1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいを満たさない場合
 もし、線分$\text{A'B'}$の長さ、$∠\text{B'A'P}$の大きさ、$∠\text{A'B'Q}$の大きさのいずれか1つでも$△\text{ABC}$の対応する部分と異なっていれば、$△\text{A'B'C'}$は$△\text{ABC}$とちょうど重ねることはできません。

したがって、これら3つの要素がそれぞれ等しいことを表す「1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい」は合同な三角形をつくることができる最低限の要素を備えた条件であることがわかります。

2組の角とその間にない1組の辺がそれぞれ等しい
 ちなみに、類似したものとして「2組の角とその間にない1組の辺がそれぞれ等しい」も合同条件とされることがあります。
なぜなら、三角形には内角の和が$180°$という性質があるため、2組の内角がそれぞれ等しいのならば、残る1組の内角も等しいことがわかるからです。

したがって、結局は「1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい」が成り立っていることになるので、「2組の角とその間にない1組の辺がそれぞれ等しい」を満たしている三角形も合同な三角形となります。

3組の辺がそれぞれ等しい

AB=A'B'となる△ABCと線分A'B'を重ねる
 $△\text{ABC}$を元にして$\text{AB}=\text{A'B'}$となるように線分$\text{A'B'}$を引きます。
この線分$\text{A'B'}$は、上記の平行移動、回転移動、対称移動(鏡映)をもちいて辺$\text{AB}$とちょうど重ねることができます。
AB=A'B', BC=B'C', CA=C'A'となるように点C'を定めると頂点Cと重なる
ここで、点$\text{A'}$を中心とする半径が辺$\text{AC}$の長さに等しい円(以下、円$\text{A'}$)、点$\text{B'}$を中心とする半径が辺$\text{BC}$の長さに等しい円(以下、円$\text{B'}$)を描きます。
すると、円$\text{A'}$と$\text{B'}$は頂点$\text{C}$を通ります。すなわち、円$\text{A'}$と$\text{B'}$の交点の1つは頂点$\text{C}$とちょうど重なります。

この交点を$\text{C'}$とすれば、線分$\text{A'B'}$の両端と結んでできる$△\text{A'B'C'}$は$△\text{ABC}$とちょうど重なるため、$△\text{A'B'C'}$は$△\text{ABC}$と合同であることがわかります。

△A'B'C’と△A'B'Dは直線ABに関して対称
しかし、円$\text{A'}$と$\text{B'}$の交点はもう1つあります。
この交点を$\text{D}$とすると$△\text{A'B'D}$ができますが、実はこの三角形は$△\text{A'B'C'}$を直線$\text{A'B'}$に関して対称移動(鏡映)したものであり、$△\text{ABC}$と合同です。
3組の辺がそれぞれ等しいを満たさない場合
 もし、線分$\text{A'B'}$の長さ、線分$\text{B'C'}$の長さ、線分$\text{A'C'}$の長さのいずれか1つでも$△\text{ABC}$の対応する部分と異なっていれば、$△\text{A'B'C'}$は$△\text{ABC}$とちょうど重ねることはできません。

したがって、これら3つの要素がそれぞれ等しいことを表す「3組の辺がそれぞれ等しい」は合同な三角形をつくることができる最低限の要素を備えた条件であることがわかります。


 以上より、三角形の合同条件である3つの条件は元となる三角形と合同な三角形をつくることができる最低限の要素を備えていることがわかります。
合同条件以外の3要素の組み合わせ
また、三角形の要素を2個以下、あるいは合同条件と異なる3要素の組み合わせで合同な三角形をつくることはできないので、三角形の合同条件は「3組の辺がそれぞれ等しい」、「2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい」、「1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい」の3つだけであることがわかります。

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