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2024年5月29日

体積を2等分できる円錐の底面に平行な面はどこにある?

 円錐を底面と平行な面で2つの立体に切り分けてそれぞれの立体の体積が等しくなるとき、円錐とその面の位置関係はどのようになっているでしょうか?


円錐を底面と平行な面で切断し2つに分割する
 円錐を底面と平行な面で2つの立体に切り分けると、うち1つは元の円錐と相似な円錐となります。切り分ける前の円錐を$A$、切り分けた後の円錐部分を$B$、残る立体部分を$C$とします。
ここで、相似な2つの空間図形の相似比が$m:n$のとき体積比は$m^3:n^3$となります。
これを利用して円錐$A$と円錐$B$の相似比を求めます。
円錐$A$と円錐$B$の体積比は$2:1$なので、相似比を$m:n$($m,n:$正の実数)とおくと
\begin{align*}m^3:n^3&=2:1\\[0.5em]m^3&=2n^3\\[0.5em]m^3-2n^3&=0\\[0.5em]m^3-\bigl(\sqrt[3]{2}\bigr)^3n^3&=0\\[0.5em]\bigl(m-\sqrt[3]{2}n\bigr)\Bigl\{m^2+\sqrt[3]{2}mn+\bigl(\sqrt[3]{2}\bigr)^2n^2\Bigr\}&=0\\[0.5em]\bigl(m-\sqrt[3]{2}n\bigr)\bigl(m^2+\sqrt[3]{2}mn+\sqrt[3]{4}n^2\bigr)&=0\end{align*}
この方程式を満たす条件は$m-\sqrt[3]{2}n=0$または$m^2+\sqrt[3]{2}mn+\sqrt[3]{4}n^2=0$であることがわかるので、それぞれの場合を満たす$m,n$の関係を調べます。

$m-\sqrt[3]{2}n=0$のとき

\begin{align*}m&=\sqrt[3]{2}n\\[0.5em]\frac{m}{n}&=\sqrt[3]{2}\\[0.5em]&=\frac{\sqrt[3]{2}}{1}\\[0.5em]\therefore m:n&=\sqrt[3]{2}:1\end{align*}

$m^2+\sqrt[3]{2}mn+\sqrt[3]{4}n^2=0$のとき

$m$に着目して判別式より
\begin{align*}D&=\bigl(\sqrt[3]{2}n\bigr)^2-4\cdot\sqrt[3]{4}n^2\\[0.5em]&=-3\sqrt[3]{4}n^2\end{align*}
$n$は正の実数より$n^2>0$なので$D<0$となります。
したがって、$n$が正の実数であるとき$m^2+\sqrt[3]{2}mn+\sqrt[3]{4}n^2=0$の実数解$m$は存在しない、すなわち$m^2+\sqrt[3]{2}mn+\sqrt[3]{4}n^2=0$を満たすような正の実数解$m,n$の組は存在しません。

以上より体積比が$2:1$である円錐$A$と円錐$B$の相似比は$\sqrt[3]{2}:1$であることがわかります。

 相似な図形の対応する部分の長さの関係は相似比となるので、円錐$A$の底面の半径を$r$、高さを$h$とおくと相似比$\sqrt[3]{2}:1=1:\dfrac{1}{\sqrt[3]{2}}$より円錐$B$の底面の半径と高さはそれぞれ$\dfrac{r}{\sqrt[3]{2}},\dfrac{h}{\sqrt[3]{2}}$となります。
円錐を体積が半々になるよう切断する面の位置
したがって、円錐$A$を切り分ける底面と平行な面は頂点から高さの$\dfrac{1}{\sqrt[3]{2}}$倍離れた位置にあるとき、体積がちょうど半分ずつになるように切り分けることができます。
$\dfrac{1}{\sqrt[3]{2}}≒0.79370$なので、円錐$B$の高さは円錐$A$の高さのおよそ8割です。
また、円錐に限らずどの錐体でもこの位置関係にある面で切り分ければ、必ず体積が等しい2つの立体ができます。

 ちなみに、円錐$A$を頂点と底面から等距離にある底面と平行な面で切り分けると、円錐$A$と円錐$B$の相似比は$2:1$なので体積比は$2^3:1^3=8:1$、すなわち円錐$B$の体積は円錐$A$の体積の$\dfrac{1}{8}$となります。

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