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令和7年度共通テスト 数学Ⅰ・A 第1問 〔1〕 (2)だけ解説してみる


 この問題においての方程式①とは、$b=2$のとき、すなわち①に$b=2$を代入した
\[(2a+6)x^2+(5a+11)x-10=0\]
のこととなります。

$\text{(i)}$

\[2(a+3)x^2+(5a+11)x+(-2)\cdot5=0\]
 ①の左辺を上のように変形します。
(2a+6)x^2+(5a+11)x-10の因数分解
すると、上図のようにたすき掛けをすることで$x$の項の係数$5a+11$がつくれるので、
\[\large(2x+5)\bigl\{(a+3)x-2\bigr\}=0\tag{A}\]
と左辺を因数分解できることがわかります。

$\text{(ii)}$

 $\text{(A)}$に$a=2\sqrt{2}$を代入すると
\[(2x+5)\bigl\{(2\sqrt{2}+3)x-2\bigr\}=0\]
となるので、この方程式を満たす条件は$2x+5=0,(2\sqrt{2}+3)x-2=0$です。
それぞれの場合で方程式を満たす$x$を求めます。

$2x+5=0$のとき

\begin{align*}2x&=-5\\[0.5em]x&=-\frac{5}{2}\end{align*}

$(2\sqrt{2}+3)x-2=0$のとき

\begin{align*}(2\sqrt{2}+3)x&=2\\[0.5em]x&=\frac{2}{2\sqrt{2}+3}\\[0.5em]&=\frac{2}{3+2\sqrt{2}}\\[0.5em]&=\frac{2}{3+2\sqrt{2}}\cdot\frac{3-2\sqrt{2}}{3-2\sqrt{2}}\\[0.5em]&=\frac{2(3-2\sqrt{2})}{9-8}\\[0.5em]&=6-4\sqrt{2}\end{align*}
以上より、$a=2\sqrt{2}$のときの①の解は
\[\large x=-\frac{5}{2},6-4\sqrt{2}\]
であることがわかります。

$\text{(iii)}$

 2つの命題

「$a=-3$であるならば①の解は$x=-\dfrac{5}{2}$だけである」

「①の解が$x=-\dfrac{5}{2}$だけであるならば$a=-3$である」
について調べます。
 前者の命題について、$\text{(A)}$に$a=-3$を代入すると1次方程式$2x-5=0$となり、解として$x=-\dfrac{5}{2}$のみが得られるので真であることがわかります。
したがって、「$a=-3$である」ことは「①の解が$x=-\dfrac{5}{2}$だけである」ための十分条件です。
 後者の命題について、①の$x$の最高次数が$2$であることより「①の解が$x=-\dfrac{5}{2}$だけである」場合には2通りが考えられます。

場合1:①が$x$の1次方程式となり、その解が$x=-\dfrac{5}{2}$である

場合2:①が$x$の2次方程式となり、その解が重解$x=-\dfrac{5}{2}$である

どちらの場合においても満たす条件として$a=-3$が得られたとき、命題が真であるとわかります。
それぞれの場合について$\text{(A)}$を利用して調べます。

場合1

 $\text{(A)}$に着目すると、因数$(a+3)x-2$が$x$を含まない定数となれば$x$の1次方程式となります。
また、その解はもう1つの因数$2x+5$より解$x=-\dfrac{5}{2}$が導かれることが$\text{(ii)}$よりわかります。

因数$(a+3)x-2$が定数となるには$x$の係数が$0$となればよいので、$a+3=0$より$a=-3$です。
したがって、場合1を満たす条件は$a=-3$です。

場合2

 $\text{(A)}$に着目すると、2次方程式として重解$x=-\dfrac{5}{2}$をもつためには$(a+3)x-2=0$より$x=-\dfrac{5}{2}$が得られれば良いことがわかります。
$(a+3)x-2=0$に$x=-\dfrac{5}{2}$を代入すると
\begin{align*}(a+3)\cdot\left(-\frac{5}{2}\right)-2&=0\\[0.5em]-\frac{5}{2}a-\frac{15}{2}-2&=0\\[0.5em]-\frac{5}{2}a&=\frac{19}{2}\\[0.5em]a&=-\frac{19}{5}\end{align*}
したがって、場合2を満たす条件は$a=-\dfrac{19}{5}$です。
以上より、場合1と場合2をともに満たす条件は$a=-3$ではないので、後者の命題は偽であることがわかります。
したがって、「$a=-3$である」ことは「①の解が$x=-\dfrac{5}{2}$だけである」ための必要条件ではありません。

2つの命題を調べた結果、「$a=-3$である」ことは「①の解が$x=-\dfrac{5}{2}$だけである」ための十分条件であるが、必要条件ではないことがわかります。

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