横画面推奨!
モバイル機器の場合、数式が見切れる場合があります。

2026年10月16日

単位ベクトルとは?

 単位ベクトルとは、大きさが$1$のベクトルのことです。
零ベクトルでない任意の幾何ベクトル$\vec{a}$と同じ向きをもつ単位ベクトル$\vec{e}$は
\begin{equation}\vec{e}=\frac{\vec{a}}{|\vec{a}|}\end{equation}
により定められます。

 $(1)$の右辺は、
\[\frac{\vec{a}}{|\vec{a}|}=\frac{1}{|\vec{a}|}\vec{a}\]
ということであり、$\vec{a}$に実数$\dfrac{1}{|\vec{a}|}$を掛けるという幾何ベクトルの実数倍です。
$|\vec{a}|$は$\vec{a}$の大きさを表す実数で、$\vec{a}≠\vec{0}$より$|\vec{a}|>0$です。
そして、正の実数の逆数も正の実数なので、$\dfrac{1}{|\vec{a}|}$もまた正の実数です。
幾何ベクトルの実数倍より、$\dfrac{\vec{a}}{|\vec{a}|}$の大きさは、$\vec{a}$の大きさの$\dfrac{1}{|\vec{a}|}$倍、すなわち$1$になります。
実際に計算すると以下のようになります。
\begin{align*}\left|\frac{\vec{a}}{|\vec{a}|}\right|&=\left|\frac{1}{|\vec{a}|}\vec{a}\right|\\[0.5em]&=\left|\frac{1}{|\vec{a}|}\right||\vec{a}|&(\because |k\vec{a}|=|k||\vec{a}|)\\[0.5em]&=\frac{1}{|\vec{a}|}\cdot|\vec{a}|&\left(\because\frac{1}{|\vec{a}|}>0\right)\\[0.5em]&=1\end{align*}
また、$\dfrac{1}{|\vec{a}|}>0$より、正の実数倍によって幾何ベクトルの向きは変わらないので$\vec{a}$と$\vec{e}$は同じ向きをもちます。

したがって、$\vec{a}$と同じ向きをもつ単位ベクトル$\vec{e}$が$(1)$によって定められることがわかります。


 $(1)$の両辺に$|\vec{a}|$を掛けると
\begin{equation}\vec{a}=|\vec{a}|\vec{e}\end{equation}
を得ます。
ところで、幾何ベクトルは向きと大きさをもつ量のことです。
そして、上述したように$|\vec{a}|$は$\vec{a}$の大きさを表し、$\vec{e}$は$\vec{a}$と同じ向きをもつ単位ベクトルです。
このことから、$(2)$は幾何ベクトルの実数倍という形で$\vec{a}$が向きと大きさをもつ量であることを表していると考えることができます。
幾何ベクトルの構成要素のうち、大きさに相当するのが実数$|\vec{a}|$で、向きに相当するのが単位ベクトル$\vec{e}$です。

 なお、$\vec{a}$を零ベクトルでないとしたのは、零ベクトルの大きさは$0$であるため$(1)$の右辺の分母が$0$になり、零ベクトルに対する単位ベクトルが$(1)$では定められないからです。

Share:
◎Amazonのアソシエイトとして、当サイト「数学について考えてみる」は適格販売により収入を得ています。